第九話 女神の泉とパンチドランカー
俺たちパーティーが滞在するレイニールの街。その街の東門には、朝食を終えたばかりの俺たち三人が向かった頃、大勢の人だかりが出来ていた。俺たちは他の乗客に混じり、乗合馬車へと乗り込んだ。そして街から少し離れた森へと向け、馬車が動き出す。
門をくぐると、街を囲むように広がる農耕地が見えた。夏が近い春の終わり。作付けから少し成長した苗が、暖かな日差しを浴びていた。
人で満載の乗合馬車の空気は蒸し暑かった。土と肥料の臭いが車内をより一層、息苦しくする。胸元の服をパタパタとさせてアリーナが言った。
「ちょっと暑いわね」
大きな胸の輪郭に沿って垂れる汗。それを俺は視界の右端ギリギリに捉え、正面を向いたまま答えた。
「草原まで行けば少しはマシになるだろ」
農地を横断するようにひかれた、整備のされた道を越えると、次第に馬車はガタガタと揺れを増していく。
草原の中を進む馬車からは、後方を振り返れば遠のいてゆく街が。前方を見やれば、大きくなっていく目的地の森が見える。
両目をアイマスクで覆い、寝ているのかどうか分からないベニー。俺の左に座る彼は起きていたらしい。他の乗客に気を使い、小声で話しかけて来た。
「振動で周りの状況が読み取りにくいですね。森までは後どのくらいですか?」
「…そうだな。一時間といったところか?」
土と堆肥の臭いが薄れるにつれ増して行く振動。そして澄んだ空気が乗合馬車を吹き抜け、森が近づいているのを教えてくれた。
目的地の森、その森の中にはちょっとした観光スポットがある。俺たち三人を含め、同乗者たちは皆、そこが目的地なのだろう。次第に近づく目的地に、一様に浮き足立っているように見えた。
大切なものを包んでいるのだろう。何かを包んだ布を両手で抱き抱える女性。古びた斧を持つ街人。刃こぼれのした剣を持つ冒険者。一式取り揃えられた食器を持つ貴婦人。色んな人が森の奥にある女神の泉へと向かうようだ。
太陽が真上に登るよりも早く。草原と大きな森の境目へと着くと、乗合馬車は止まった。そこでは俺たちを含めた乗客全員が降りた。
降り立った俺の目の前には、魔物もいる森の入り口だと言うのに整地がなされ、たくさんの人で溢れている光景が広がっていた。
他の森ではありえない不思議な光景に、俺は辺りを見渡していた。
街の衛兵が人々を誘導している姿。雇われて周囲を警戒する冒険者の姿。思い思いの品を持ち、観光に来た観光者の姿。そして、注意事項の書かれた立て看板。
誘導の声が響き、それに合わせて観光客が入り口へと並んでいく。街中と遜色のない賑わいの声が、一匹の大蛇のように動いていた。
物珍しそうに周囲を観察し、動かない俺たち三人の元へと一人の衛兵が歩み寄って来た。
「お前たちはほとんど手ぶらだな。警護に来た冒険者か?それとも森への討伐依頼か?」
俺たち三人は冒険者としての荷物しか持っていない。観光へ来る者はみな、何かしらの品を持っているのだ。だからこそ、衛兵はそのように声をかけて来たのだろう。
俺は衛兵に頷き返し、答えた。
「討伐依頼だ。森への入り口は俺たちもここを使えばいいのか?」
「ここは観光者専用だ。あっちの方向へ、草原と森の境目を歩いてくれ。しばらくしたら森の奥へと続く獣道があるはずだ」
衛兵が指し示す方を一度確認し、俺は衛兵に礼を述べた。
「助かった」
「ああ、気を付けて行けよ。それと、観光スポット周辺にはあまり近づかないでくれよ。魔物を引き連れてなんてもってのほかだ。それと、泉周辺の物は持ち帰らないでくれよな。討伐品は良いが、それ以外を一つでも持ち帰れば罰金だ」
