表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一人一人に物語を  作者: 総督琉
第一章5『憎しみの黒薔薇』編
87/110

物語No.80『防人』

 黒薔薇学園には無数の黒い魚が泳いでいた。

 校庭には、魚に喰われたであろう人間の残骸が幾つも転がっていた。


 花壇に隠れながら、十一人の少年少女は策を話し合っていた。


「あんな狂暴な魚がどんだけいるって話よ……。この中を突っ切らなきゃ校舎内に入れないってことでしょ」


 夏目が不安そうにそう呟く。


「一回私の魔法で攻撃してみる」


 愛六はそう言い、魚のすぐそばに水玉を出現させた。

 遠隔での魔法発動の際は精霊ミナカの力を借りてはいるが、近距離であれば愛六は自分の力で水玉を出現させることができる。


「溺れはしないか」


 魚は水玉に閉じ込められるも、魚が溺死することはなかった。


「じゃあ今度は、」


 魚のそばに極小の水玉を出現させ、


「『膨水』」


 水玉は勢いよく膨れ上がり、魚を水圧で押した。


「へぇ」


 魚は紙が焼け落ちるように消滅した。


「攻撃力はあるみたいだけど、耐久力は少ないみたいだね」


「じゃあボクの魔法で一掃して、その隙に校舎内へ飛び込めばいい。耐久力が少ないのなら、群れで襲いかかられない限り余裕でしょ」


「そうだね。じゃあそれで行こうか」


 百の提案に二月が同意する。

 他の者たちも頷く。


「『開国』」


 王家魔法は開かれる。


「『王雷(エクレシウス)』」


 稲妻が魚の群れを次々と攻撃し、それによって校舎へ続く道が開かれた。

 穂琉三が先陣を切って校舎へ駆け込む。


「穂琉三、もっと皆とペースを合わせて」


 だが穂琉三に愛六の声は届かない。

 今は一秒でも早く奈落を探したいと思っていたからだ。


「『火拳槌(カグヅチ)』」


 穂琉三は自身で拳を燃やすことができていた。

 火傷しないような対処は精霊ヒルコが行う。


 燃える拳が行く手に立ち塞がる魚を次々と燃やしていく。


 穂琉三は一心不乱に校舎へ飛び込み、龍が占拠している体育館を目指して走っていく。


「銀ちゃん、穂琉三は私がサポートする。あとは任せたよ」


 愛六はギアを上げて穂琉三を追いかける。


「ねえ、私も単独行動していいかな」


 十月撫子が退屈そうに告げる。


「だが危険だ」


「私は周りに人がいると全力出せない。それで死んだら笑えない。じゃあそういうことだから」


 そう言って十月は高く飛び上がって屋根の上を走っていった。

 徐々に団結が乱れていく。


「とりあえず中に入ったら二手に分かれて首謀者を探す。群れで来られた時、一人じゃ戦えないからね」


 二月は下駄箱へ入り、影魚を警戒しつつ作戦を話そうとしていた。

 その時、サメ型の影魚が二月らの頭上を通りすぎた。


「……っ!?」


 その魚の突進により天井が崩落し、瓦礫が降る。


「『反射鏡(ルミラー)』」


 二月らを幾つもの円形鏡が囲む。

 瓦礫が鏡に触れた瞬間、降ってくるのと同じ威力で反対側へ吹き飛んだ。

 瓦礫同士がぶつかり合い、全員が無傷でその場を凌いだ。


「私は戦えはしませんが、守れはします。背中は私に任せてください」


 周防がそう言った。


 ルミラー家は鏡花魔法(ミラーガーデン)の使い手。

 その魔法は特殊な魔法効果を持つ鏡を顕現させる魔法。


 彼女はその魔法で仲間を守る。


「助かった」


 全員は無傷でサメを捉える。


「他の魚とは違うみたい。魔力が強く込められている」


 二月はその目でサメに込められた魔力を見る。


「なんだろう。なんか……」


 サメに込められた魔力は波を打ち、ゆっくりと増幅していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