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From 五蝶
──いつか君に返せたら
花びらが舞う花園。
日の光が眩しい空の下。
駆け回る俺が見たのは、花に祈りを捧げる少女の姿だった。
足を止め、彼女に近づく。
「ねえ、何をしてるの」
「約束したの」
「約束?」
「私に好きな人ができたら、その人のことを命を懸けて守りますって」
不思議な少女だった。
「どうして花に祈るの?」
「それはね──」
彼女は笑顔で言った。
その言葉を、今でも覚えている。
あの日。
俺の人生が花開いた。
だけど、もう枯れてしまった。
その花はもう、ここにはない。




