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一人一人に物語を  作者: 総督琉
第一章2『瀧戸愛六の葛藤』編
36/110

物語No.33『これからの戦い』

 七時。

 穂琉三とヒルコ、愛六とミナカは稲荷とともに神社に集まっていた。

 遅れて神妹が姿を現す。


「やっと来た。遅いよ」


「そうですね」


 愛六のからかいに神妹は優しく微笑む。


「では話をしましょうか」


「さあ、何の話かな」


「今日は五月十二日です。明日が何日か分かりますか」


「何その簡単な問題。十三日でしょ」


「はい、そうです」


「ん?」


 てっきり意味不明な回答が帰ってくるのかと期待していた穂琉三だったが、順当な回答に肩をおろす。


「ねえ、何の質問?」


「五月十三日。この日、あなた方がこれまで戦ったモンスターとは比にならないほどの強敵が現れます」


 穂琉三は肩を震わし、愛六は口角を全開で上に上げる。


「へえ、だいぶ恐いね」


「愛六、それ恐いって表情じゃないよ」


「そう?」


「強キャラみたい」


「ならこれからそうしようかな。その方がハードルも上がって最高じゃん」


 愛六と穂琉三の会話が一段落するのを見計らい、稲荷が再度口を開く。


「──ので、今日はあまり怪我をしないようにしてください。さすがに怪我をした状態で明日の敵と対峙するのは死を表しますから」


「へえ、やっぱ怪我完治させてほしいな」


「無理ですよ」


 神妹が傷を完治させることができるのか、愛六はまだ半信半疑だった。

 神妹の能力は未だ不明な部分が多い。

 その上過去の記憶に浸った際に、夜の学園で出会った女性が誰かと話をしている際に、「神妹」という名前を使われている。


「ねえ神妹、私たちのような接続者って昔からいたの」


「いつからかは言えませんが、あなたたちが初代でないのは確かです」


 やはりあの記憶は真実だ。

 だとすれば神妹は一体何者なんだ。


「神妹も昔からいるの? 小学生の時も中学生の時も、神妹のことは見たことないよ」


「まあ、私は長らくこの学園にいますよ」


 普段から高等部の制服を着ている神妹。

 もしかしたらずっと高校生なのか。

 だとしたらもっとたくさんの魔法を使用できるのか。

 そもそもなぜ何年も学園で接続者を導くようなことをしているのか。


「私のことが気になりますか」


「当たり前だろ。隠していることが多すぎる」


「そうですか。気になるのでしたら学園を守り続けてください。守っている内に目を背けたくても気づくことになりますから」


 決して神妹は語らない。


「それは楽しみね」


「気になるな」


 学園の真実を、接続者の真実を、二人はまだ知らない。

 だがいずれ知ることになる。

 全てを。


「では楽しみにしていますよ。あなた方が異世界から学園を守ってくれることを」


あとがき


第一章2はここで終わりとなります。

第一章3は異世界から来る敵との戦いが更に激しくなります。


これまで読んでいただきありがとうございます。

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