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異世界転生してコーヒー無かったら普通世界の果てまで探しに行くよね?  作者: えびはら
学院編二年生の部:妖精の話し手
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八十三話 マッチング

「それでは、まずはあなたたちがどのグリフォンに乗るかを決めたいと思います。グリフォンにも人と同じように性格があります。そして気高い生き物です。自分と相性の悪い人間を背に乗せたがりません」


 インストラクターっぽいお兄さんがそう言った。ふんふん。

 まあ、相性いいに越したことはないよな。すぐに乗れるようにならなくちゃいけないわけだし。まずは会食でもご一緒して親睦を深め、なーんてやってるヒマはない。

 問題は俺と相性が合うグリフォンがいなかった場合、とかだが。「君を乗せてもいいって思ってるグリフォンがいないんだ」とかなったら流石にグサッとくるぞ。


「僕があなたたちが乗るグリフォンを決めるので、決まった人はグリフォンのそばで待機していてください。すぐに別の人がきますから、その人から乗り方や、飛び方を教わってください」


 インストラクターっぽいお兄さんは、俺たちを引き連れてグリフォンの厩舎を練り歩き、首をぐるぐると動かして俺たちとグリフォンたちを交互に見つめては、君はこの子、そこの君はあの子、と割り振っていった。すげえ、何が見えてるんだ。


 すでに練習を始めている経験者組が出払っているからか厩舎は割とスカスカで、グリフォンの数はそんなに多くない。つか、数えてみたらちょうど俺たち初心者組の人数と一緒だった。これは、相性が合うやついませんでした、ってことが普通に起こりうるぞ。


「そこの君はこっちの子と。で、君はこの子だ。それで――」


 お兄さんは次々とグリフォンを割り振っていった。

 こっちとグリフォンは同じ数なのに意外にもサクサクと決まっていく。グリフォンっていうのは大らかな生き物なのかもしれない。

 そして、俺が最後の一人となった。

 そして誰ともペアを組んでいないグリフォンもあと一匹。普通に考えれば、俺はそいつと組むことになるが。


「――あー、君はちょっと待っててほしい」


 待ったがかけられてしまった。

 もしかして、相性が合うやついなかった感じですか。そうですか。


「いや、気を悪くすることはありません。相性がいいグリフォンがいなかったわけじゃない。むしろほとんどのグリフォンが君を認めていました。だから後回しにしてしまって」


 俺の様子を見てか、慌ててお兄さんが慰めてくれた。

 まあ、そう言うなら、そういうことにしておこう。俺のためにもな。


 しかし。


「……まだ一頭残ってますよね、そのグリフォンじゃダメなんですか?」


 俺が聞くと、お兄さんは頭を掻きながら言った。


「あいつは、なんというかグリフォンの中でも特に気難しくて、気性の荒いやつなんです。今まで誰もあいつに乗って空を飛んだ人はいない」


 あぁ、なるほど。暴れ馬的な性格なのか。


「そろそろ経験者の人たちが降りてくるから、その人たちのグリフォンの中から決めます。ダブっちゃって申し訳ないんですけど」


 お兄さんの言う通り、すぐに何頭ものグリフォンが空から舞い降りてきた。


「それじゃあ付いてきてください。迷惑をかけてしまったから、とびきり相性のいいやつを見つけますよ。……君は、とりわけ強いグリフォンに認められる。プライドが高くて、簡単には人に従わないようなグリフォンに――君は確か、クライヴですよね?」


「ええ、はい。……俺のこと知ってるんですか?」


「もちろんです。ツバメ寮の人間で、君を知らない人はいない。もっとも、僕はもう卒業していますが」


 卒業した?じゃあやっぱり飼育員的な感じの職員さんなのか、この人は。


「となると――ああ、いたいた。こっちにきてください」


 おっと。見つかったのか?

 俺はお兄さんに付いていった。


 お兄さんは、俺を一頭のグリフォンのもとに連れていった。

 どことなく荘厳なオーラを発しながら、俺を静かに見下ろしている。他のグリフォンより一回り大きいような気がするな。


「……なんてことだ、バッチリじゃないか。あとはルカさえ認めてくれれば――」


「相棒に何か用ですか、アーベルさん」


 お兄さんに誰かが声をかけた。

 男の人だ。かなりのイケメンで、いい男、って感じの精悍な顔だ。兄貴という言葉が似合う。

 この人がこのグリフォンの騎手か?


「ああ、ルカ。この子と相性のいいグリフォンを探していて。厩舎に残っていたグリフォンの数が足りなくてさ」


「それで相棒を?へえ、こいつが俺以外のやつを認めるとは――なるほど、クライヴか」


 ルカ、というらしい男の人が、俺を見ながら言った。この人も俺を知ってんのか。


「そ、そうです」


「なら相棒が認めるのも不思議じゃない。俺は構いませんが――あいつはどうだったんです?」


 ルカさんが、インストラクターっぽいお兄さん、アーベルさんに聞いた。

 あいつ、っていうのは、さっきの気性が荒いとかいうグリフォンのことか?


「……試していない。ルカのグリフォンが認めたなら、乗れるかもしれない。いや、でも乗ったことがない人にあいつはあまりに――」


「俺だって初めて乗ったグリフォンが相棒ですよ」


「……君は特別だ、ルカ」


「クライヴだって特別でしょう。……とにかく乗せてみればいいじゃないですか。本当にダメそうなら俺の相棒に乗せりゃあいい」


 な、なんだ?ずいぶん推してくるな。


「そこまで言うなら。わかった、試してみよう。……ついてきてください」


 俺はまたまたアーベルさんについていき、一頭のグリフォンのもとにやってきた。

 なるほど、このグリフォンもけっこう大柄だ。そしてなんとなく、人を寄せ付けないような雰囲気がある。目つきの鋭さとか。


 アーベルさんはグリフォンの手綱を引いて、厩舎の外へと連れていった。

 グリフォンは特に暴れたりはせず、素直に連れていかれた。ふうむ、今の所おとなしいが。


「それでは、グリフォンに騎乗してもらいます。ええと、そこの鐙に足をかけてぐいっと。そうです!そうしたら手綱を握って――あっ!」


 俺がアーベルさんの言う通りにグリフォンにまたがった瞬間、グリフォンは嘶きながら上半身を持ち上げ、ぐわん、と羽ばたいた。


 俺を襲う浮遊感。どんどん遠のいていく地面。

 ちょっ、あの、勝手に飛び始めちゃったんですけど!

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