§2
講義を聴き終わって亮太郎と敦と一緒に学食にやってきた
美味くも不味くもない飯を食べながら、前に座っている亮太郎と敦とくだらない会話をしていると
「ところでお前、研究室はどこに行くつもり」と急に亮太郎に話を振られた
「そーだなー、俺は自分の研究を外部に公表する気はないからなー」
「なら汐見研はどうだ、あそこは中間発表とかないらしいぞ。発表とかめんどくさいって感じだもんなお前」
「うーん、実際めんどくさいってのもあるけど、魔術師は自分の研究を表に出すべきではない、てのが俺の思想なんだよ」
「なんでや」
「種も仕掛けもある魔術な訳だけど、それを人に明かしたらマジックではなくなるだろ」
なんてアメリカンジョークみたいに茶化して言ってみたが
「確かに、一理あるな」「そやねー」
と真に受け取られてしまった...
関西人はボケたら突っ込んでくれるというのは偏見なんだろうか、敦に今度突っ込んで聞いてみよう
「ところで、汐見研って何やってるとこだっけ」
自慢じゃないが俺はこういう情報には疎い
おかげで楽に単位が取れる授業を知らなくてこの2年と少し苦労している
「何ってあれやん。事象への干渉についての研究で割と有名やろ」
「そう、おまけに変わり者も何人か居るっていう」
なるほどな。緩そうな割に天才君が居るって感じか
「干渉について、ねぇ…まぁとりあえず今度の見学日にそこ行ってみるか」
魔術は自然の法則を少し無視する(例えば離れた場所に火を起こしたり水を出したり等)ことが出来る
これは特殊な回路を持った器具、通称『魔具』を触媒に用いて現実の世界に干渉するからだ
火をつけるなら熱量を一点に集めたり放電を起こしたりなどの干渉を事象に行う
とは言っても何にでも魔術をかけられるわけでもない
物質に存在する情報量が多ければ術を使うのに長い演算の時間がかかるし、魔具のキャパシティよりも多かった場合回路がショートしたりする
だから未だに生物へ魔術をかけた事例は少ない
「そういや敦、今日の隠み身の術ってどうやったの」
「自分は種を明かしたくないっていいながらよく聞けるなお前」
「ほんまやよ。けど、一つ教えるなら誰にも術はかけてへんよ」
「…あぁそういうことか」
「わかったのかよ純一」
おそらく敦は自分ではなく、自分の体の空間に術をかけ、光の偏向を変えて周りからは見えないようにしたのだろう
「意外に器用だな敦」「やろ」
透明人間とかけしからん、さすが忍者けしからん




