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クラウディア

マンティコアはほぼ火星と同じくらいの大きさの惑星です

重力加速度は4.08m/s2で地球の半分くらいです

ドームの中の気圧はほぼ一気圧に与圧されていますので

マンティコアは空飛べるわけですが飛行時間は15-20分が限界でしょう


やがて2人を乗せたホバーがセクト長の政務兼居住館のポートに降りたち、クラウディアがセクト長を見送るとその視覚を共有していたノワールから釘を指された。


(クラウディア、ヴィレッジには行くな。軍の所在証明の改竄なんて痕跡残さずには不可能だからね?)


彼女は軍籍にあるため、その任地を離れ休暇許可を得て故郷のセクトに居られるのはあと12時間程であった。セクト内は自由に行動できるが、ドームを出れば、その移動含めてあらかじめ許可を得てその所在を軍と共有しなければならない。その後始末を弟に頼もうとコールしていたが、相変わらずニュートは無視を決め込んでいて応答がない。


(ココ?)

愛称で呼ばれ観念したのか声に出して答えた。

「わかったわノア。ヴィレッジで使えそうな素体はある?物理的支援は必要でしょ?」


(ヴィレッジの管理AIを説得できればね。こういうのはニュートが得意なんだけど。)


「おそらく既にライブラリに説得されているでしょう。今はギルド籍で元軍属だった先任とか協力できそうな誰かいないかしら?」


(今何時だと…。1人見つかった。けど、彼は、セタセアンだ。カギマ・メシル、最終軍歴は2等空尉、パイロットだね。1昨期満期除隊している。)

クラウディアは降下兵であり、パイロットであれば同じ大隊先任の可能性がある。が、基本軍用ホバーは遠隔無人機なので直接の面識はほとんどなかった。


「パイロット? 先の無人機は彼の操作の可能性があるってこと? 射手は?」


(軍では、ナキシ・カギというインカーネーションAI、と組んでいたようだけど、今は所在不明だね)


セタセアン、列強オルガノイドでアースリング。かつては水棲哺乳類であったが、そこから進化した半陸棲体である。そのためか、素体としてエンセライド製の多脚体を好んで使うことが知られていた。その空間把握能力から優秀なアースリングのパイロットといえばセタセアンであることが多い。


(どうする?)


(ナキシ・カギならよく知ってる。銀河帝国時代から生きてるって噂の長命のパーソナリティAIだね。ちょっと聞いてみるよ。)


「ニュート、モニターしていたなら返事しなさいよ。散々コールしたのに。て、ちょっと聞いてみるって何を?」


(何をって普通に、さっき”槍”で殺されかけたって話して、お前か?って)


「…。」


(ちなみに、そのセタセアンだけど、たぶん、ハーヴグーヴァって奴だよ。)


「なにそれ? エイリアス?」


(”ゲーム”のね。ノアもよく知ってるだろ?)


(ああ、奴か。組んだことはないけど、先のセクト対シティ戦で向こう側の助っ人やってたな)


「因みに、ノアもエイリアス名乗ってるの?その”ゲーム”で。」


(ノアはノアのままだよ姉さん)


なんとなくちょっと安心してクラウディアが続ける。

「で?」


(素体なら、1体用意した。家のポッドに入ったら起動してくれれば、ヴィレッジですぐにも入れるよ。)


「どんな手使ったのよ?」


(別に?普通にありのままを話して交渉しただけだ。彼(彼女)めちゃくちゃ怒ってたよ?)


「彼(彼女)って?」


(ビレッジの管理AIに決まってるでしょ。まさか、あんなドーム破壊やらかすとは思っていなかったってさ。ライブラリ権能つかって横柄に軒先使われたんだろう。奴らAIの性格慮らず逆なでするのなんでかね?)


(ノア、君にもビレッジAIのサポートで先の管理情報空間に健在できるようになっているから、姉さんが素体起動したら、湖の宿舎ポッドから共有視界入ってサポートしてくれ。)


(もちろんそうするが、ニュート、君は行かないのか?)


(ちょっと野暮用があってね。軍の関与の調査と主人の元に帰るだろう素体の方は任せるよ。ねえさんが相手を物理制圧しようなんて短慮起こしたら止めてくれ。)


「ちょっと、あの子巻き込んだあんたが、ライブラリと直接もめるのはまずいでしょ。て、あんたたち寄宿舎に居るんじゃないの?」


(明朝、政治的調整がセクトとシティ、ライブラリと始まる前に、物理的に一つ片づけなきゃならない問題があるんだ。)


「ニュート!」

呼びかけても、これ以上の返信はなく、クラウディアは少し逡巡したが、やがて4翔を広げると、実家に向けて離床した。久々に自由に飛べる解放感に浸ったが、セクトAIから警告受けるような危険飛行はもちろん取れず、まっすぐにセクト街区のはずれにある、クアザール姓族居住地域のコンパートメントの一つに降りた。

マンティコアは経済的には完全な母系社会であり、このコンパートメントも彼女とニュートの母親から受け継いだものである。マンティコアは卵生であるが、そこからは必ず雌雄2体が生まれる。雄体であるマンティフィロスには財産継承権はない。そのため、5令になると雄体は家族の元を離れ、そして婚合して終令を迎えれば雄体としてその母の目の前に立つことはない。入り口で振り返るとクランハウスに灯が見えた。

(母さん。)

クラウディアの母は、クアザールの首長であった。公の立場もあったのだろうが、あまり家族的な幼年期を過ごした記憶がない。ニュートロンに関しては、その母は、愛情何よりもどう扱えば良いのか苦慮している様子であった。6周期上の姉兄がいたが、3周期ほど前に姉は戦死、兄はニュートを可愛がっていたが、昨周期、フォトニア姓族の娘と婚合意した後、外交官のマンティコアとしてシティで勤めに入った。それ以来、母はクランハウスからコンパートメントに寄り付かず、此処はほとんどニュートロンの1人住まいとなっている。


気持ちを切り替えて、部屋に入ると、ニュートロンが使っていると思われるポッドを探す

(何このワイヤーののたうち具合、、、)


「ニュート、そもそもこれ私のインプラントと適合するの?」


返事がない、代わりに、ポッドのカバーが跳ね上がる。

少し逡巡したものの意を決して潜り込む。が、


「足入らないじゃない!」


すると、インプラントにエージェントAIの声が


(クラウディア、リンク調整してますので暴れないで下さい。ニュートと遺伝情報は近いので20秒程で素体とオルガウエア共有が完了します。)


「これ、私の生体、無防備なままじゃない!」


(この部屋の環境視界と接続しますから、何かあったら覚醒して対応することが出来ますので、暴れないで!)


自分の視覚がやたら暗い空間を映し出すと、次に聴覚が繋がった瞬間、物凄い轟音に跳ね起きた。


「音楽?此処どこよ?」


(ココ、遅かったね、今君と共有視界開いたんだけど、此処は、どうやら営業中のバーらしいな)


「ノア、視覚調整お願い、ん?なんかやたら天井高くない?」


(あー、ココ? その、なかなか似合う、と言うか、これ以上平和な素体は見つからないと思うけど、、、)


不安に思い、クラウディアは恐る恐る共有視界で客観視を試みた。

結果そこに見たのは、


ゴスメイド衣装の、

ヒトの幼女が呆然と立ち尽くす姿だった。





クラウディアのイメージは若草物語のジョーが軍人になったらこんな感じかと。一通りキャラが出揃ったら冒頭のエピソードに戻りますが、クラウディアが動き出すと止まらない感じなのでもう少しかかるかもしれません

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