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案件41「勝つは信じる者か?2」

 別にガラムさんが弱いから笑ったわけではない。


 まるで追尾するかのような剣閃は確かに、こちらが如何に動こうとも回避するのが難しい。


 しかし、技量があるから強いと言うわけでもない。さらに言えば、ガラムさんは強くないのだ。


「何が可笑しい……」


 ガラムさんは少し気に触った様子だ。


「いえ、ごめんなさい。私が、どれだけとんでもない奴らと一緒に居たのかが分かって、笑えちゃったのよ」


 恐ろしいことだと思うが、魔王を含め魔族がいかに恐ろしい化物だったのかを再認識した。


「何を、言っているか! 俺が、魔族一党に劣るとも、取れる言い様ではないか……!」


 納得してはくれないようなので、こちらも相応の態度を見せつけてから片を付けよう。


 まずは袈裟懸けの斬撃を、“爆蹴ズ”があるとは言え――女の細脚で蹴りで弾き返す。


 ダンのように剛強な剣で叩き潰しに来るわけじゃない。


「これならどうだぁっ? 『フレア・バースト』!」


 それなりの使い手だとは思っていたが、広範囲魔法まで使ってくるとは……。


 放射状の炎から逃れるため、飛び退るものの間に合わない。


「温い! 私がただ逃げただけだと思わないで頂戴ねっ!」


 逃げるのを諦め、宙に突き出たパイプを利用してバック転宙返りを繰り返す。


 パイプが壁の代わりを果たし、漏れてくる熱を“風呼びのポンチョ”が纏う風と“爆蹴ズⅢ”で生み出す衝撃で防ぐ。


 ブロスであれば、ただ噴射し続けるだけではなく維持したまま肉弾戦に持ち込んでくるはずだ。


 炎が止み、運動した分の汗が額に浮かび上がる。


「む、無傷だと……?」


 俺自身はそれほど凄いことをしたつもりはないんだけど。


 第一、リーサほどの“魔エネルギー”があれば蒸し焼きにできていたことだろう。


「少ないリソースを如何に扱うかも重要よ。その二輪だって、ただの飾りって訳ではないでしょう?」


 趣味で乗り回していると言いつつも、戦場に持ってくるくらいだから決してガラクタでは無いはず。


 使えるものを効率的に使うか、効率を重視して取捨選択するか。


「……クッ! ならば、着いてこい!」


 手負いながらも蒸気二輪に跨がり、ガラムさんが走り出した。


 まだ動かせる程度に“魔エネルギー”があってくれて良かった。


 俺は廃墟を飛び越えながら、舗装されていない道路を走行するガラムさんを追う。


 悪路で速度を落としているとは言え、単純に瓦礫を飛び渡るだけでは追いかけるだけで精一杯だ。


 しかもここで、大きく拓けた場所へ出た瞬間に、反転したかと思えば迎撃を敢行してくる。正しい判断だ。


「覚悟っ!」


「まだよ!!」


 お互いの気迫がぶつかり合う。


 廃屋から距離があるせいで、蹴りの速度は落ちていた。反して、ガラムさんはすれ違いざまに足を狙ってくる。


 もう片足でなんとか“ロングソードⅡ”を弾くのに成功し、一回転しつつ地面へ着地する。


「悪いけど、負けられないわ……」


 それはガラムさんもだろう。けれど、こちらは命懸けだ。


 自分だけではなく、リーサの命も背負っている。


「異教徒に鉄槌をぉっ!」


 また反転して、後ろから切りかかってくる。


 どっちへ逃げる!? 横? それとも頭上を飛び越える?


 思案した瞬間に土と礫が吹き上がり、ガラムさんを逆ウイリーさせる。


「なっ!?」「これって!?」

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