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進化先の選択肢がおかしい件  作者: 紫扇
2章 その目にうつる月の杯
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37 魔界のはしっこ

 キュクが落ち着くと俺はキュクに抱えられ立ち上がった。

 とりあえずは動かなくなった狂信者の物を漁るもとい拝見するか。

 狂信者の男のいた場所には一冊の本が残されていた。

 狂信者の男はマナへと還元されたようだ。

 彼の最後に使った魔術で恐らくボスとして蘇ることは無いだろう……彼らの魂はもうここには無いのだから。

 キュクは本を拾うと祭壇の端に腰掛け本を開いた。

 それはやはり日記だった。

 途中までは前読んだ日記と同じだったがこの男はもっと長く生きていたらようだった。



▲月×日

 生け贄が足りず老人を殺すように神が言い出した。私は集まってくれた者をこれ以上虐げることに歯を噛み締めたが妻の笑顔が見たい。


▲月△日

 皆の様子がおかしい魔物のように成っていく。その変わり力を得たようだが人を辞めるなど聞いてはいない皆を説得しよう。


▲月▲日

 恐らく説得に失敗したようだ。私が皆を集め話始めようとしたら意識を失った。いや、失ったはずだった。

そこから記憶が無いにもかかわらず皆は粛々と儀式をしたと言っていた。私はとんでもない勘違いをしていたのかもしれない。


▲月■日

 最近記憶が曖昧だ。日記にも書いた覚えの無い項目やメモがある。神が書かせているのか?いや、こんな者が神であるわけが……


■月×日

 記憶が殆ど続かない。気が付けば皆居なくなっていた。頭の中から声が聞こえる。


■月▲日

 恐らくこれが最後の日記になるだろう。ここはダンジョンになったようだ。いや初めからダンジョンだったのかもしれない。

 声が聞こえる。出来るならば誰か私を滅ぼしてくれ……死ぬことも出来ない。

 アイツはそこにいる。



 ふむ、アイツってのがこの扉の先にいるのかね?


「…………」


 キュクはキョロキョロと周囲を見ている。

 どうかしたのか?


「…………」


 キュクは何も答えず何かに集中している。

 まぁ俺が考えても仕方無いな。とりあえず考えるべきなのはこの穴の空いた祭壇の大扉の先へ進むことだろう。

 経験値も沢山入ったし、やはり進化をしておいた方がいいだろう。


【経験値104933

進化→

完全ランダム→

うらめにゅーよ→】


 何か違和感が……何だろう?

 10万か……まぁ進化好きなだけ進化するのもありかな?うらめにゅーは今回殆ど選んだはずだし二つだけしかないだろ。


【うらめにゅー↓

・ヒント(神)

・■■■■■■■■■■

・伝説を始める

・死ぬ】


 なんか怖いのあるーーー!!!

 何で全部塗りつぶされてるの!?

 ヒント(神)って何?神の助言?いやそれより塗りつぶされてるの何だよ怖いよ!!

 落ち着こう。冷静になろう。とりあえず前にあった進化のは何だかんだで当たりだった。

 ヒント(神)は実害も無さそうだし選んでみて考えよう。


【ヒント:チョコは甘くて好き】


 おう。


【】


 これだけ……だと。ヒントっていうか神の一言?まぁスルーでいいか。

 塗り潰しも無視してとりあえず他の進化をするか。


【経験値99933】


 ヒントに経験値5000ってバカじゃねぇの!?バカじゃねぇの!!

 まぁいいや過ぎたことは考えないでおこう。

 それに何の意味も本当に無いとは考えられない……いや、考えたくない。

 さてと進化だな進化セットが欲しいなと。


【進化:肉セットを得ました。

進化:ミミックセットを得ました。

進化:ゴーレムセットを得ました。

ポイントが足りません。】


 何だろう嫌な予感がする3回進化しただけでポイントが尽きるほど少なくないはずだ。10万もあるのだ。


【経験値39933】


 まさかいやそんな……。


「恐らく強くなったことで進化の限界のようなものが近付いています。多くの生物が辿る進化の袋小路というものでしょう」


 キュクはふぅと疲れた様子で言った。


【ダンジョンコアを破壊したことによりボーナスが付与されます。

『狂信の魔眼』『経験値10万』『ダンジョンマスターの所持品』となります。

また『狂信の魔眼』は『狂神の眼』があるため消滅します】


 おれが意味不明なのを置き去りにアイテム名が凄い勢いで目端を通り過ぎていく。


「ロプス様どうやらミミックの進化を得たことによりアイテムボックスを手に入れたようです」


 お……おう……いやそこじゃ無い。

 何故急にダンジョンコアが破壊されたのかと聞きたいんだが……。


「ダンジョンマスターを狂わせ破壊させました。勿論ダンジョンマスターも殺しました」


 キュクがドヤGAOである。

 どうやらダンジョンマスターは俺の知らない所で死んだらしい。そんなにムカついたのか……。


「ロプス様を傷つけたことは万死に値します」


 そうか……。俺は深く考えるのは面倒なのでやめた。代わりに得た経験値で進化をした。


【進化:ゴブリンセットを得た。

経験値99933

進化:スケルトンセットを得た。

ポイントが足りません

経験値49933】


 久々にハズレっぽいのが来たな……。ゴブリンとかどこで使えと言うんだ。

 それより経験値である、予想どうりのようでヤバイ……恐らくRANDOMで進化はするたびに必要経験値が1万ごと増えている。

 俺は経験値が入りにくいことを考えると致命的だと思う。

 完全ランダムの方に残りを突っ込むことにする。


【ランダム:美声を得ました。

ランダム:良臭を得ました。

ランダム:美味を得ました。

ランダム:美眼を得ました。

ポイントが足りません。】


 わぁこれでイケメンの仲間入りだね。ってねーよ。

 美声と美臭って何?俺から良い匂いすんの?良い声って喋れ無いんだけど?

