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一人一人に物語を  作者: 総督琉
第一章3『花園で眠る君に』編
37/110

From 五蝶

 ──いつか君に返せたら



 花びらが舞う花園。

 日の光が眩しい空の下。

 駆け回る俺が見たのは、花に祈りを捧げる少女の姿だった。

 足を止め、彼女に近づく。


「ねえ、何をしてるの」

「約束したの」

「約束?」

「私に好きな人ができたら、その人のことを命を懸けて守りますって」


 不思議な少女だった。


「どうして花に祈るの?」

「それはね──」


 彼女は笑顔で言った。

 その言葉を、今でも覚えている。


 あの日。

 俺の人生が花開いた。

 だけど、もう枯れてしまった。

 その花はもう、ここにはない。

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