立て看板にも衛兵の注意と同様、説明文が書かれている。『女神の泉への持ち込みは可能。持ち出しは不可』そんな看板を横目に、片手で了承の意と返事を済ませ、俺は歩き出した。
草原と森の境目を歩き、獣道へと向けて俺たち三人は歩き始める。人々の喧騒を背に、高く伸びた木々を眺めてしばらく歩くと、そこに辿り着いた。
俺たち三人が立つ獣道の入り口。そこに立つアリーナは、遠くに見える、もう一つの入り口と見比べていた。
「あたしたちも後で観光する?」
「観光とは名ばかりの醜悪な行為に私は感じますけどね。アリーナは何か、女神の泉に投げ入れたい物があるのですか?」
ベニーに問いかけられたアリーナはしばし考え込むと、あっけらかんと答えた。
「ないわね!観光スポットって聞くと行きたくなるけど、泉の逸話があたしには合わないわ!」
俺は女神の泉にまつわる逸話を思い出し、自分ならどうするかを考えた。
*
あるとき、一人の平民が古びた斧を泉に落としてしまいました。その泉は、女神が水浴びをすると言われていた神聖な泉だったのです。
そんな泉に斧を落としてしまった。そう、平民が嘆いていると、泉の底から女神が現れました。女神は金の斧を手に、平民に尋ねました。
「私の泉に、金の斧を落としましたか?」
「いいえ、その斧ではありません」
女神は次に、銀の斧を水底から拾ってくると、再び平民尋ねました。
「では、この銀の斧ですか?」
「いいえ、落としたのは普通の斧です」
女神は人間のことを欲深い、愚かな存在だと考えていました。ですが平民は正直に答えたのです。感銘を受けた女神は、平民に斧を返しました。
古びた斧を。そして、金の斧と銀の斧を。
平民に三本の斧を与えると、女神は泉の底へと帰っていきました。
平民は翌日、村の人々を引き連れ、泉にたくさんの物を投げ込みました。
*
その女神の泉がこの森の中にあるのだ。今では逸話を聞きつけ立派な観光スポットとなっている。俺は腕を組み、獣道の奥を眺めていた。
「グラムズ、あなたはどうですか?アリーナはこう言ってますが?」
「そうだな…俺もないな」
獣道を見据えたまま答えた俺は、二人へと振り返った。
「準備でき次第森の中に入るぞ。ベニー、こっからは獣道だ。足元に気を付けてくれよ?」
ベニーは魔法を行使し、雲を纏ったフクロウを顕現させた。森の中へとフクロウを放つと、ベニーは頷いた。
アリーナは左手に装備したバックラーを確認し、更に左腰に携えたショートソードを一度抜くと、刀身確認した。再び鞘に戻すと、彼女は笑みで返事をしてくれた。
森の澄んだ空気を全身で感じながら、俺たち三人は獣道を進み、森の中へと入った。
整備されていない凸凹とした地面。道の左右には高く伸びた木々。大きな木は日光を遮り、枝や葉の隙間からは木漏れ日が差す。
獣道を吹き抜ける森の風は冷たく、乗合馬車でじんわりとかいていた汗を冷やした。
三人が並んで歩ける幅の獣道をしばらく進むと、道の脇に大きな石が見えた。
ベージャムが教えてくれた目印はこれだろう。俺は二人を振り返り「ここから獣道を外れるぞ、ついて来てくれ」と告げ、奥へと進んだ。
先程よりも細い獣道。その道に飛び出た枝を手で押しやった。葉の上に残っていた朝露が頬に跳ねるも、俺は体で枝を折りながら進んだ。
枝を折るパキパキとした音。風に揺れる木々のざわめき。それだけが聞こえる道をしばらく進むと、少し前方、獣道の切れ目が見えてきた。
高い木々がなくなり、地面にまで日の光が届く開けた湿地帯。充分な日光を浴び、膝丈の草が生えている。
