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異世界転生した第二王女はグルメで文明発展を目指す  作者: 月森香苗


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はじまり

「きゃああああああああ」


 私、メルルーナ・ハーボット、13歳。

 今、巨大鳥に嘴で咥えられて空を飛んでいたのだけど振り落とされているところ!

 スカイダイビング最高~!




 ハーボット王国は王位継承争いで混沌を極めていた。

 と言うのも、亡くなった父である国王は大の女好きで、好みの女を見かけたら直ぐに寝台に引っ張り込むような男だった。

 恋人や婚約者、夫がいても関係ない。

 王なのだから言うことを聞けと傲慢に振る舞い続けて恨みをたっぷり買っていた。

 生まれた子供の数をあの男が覚えているはずもなく、宰相とその補佐が目の下に隈を作ってはリストを作成していたのだけは知っている。

 一応王位継承権を持つ基準は設けられている。

 当たり前だけど、王の子であること。魔法による検査が出来るので偽った時点で死刑確定である。

 母親が伯爵家以上の嫡出子であること。愛人の娘みたいな庶子はダメだし、子爵家や男爵家、平民は駄目ってこと。まあ、支援の関係もあるし、その身分から生まれた子供に頭を下げたくないってことだ。

 最後にこれが大事なのだけど、保有魔力量が1000以上あること。

 平民が大体100もあれば優秀。貴族なら500は欲しいけれど、平均は300だとか。その中で1000ともなればとんでもない量なのは分かると思う。

 国の守護を担う魔道具を動かすのに必要な最低数値が1000。あればあるほどそりゃあいいに決まっている。


 ちなみに、国王はギリギリの1000だった。国王が王になった時はその母である王太后が他の候補をことごとく殺し尽くしたと聞いている。こわ。


 その基準を超えた子供が五人。

 マリウス、アンジェラ、ドミニウス、コルレス、そして私メルルーナ。

 この五人だけが王子王女を名乗れるのだけど、王妃の子供はいないので、誰が王になるかで派閥争いが起きていた。

 国王が決めておけば良かったのに、女と酒に溺れた男はある朝ぽっくりと逝ってしまい、正当な後継者が決まっていない状態になった。


 私は条件クリアして第二王女と名乗っているけれど、お母様と話し合って王位継承権は放棄した。ただ、魔力はあるから役に立つという宣言をして王族の暮らしの継続が認められた。

 そりゃあね、手放したくないよね。国は私を、私は快適な生活を。

 マリウスが2500、アンジェラが1400、ドミニウスが1800、コルレスが1200のところ、私はぶっちぎりの10000。とは言ってもこれは計測不能だったのでキリの良い数字にしてるってだけ。

 まあ、これには理由があるけどさ、それはさておき。

 これだけの保有魔力量を持っているからこそ私は王にはなれないと断った。

 王になるということは我慢しなければならないことが多い。死んだ父のように欲望のままに振る舞う方が頭がおかしいわけで、普通は我慢する。

 でも、膨大すぎる魔力の持ち主はその我慢が大災害を生み出しかねないのだ。

 魔力暴走が起きるのよ。

 だからそんな面倒なことはしたくない、と王位継承権を放棄した。

 私を王にしたい派閥が出来る前のことだから良かったよね。

 今は「メルルーナ王女親衛隊」というものがあるみたいだけど。王にならない私を守る派閥。役に立ってるよ。

 そうなると現れる問題が、私を味方につけたい異母兄姉達。

 歩く魔力貯蔵庫メルルーナちゃんを自分陣営に入れたい兄姉はそりゃあもうありとあらゆる手段を使って懐柔しようとするわけだ。

 で、他の候補を蹴落とすためのあれこれ。


 いや、私をどうこう思うなら、この国をどう導きたいかのプレゼンしてよ、と思うんだけど。

 王が不在なのは正直まずい。それでも他国からの干渉がないのは魔道具のおかげ。私の日課はこれに魔力補充をすること。

 王が決まるまでの暫定なので、決まったらちゃんとやって欲しい。


 王が死んだことで子供リストを作らなくなった宰相が頑張って政治を維持してるけど、さっさと王を決めて欲しい。

 一応ね、議会もあるのよ。だけどそこでも派閥争いがあるから決まらない。


 私とその周りは平和だけど四つの派閥争いは激化している。

 今日もごますりの兄姉が私の暮らす王女宮に来たらしくて、はーやだやだとエスケープすることにした。


 巨大鳥のボボバードは私専用の飛行移動手段。

 大きな嘴がチャームポイントの鳥で、体に巻き付けたベルトの背中側にある丸い鉄の輪っかを咥えてボボバードは空を飛んだ。

 いつもは背中に乗るけど今日は空から落下の気分だったのよ。


 魔力のバリアを体に張って気持ちよく空を飛んでもらい、そして振り落としてもらった。

 いやぁ、パラシュート無しのスカイダイビングとか地球では無理だよね。でも魔法のある世界なら出来る。

 高速で落下するのを楽しんだ私は地面が見えたあたりで魔法を使って落下速度軽減、それから浮遊の魔法を同時に発動した。

 傘があれば開いてふわふわ降りる演出が出来たかもしれないな。今度やってみよ。


 気分転換出来たのでボボバードにはご褒美に亜空間に保存している魔物の肉をプレゼントした。魔牛の二番目にいいところだから美味しいはず。

 喜びの鳴き声をあげたボボバードは肉を咥えて飛び去った。ご飯はひとりが気楽よね。わかる。


 開けた場所に降りたので遠くに城が見える。

 城とは言っても正確には宮殿かな。砦としての機能はないし。

 端から端まで歩いたら何時間もかかる広大な王城の敷地内には、謁見の間だとか大広間とか、 応接間やらなんならがある本宮、王の私的空間の国王宮、王妃宮、後宮、王太子宮、王子宮、王女宮などがある。

