物語No.34『新たな接続者』
五月十二日。
日向穂琉三が17ポイント。瀧戸愛六が24ポイント。
神妹は二人に告げた。
五月十三日、学園に出現する敵はこれまでとは比べ物にならないほど強敵であると。
愛六は治りかけではあるが、まだ腕に痛みはある。
穂琉三は痛みがまだひどく、骨折も治っていない。
もし神妹の話が本当であれば、この状況で戦って勝てる見込みはほとんどない。
二人は授業に集中せず、ずっと戦い方を考えていた。
あっという間に放課後を迎える。
夜までの時間が迫る。
「穂琉三、何か思いついた?」
「いや、何も……」
「まあいつも通りやろう。結局今日を生きれなきゃ意味ないしね」
「うん」
穂琉三と愛六は少しの雑談を交わし、それぞれ部活へ移動する。
穂琉三は不思議写真同好会へ。
既に撮鳥が待っていた。
待望の顔で。
「待っていたよ。日向」
撮鳥は今にも言いたそうに口角を上げる。
「日向、これは不思議写真同好会として耳寄りな情報だよ」
「へえ、どんな写真?」
撮鳥は懐に隠していた写真を恐る恐る穂琉三に見せる。
毎晩モンスターを見ている穂琉三は驚く自信がなかった。だが写真を見て、驚かざるをえなかった。
「これって……」
撮鳥が次々と見せる写真の数々。
空を飛ぶほうき、木々が倒れた先にある巨石、夜に空中に浮かぶ人影。
「凄くない!」
撮鳥は目を光らせて穂琉三のリアクションを待つ。
穂琉三はある考えに至る。
──接続者は僕らだけじゃない
穂琉三は見開いた目である考えに至る。
明日に訪れるという強敵。
自分達だけでは勝てるかは分からない。
もし自分達の他に接続者がいるというのなら、その者の手を借りてみよう。
「撮鳥、この写真を撮った場所ってどこ?」
「それはね──」
♤
十七時。
僕は校門の前で撮鳥さんと一緒に立っていた。
しばらくして、少女の吐息が聞こえる。
「一足先に部活を抜け出してきたけど、用事って何?」
「撮鳥さん」
「はい」
撮鳥さんは先ほど僕に見せたように愛六に写真を見せる。
愛六は目を見開き、撮鳥さんと僕に目を交互に送る。
「……え?」
よく見ると、愛六は僕の側に浮かぶヒルコを見ている。
「なるほど」
ヒルコは何かを理解したようだ。
「安心しろ。撮鳥は接続者に関する情報を知らない。その写真は撮鳥が偶然撮ったものだ。ただこの世界で起こるいくつもの不思議な現象の一つとしか思っていない」
どうやら僕が接続者のことを打ち明けたか疑っていたようだ。
ヒルコの声は撮鳥には聞こえていないため、事情の説明をヒルコに目配せで頼んだのだろう。
「へえ、面白い写真だね」
愛六はすぐに表情を変える。
一瞬見せた険しい表情は曇りの月のようにすぐに隠れ、興味津々な表情に移り変わる。
「それじゃあこれから写真を撮った場所に行くってこと?」
「うん」
「楽しみだな。やっぱこういう写真って興味をそそるよね」
「瀧戸さんもこういうの興味あるんだ」
「結構好きだよ。だって面白いじゃん」
撮鳥さんと愛六はすぐに打ち解け、楽しそうに話している。
早すぎる。
さすがは学年だけでなく学校全体でも好かれる人だ。
「撮鳥さんって他にもそういう写真持ってたりするの?」
「うん。そういう現象について興味を持ってる人達の集まりがあるから、度々そこに行って情報収集してるんだ」
「その写真についての情報も何かあるんだ」
「どうやらこういう現象が起こり始めたのって四月くらいからなんだよ」
四月……。
僕と愛六が接続者になったのも四月だ。
というより、扉に出逢った日。
異世界を望めば扉が現れる。
僕も遭遇している。おそらく愛六も扉が現れたはず。
僕ら以外の前に扉が現れたって何ら不思議はない。
「ねえ、近くに学校とかってあるの?」
「あるよ。百花学園っていう中高一貫校」
愛六の質問に撮鳥さんが答える。
愛六は少し考え込むような仕草をした。
「じゃあ行こっか。現場に」
全ての現場に行った。
ほうきが飛んでいたという場所、木々が倒れている場所、夜中に人が浮いていたという場所。
そのどれもが、百花学園の近辺で行われた出来事だった。
そのことから、愛六はこう結論を出した。
「接続者は百花学園にいる」