俺は木々の隙間を縫い、細い獣道を抜けた。そして立ち止まり開けた場所を眺めると、ため息を一つ吐いた。
「はぁー。こんなとこにまで投げ込むのか。まるでゴミ山だな」
古びた斧。刃こぼれの激しい武器。使い古された防具。椅子やテーブルなんかの家具。ボロボロになった衣服。朽ち果て、元がなんだったのか分からない木材や鉄製の破片。開けた場所の真ん中には、様々な物が積み重なって、俺の背丈を越えるゴミ山となっていた。
ゴミ山の麓は微かに水分を含み、泥となっている。本来は大きな水辺がここにもあったのだろう。
俺の背後からガサガサと枝を分け進む音が聞こえ、二人も開けた場所へと出て来たのが分かった。その二人が俺の横に並ぶと、彼らも苦言をこぼした。
「自然豊かな森と泉。それを破壊してでも、逸話にあやかりたいのでしょう。人とは欲深いものですね」
「あたし綺麗な森だなーって思って歩いてたのに、呆れるわ。ここなんて本来ならピクニックに打って付けの場所じゃない」
女神さまもこんなに投げ込まれ続けるとは思わなかっただろうな。人間ってのは正直者だろうと、例外なく欲深いもんなんだろうよ。
いや、逆か?自分の欲に正直だからこそ、欲深いのか?どっちにしろ女神さまは人間を見誤ったな。
今じゃ女神さまの泉に物を投げ込み、泉に落とした物よりも高価な物が手に入る。そう考えた人間たちのゴミ捨て場だ。神聖な泉は見る影もない。
観光地の高い料金を払って泉にゴミを投げ込む。それか料金すら払わずに不法投棄をする。どちらにしろ俺にはこの観光スポットが魅力的に感じれなかった。
正面にそびえるゴミ山を眺めていると、俺たちとは別の場所から、湿地帯へと一人の女性が現れた。大切なものを包んでいるのだろう。何かを包んだ布を両手で抱き抱える女性だ。
その女性がゴミ山へと近づくと、包みを剥がし中身を見つめていた。そして何かをそっと置き去った。
俺たちの場所からでは何を捨てたのか分からなかったが、忌々しそうにベニーが教えてくれた。
「…人とはここまで汚いのですね。何を願い、赤子を置いたのか。私にはあの女性が理解できません」
…赤子の命を願ったのか。それともより優秀な子を願ったのか。考えた所で俺にも理解できなかった。それはベニーも、アリーナも同様だ。ゴミ山から去る女性を、俺たち三人は睨んでいた。
先程まで感じていた、風に運ばれるてくる森の澄んだ空気。今この場所には、ゴミ山から発せられる異臭も同時に運ばれていた。
眩しい日差しに目を細める訳でもなく、時折感じる異臭に二人も顔を顰めている。
ベージャムに教えられた旨い場所には辿り着いたが、あまり素直に喜べない。俺は一度目を瞑ると、気持ちを切り替えさらに辺りを見渡した。
大きなゴミ山が一つの水辺を潰しているが、開けたここにはいくつもの水辺が点在している。
ベージャムが言うには、ゴミ山の裏にある水辺には多数の魔物がいるらしい。好物の匂いを嗅ぎつけない限り、襲われる心配はないらしい。だが俺は不安だった。
俺の横に並ぶアリーナをチラリと確認し、俺は言葉を発した。
「裏手の水辺で魔物を狩ろうか。アリーナ、今度は気を付けてくれよ?」
「任せて!同じ失敗はしないわ!」
俺はゴミ山から一本の古びた斧を抜き取ると、抜き取られたゴミ山は一部が崩れ、むわっとした異臭が鼻を刺す。俺は鼻を摘みながらも斧を確認した。
取手の木の部分は逆剥け、ガサガサとした手触りだ。刃こぼれもして使い込まれた斧だが、これで良いだろう。
頭の中で品定めを済ませた俺は、ゴミ山を避けるように迂回し、膝丈の草が生い茂る場所を抜け、ゴミ山の裏手へと歩いた。
