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インターホン

私はインターホンが怖い。

特にディスプレイ付きのインターホンが怖い。


一人暮らしをはじめて何年も経った深夜。

築年数も古いこのアパートのインターホンは呼び鈴と呼ぶのが適しているだろう。

外からボタンを押せば、ビーッとけたたましい音が鳴るだけの代物。

玄関にドアスコープは付いているものの曇って外は見えない。

熱中しているゲームをきりよく終わらせると心地よい眠気が訪れる。

電気を消し、万年床に寝転び、目を瞑る。

もうあと数秒で眠れる、そう思った矢先


ビーッ


呼び鈴が鳴る。

ビクッとして起き上がる。

壁時計は深夜3時を少し回ったところ。

酔っ払いが間違って押したか?


ビーッ、ビーッ、ビーッ、ビーッ


気持ち悪い。

なぜだかそう直感した。

布団を頭から被ると体が震える。

本当にわからない。それでも玄関の扉の先にいるものがとても気持ち悪く感じた。


呼び鈴が鳴り終えると静寂が部屋を覆う。

壁時計の秒針だけが場違いに音を立てながら時間を刻む。

次に聞こえてきたのは共用の廊下を走り回る足音と笑い声。

しゃがれていて男か女かも分からない笑い声がペタペタという足音とともに遠ざかっては近づき、遠ざかっては近づきを繰り返す。

私は聞こえてしまった。

笑い声の合間に嬉しそうに呟いている言葉が。


起きてる!起きてる!起きてる!起きてる!

無視なんてさせないぞ、無視なんてさせないぞ


鳴り続ける呼び鈴、走り回りながら呟かれる声。

私は震えながら警察に電話をした。

数分後に鳴り響くサイレンの音。

慌てて逃げ出そうとする足音と警察官の罵声。


見つけたのに!起きてるのに!


その叫び声が私の冷や汗をかきたてる。

しばらくして呼び鈴が鳴り、警察を名乗る声が玄関の外から聞こえ、私は恐る恐る玄関を開ける。

事情を聞くと包丁を持ったホームレスが走り回っていたそう。

逮捕したので安心してほしいと。

私は部屋に戻り、気を失うように寝た、

そしてすぐに引っ越した。


今はオートロックのマンションに引っ越して、あの悪夢のようなことはない。

ただ、たまに思うのだ。

あの時、ディスプレイ付きのインターホンだったら、包丁を持ったホームレスの顔が、走り回る姿が見えたのではないか、と。

あれから私は寝る時に必ず耳栓をするようになった。

深夜まで起きることもなくなった。


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