 私は安全のために少し離れたところにある宮殿を王女宮としてもらって生活している。

 他にも騎士団の施設とか王宮魔術師の塔なんかもある。

 図書館とか小さいけれど神殿もあるし、まあ、基本的に公務がない限り王族は外に出なくても生きていけるようになっている。

 使用人の居住棟もあるしね。


 あの中にいれば私は快適に生きていけるけど、そうはいかないんだよなぁ。

 だって神様と約束したから。


 私は神様の手でこの世界に生まれ変わった。使命を与えられて。

 地球で生きていた私が死んだのは35歳の時で、結婚するつもりもなく独身生活を謳歌しながら仕事は適当に、趣味に全力で生きていた。

 でも、不摂生が祟って寝不足のまま階段登ってたら目眩がして体のバランスを崩して落下した。頭を打ち付けて死んでしまった。

 そのタイミングで神様が数名の魂を探していて、元気が良さそうだからと選ばれた。神様は幾つか世界を持っていて、それぞれに起爆剤を投入したかったらしい。

 地球の神様には等価交換で何かを差し出したらしいけれど、とりあえずわたし含めた数名はバラバラにそれぞれの世界で生まれ変わった。

 その時のサービスでいくつかの転生者特典を貰えたのだけど。

 保有魔力量がとんでもないのはその特典が原因。亜空間も特典。鑑定も特典。鑑定はありがたいね!

 他は神様にお願いしたら三つ叶えてくれるとの事だったので、めちゃめちゃ考えた。

 異世界転移とかなら言語翻訳とかだけど、その国に赤ちゃんで生まれるわけだから、言語は不要かなって。いや、でも、あれば楽になるのかな。とか思ったら翻訳魔法があるとの事だったので却下。


 一つ目は適正体重を維持する健康な体。食べすぎても太らないってことよ。あとは、病気にもならないってのは大事。

 二つ目は危機察知能力。命の危険になる前に察知するの大事。ほんとこれのおかげで助かったことは沢山ある。

 三つ目は豪運。運の善し悪しって大事。


 神様はそれぞれの世界の文明の発展を望んでいる。

 戦争で滅ぼすとかでないなら急激な発展も良いとか。

 で、私たちがあれこれしたのを新たな世界で適用するんだと。ふーん。

 思うことはあるけれど、まあいいよ。


 私が出来るとしたら何だろうと思う。

 簡単なところでいえば、やはり食事かなって思うんだよね。

 この世界、不味くは無いけど微妙なご飯ばかり。

 パンが美味しくないのは致命的だと思うんだよね。別に米が欲しいとかはない。あれば食べるけど、パンで今は生きてるし。でも固くて美味しくないのよ。

 趣味に没頭していた私は、漫画やゲームが大好きで、その中でグルメチート物が特に好きだった。

 柔らかふわふわパンは定番中の定番で、林檎で作るやつとか。特典の鑑定はとても便利なんだよね。うんうん。

 私は今のところ中々良い生活してるけど、人によっては過酷な環境で鑑定ないと生きていけないってとこありそうだよね。

 まあでも、皆大人だったし何とか知恵を振り絞るだけだよね。

 68歳のおじさん、教授とか言ってたけど何の専攻だったんだろう。


 まあ、私は食事の発展かなー。一番分かりやすいし、美味しい物食べたいし。プロじゃないから分からないけど、まあ何とかなるよね。

 あと、この世界で作りたいのはクラフトビール。大学卒業して働いたところを辞めたあと、パートで働いたところは自家製のクラフトビールを作っていた。飲み比べしたけど美味しかったんだよね。

 この世界のエールは美味しくない。だから美味しいビールをつくりたい。でも知識が曖昧なんだよね。作り方は教えてもらったし過程も見せてもらったけど自信はない。

 でも、やってみるしかないでしょ。



 神様、私はこの世界で食文化を発展させるからね。だから他は期待しないでください!

長編で書きたいネタだけど、私のハイファン系はあまり評価されないので取り敢えず出だしだけ書いてみた、のノリ。

よくあるネタだからなぁーと思いつつ。


ちなみに、クラフトビールのところは本当にパートで働いてた時に作ってたんですよ。小さなレストラン併設してて飲み比べセットが出てた。クラフトビール作りがメインになるわけじゃない。


ちなみに、神様が作ったほかの世界にはインテリアデザイナーとか建築士とか、経済の教授とかがバラバラに送られてます。

兵士経験者もいるよ。

皆自分が送られた世界で出来ることを模索しながら停滞してる文明の発展を頑張ってます。



聞いてくれ、短編で投稿したつもりが長編での投稿になっていた。訂正出来ないから気ままに投稿していきます。

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― 新着の感想 ―
先ずは、食材探しからですね。何処へでも行けそうだし、少し冒険要素もあったら自分は嬉しいです。のんびりと待っています。
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