 美味は?俺マジで食材じゃないから。

 美眼?何それ?

 「目が綺麗ですね。目玉だけなので良くわかりますね」って?うっさいわ。


【経験値9933】


 しかも1万固定って……もういいや。

 扉の先は行かなくても良いかな?ダンジョンマスターが死んだなら関係ないだろうし。


「どうやら扉の先は別ダンジョンのようです。霊視などで見ると違う色になっています」


 じゃあ進むかな。

 俺たちは大扉の前へと立って扉を見上げた。とても大きな扉で悪魔らしき装飾が施されている。


「えい」


 キュクは大扉を蹴り飛ばした。

 軽い声とは裏腹に大扉は大きな音を立て凄い勢いで開き壁へとめり込んだ。

 この先は今までの通路とは違い赤いつるりとした壁に葉脈のような跡がはっておりそれは脈動していた。

 まさに別世界といった風景であった。

 俺たちは珍しいものだと周囲を見回しながら通路を進んだ。


「~~♪」


 キュクが【むしの腕】を生やし壁を削りながら歩いている。

 壁は悲鳴を上げるように締まった。

 俺たちはその辺りの壁に得た進化能力を試すようにして放ちながら歩いた。

 すると前方から迫り来る者がいた。空を飛び地を駆け俺たちへ向かってくるモンスターである。

 どうやらこのダンジョンは悪魔が主流のようである。前方から腕や上半身の巨大な悪魔や下半身の馬のような悪魔、色々な腕を生やした悪魔などが郡をなして向かって来た。


「とくと見よこれぞ進化した眼からビーム」


 キュクは【ノイント】と呼ばれる眼を自らの眼に現出させた。それは九色に輝く瞳である。その眼に魔力が集まり収束する。

 悪魔達は集まる魔力に危険を感じ防御の為の魔力障壁を張り巡らせた。

 それは瞬きをする間に何十にもなり悪魔を保護する。さらに一部の者は死を覚悟で俺たちを止めに来た。

 腕を振り上げ槍を突きだし魔法を飛ばす。俺たちの周囲を凶刃が囲む。

 その瞬間キュクの目が煌めいた。

 放たれた光は九色の輝きを放ち通路を埋め尽くす。

 通路を駆けて来た悪魔も向かって来た凶刃も全てを光の彼方へと消し飛ばす。

 光が収まった時、そこには真っ直ぐに続く通路があるだけだった。


 俺たちは通路を走る。

 特に急ぐ用事は無いが……この身の力を持て余すように破壊を撒き散らしながら走って行く。

 時にビームを放ち腕を使い殴り飛ばし触手で貫いた。こうも余裕を持って戦えるのは強くなったということなのだろう。今なら世界も取れる気がする。


「…………」


 何で無言なの!?怖いよ!


「ロプス様世の中にはあり得ないバケモノが存在するのです」


 今の俺では勝てないのがまだいるとか……あとどれぐらい強くなれば良いのか……。


「まぁ今はどうなっているかよく分かりませんが恐らく結構いるでしょう」


 この世界ホントに魔境すぎるだろ……。


 そんなこんなで敵を蹴散らしながらいくつもの部屋を抜け扉を開けて進んで行った。

 居住スペースのような場所が見つけられないのはこの階層よりももっと下にあるのだろうか?

 そうして4階層ほど進むと巨大で豪華で重厚な扉を見つけた。扉には金の装飾がなされており中には高貴な者がいるのを匂わせる。


「ビーム」


 キュクは扉へと向けビームを放った。それは、扉を消し飛ばし向こうにいる者へと向かって飛んで行った。

 この子常識とか無視だな……。


 そこは、王の間というのに相応しい広い空間だった。謎の壁と同じ材質の柱が立ち並び周囲に上級悪魔グレーターデーモンが立っている。


「やれやれ、礼儀も知らない者が迷い込んだようだな」


 それは少し高くなった場所にある玉座に腰かけた男であった。

 ほの暗い青の髪と目をした美情夫であった。頭には角が生えており人間でないことが分かる。

 また髪とよく似た色の服を着ており全身から同じような色の魔力を立ち上らせている。

 服は軍服のような作りをしておりすらりとした悪魔的魅力を醸し出していた。

 どうやらこの男が今の攻撃を防いだようである。立ち上がりもせず片手で防いだ所を見ると油断できる相手では無い。


「しかし、よく異界で普通に行動できるものだ。通常であれば存在することすら出来ないというのに」


 男は珍しそうにこちらを見ている。


「ふん、我が恐ろしく声も出ぬか」


 いやー争う気は無いんだけどね。


「争う気はありません」

「ほう、では何用で我が城へと侵入した。ここがレビスアルドの城と知ってのことであろう?」

「ダンジョンが繋がっていたので進んだ結果ここへ辿り着いただけです」

「ふん、戯けたことを」


 そんな中キュクは小声で俺へと囁いてきた。

「ロプス様コイツならば解呪のアイテムを持っていそうです」

 確かに偉そうな悪魔だしそれぐらいは持っていそうである。

 レビスアルド?コイツの名前か?


「解呪?そのような物が欲しいのか?」


 レビスアルドは俺たちの呟きを拾い言った。


「はい、それを手に入れる為にダンジョンへと来たので」

「無料(タダ)では無いがくれてやってもよい」


 レビスアルドは考えるようにして言った。


「ただし我の出す条件を呑めるならだがな。この上のダンジョンのさらに上に町があるだろう」


 あー冒険者の町な。


「そこを壊滅させ我に捧げよ」


 レビスアルドは俺たちを見下ろし言った。



どうする?

⇒町を壊滅させ手に入れる

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