森の中に広がる湿地。その一部では膝丈の草が天に向かって真っ直ぐに伸びている。青々とした草を踏み分けるごとに、足元の土は柔らかな泥へと変わり、足が泥に沈み込む。
歩いた先、一つの水辺の前で俺たちは立ち止まった。膝丈の草は泥にまみれ倒れ込んでいる。魔物が地を這うように歩き、へたれたのだろう。ドロドロとした土の上には、魔物の巨躯を支える、深い足跡なんかも見える。
どんよりとした水の透明度は低く、水中までは確認できない。細長い水草が数本、水面から顔を出している。一通り周囲を確認した俺は、二人へと確認をした。
「いいか二人とも?」
「あたしに任せて!グラムズもベニーも手出ししないでね?」
「正直不安なんですが、リベンジマッチですね。周囲の警戒は任せてください」
俺もベニーと同様不安な気持ちになりつつも、彼女に頷き返した。そして、俺は革靴が泥まみれになるのも躊躇わず、水辺の手前まで進んだ。数歩進んだ先、そこで俺は魔法を行使した。
「火の神の神使が一柱、ファラリスよ
捧げるは我が魔力
願うは何者をも払う力」
地面から炎が立ち上がり、俺は手にした古びた斧をその中へと放り込んだ。木の取手部分はすぐに焼け落ちた。そして鉄でできた部分は加熱され、真っ赤になっていく。
充分に熱せられた斧を見た俺は炎を消すと、地面に残された斧から視線を上げ、じっと水面を見つめた。
水面から顔を出す水草の横。そこにはぽこぽこと気泡が出ていた。あそこに魔物がいるのだろう。あたりを付けた俺は、足元の加熱された斧を確認すると、斧を水中へと蹴り入れた。
熱した斧が濁った水の中に落ち、静かな水辺を「ジュウーー」という大きな音が満たす。そして鉄が冷やされる独特な匂いが、大量の蒸気と共に立ち込める。
次第に湯気が落ち着くと、再び静かな水辺へと戻る。
ぽこん…ぽこん…
水底から大きな気泡が一つ、また一つと上がって来た。視線を外さないまま俺は数歩後ずさると、ベニーも俺に合わせ数歩下がる。水辺の手前には、アリーナが一人残された。
静かな水辺に、気泡が弾ける小さな音が鳴る。それはどんどんと浅瀬に向かい、速度を増しながら近づいて来た。
ぼこんぼこん。…ザバァー!!
「出て来たわね!あたしの武器を壊した恨み!あんたで晴らさせてもらうわ!」
鉄が冷やされる独特な匂いを嗅ぎ、好物につられた魔物が水中から現れた。その魔物にアリーナは恨み節を吐きながらも、意気込んでいる。
ゴツゴツとした大きな甲羅。重厚な甲羅と巨躯を支えるガッシリとした四本の足。岩を削り出して作ったような顔をした、爬虫類型の魔物だ。
甲羅は大きく、四人で食事を囲うテーブルほどのサイズをしている。その大きな甲羅目掛け、アリーナは剣を振り下ろしていた。
「まて!アリーナ!側面を狙え!」
俺の制止も虚しく、高く鈍い金属音を響かせると、アリーナのショートソードが折れた。
「っ!あぁーーーもう!また!またあたしの剣を折ったわね!なんなのこのカメは!」
以前居た街からレイニールの街へと移動する道中、同種の魔物に、アリーナは愛剣を折られたのだ。今彼女が折られた剣は、湖で夜襲者から剥ぎ取った剣だ。それを再び折られ、彼女は叫んでいた。
「アリーナ!何故グラムズの言う通りにしないんですか!?」
「一度負けたカメの甲羅にリベンジしたのよ!負けっぱなしはあたしの性に合わないわ!絶対甲羅を叩き割ってやるのよ!」
鉄などの鉱物を好み、その栄養で体を硬く育てる魔物だ。アリーナの気持ちは分からなくもないが、正面から勝負をし過ぎだ。金がないのに武器をおしゃかにしてどうするんだ?
俺が呆れている隙に、アリーナは魔物に馬乗り状態になっていた。
「出てきなさいよ!二本も人の剣折っといてなんなのよ!あたしの目の前で!自分の殻に!閉じ籠るなああ!!」
硬い甲羅に籠りカメの魔物は防御に徹している。馬乗りになりガンガンと甲羅を殴りつけるも、びくともしない。静かな水辺にはアリーナの拳と、叫び声だけが響いていた。
泥に塗れるも殴り続けるアリーナ。そんな彼女の真っ直ぐな性格と行動に、俺が呆れながらも眺めていると、ベニーがアドバイスを飛ばした。
「アリーナ!もう少し拳に魔力を込めなさい!流れが少し乱れてますよ!」
ベニーは全盲だ。その分魔力を感知して周囲の情報を読み取っている。彼にはアリーナの未熟な身体強化が、手に取るように分かるのだろう。珍しく拳を握りしめ、熱くベニーは叫んでいた。
「ふん!ふん!ふんー!!どう!?ベニー?」
「惜しいです!もう少し流す魔力を増やしてください!」
彼女はガンガンと殴り続けているが、俺には変化が分からなかった。甲羅に傷一つついた気配がしない。むしろアリーナの拳を見ているだけで痛かった。
泥と血に汚れ、彼女の拳はドス黒い色をしていた。何故そこまでできるんだ?一心不乱に殴り続ける彼女に、俺はうっすらと恐怖すら覚え始めていた。
だがベニーは視覚で情報を得ていない。内心では恐怖する俺とは裏腹に、熱い感情がベニーの表情にまで現れていた。感じ取る魔力の流れを増やせとアドバイスをしている。
それは本当に正しいのか?俺がそう思っているとき、鈍い音が響いた。
ビキビキ!
「ヒビが入ったわ!この感覚ね!」
「良いですよ!その調子です!胸を!そしてそこから流れる腕の魔力を!より意識してください!」
俺は魔法を使って大剣に炎を纏わせるとき、胸から肩、腕、そして拳へと流れていく自分の魔力の流れを、いつも感じていた。
それと同様にアリーナは拳に魔力を流し、身体強化のコツを掴みかけているのだろう。
ヒビが大きくなる音が聞こえ、自然と俺の拳も握られていた。
静かな水辺に響くアリーナの打撃音と叫び声。ベニーの熱い指導。そこに俺の激励も加わった。
「魔力は分からんが良いぞアリーナ!がんばれ!」
「アリーナその調子ですよ!流れが安定してます!」
「ふん!ふん!ふん!出てこーーい!!」
ガンガンガン!
「ふん!ふん!ふん!」
自慢の甲羅にヒビが入り、それでも殴り続けられるカメの魔物。
アリーナの拳はゴツゴツとした甲羅で擦り切れ、黒くなった拳の上を鮮血が流れている。
ガンガンガンガン!
「っいったーい!けど、あたしの前で籠るやつは許さないんだから!ふんー!ふん!ふん!」
彼女には剣よりも拳の方が良いのかもしれない。ここで何かコツを掴んだら、彼女に合った武器を考えなければ。そんな街に戻った後のことも考えながら、俺は声援を送り続けた。
「ワンツー!ワンツー!いいぞ!そこだ!殴れ!」
「ああ!拳に魔力が安定して流れてます!それです!それで殴り続けなさい!」
「ふんー!ふんー!割れろー!!」
ガンガンガンガン!
次第に身の危険を感じた魔物は甲羅から四本の足を出し、暴れ始めた。
「足を使え!相手は効いてるぞ!殴れアリーナ!」
「魔力もですが腰です!腰でパンチは打つんです!」
「ふんふんふんふんふんふんふん!!」
ガンガンガンガンガンガン!
俺とベニーは二人揃って拳を握り込み、アリーナの動きに合わせて正拳突きをしていた。
そして痛みに耐えながらも、アリーナが大きく振りかぶったとき、一際大きな怒声が辺りに響き渡った。
「こらーーーー!カメをいじめるのは誰だーーー!やめんか貴様らーーー!!」
金の斧銀の斧に浦島太郎も入れたら前後編になっちゃいました。キリが悪いので早めに後半頑張ります




