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案件26「ダンジョン・セキュリティの優位性4」

「魔王様に怒られる……魔王様に怒られる……――」


 以下繰り返し。


 ちょっと脅かしすぎたか。


「冗談よ。って言っても、復活には時間がかかるわね」


 戻ってくるまで置いとくとして……まさか、ここまでセキュリティに引っかからず来るとは思わなかった。


 もしかしなくても、『スルーニング』で完全に存在を消して近づいてきたのだろう。声を掛けられるまで気づかなかったのもそのためだ。


 風の“マテリアル”の中では、ダンジョン攻略にかなり使える魔法なんだが。


 ご想像の通り、かなり“魔エネルギー”を消耗する。


 わかりやすいところで、『サンド・ウォール』の10倍である。


「『スルーニング』を最速でも3時間ほど維持している計算ですね」


「最上質の“マジック・チャーム”で96分だから……ここまで来るのに二つくらいは使い潰すわね」


 これでまだ“チャーム”には手を出していない。分かっていたことだが、“魔エネルギー”お化けだなぁ……。


 エントラが悔しさで表情を歪ませるほどだ。


 慰めの言葉も出てこない。


「まぁ、戻ってくるまで時間が掛かりそうだし、話を進めましょうか。どこまで話したかしら」


「このセキュリティは、警報装置と呼ぶにはいささか騒がしさが足らないってところまでッスね」


 おっと、ここで復活してきたのはアサガオだ。


 こうも早く回復させる辺り、さすがは兄妹。ユウガオって、こういうところでは献身的だよな。


 さて、なかなか悪くない話題のすり替えありがとう。


「そんな話でしたか?」


「そんな話だったわっ」「そんな話だったッス!」


「え……えっと、はい……」


 女の強引さでなんとか誤魔化した。


 誤魔化せてない? 知らん!


「警報装置としては、確かに音声関係は切ってるわね。まぁ、これには理由がちゃんとあるわ」


「ポインセティスの時は、あの音量に驚いて声を上げてしまったんでござったな」


 『サンド・ウォール』ではなく『ストーン・ウェーブ』でベルなどを叩けば、音で賊や探索者を威嚇することができる。


 ダンジョンのトラップとして今までもなかったわけではないのだが、ここにおいてはセキュリティ(警備)の目的として効果が薄いので削ってある。


 ユウガオの言う通りの結果になるか、相手を驚かせて追い払うか。もしくは、危険を知らせる。


 警報音の役割はそんなところだ。


「あの時、先にユウガオを捕まえられたのは大きかったわね」


 『スルーニング』を得意とするユウガオが逃げずに、アサガオを庇ったのでついつい俺も口裏を合わせてしまったな。


「ポインセティス……あぁ、勇者様が僕から逸れてしまっていた間の話ですね。なぜ僕に話しておいてくれなかったのですか……」


「あれはエントラがはぐ……いえ、話したらあの時点で余計なことを言ってたかもしれないでしょ?」


 サウスパラディスの少し上にある街に向かう途中の話だ。


 子供扱いするとエントラは怒りそうなので、とりあえず俺が逸れたってことにしておく。ほ、本当に迷子だったのはエントラなんですよ?


「兄者の想いを台無しにしたのが私ってことッスね。ハハハハハッ!」


 まさに笑い事だな。


 あそこでユウガオと運命を共にする気で姿を現したのがアサガオだ。


 けど、そうしてなかったら俺は二人を助けなかっただろう。魔王討伐に同行させなかったと思う。


 おっと、しみったれた昔を懐かしむのはこれぐらいにしておこう。


「閑話休題よ。探索者を倒すのが目的なら、わざわざセキュリティの発動を教えてやるようなことしなくても良いってことね」


「なるほど、巡回魔族の集団で叩くことに特化した仕組みなのですね。もしかして、攻撃型の罠を階段近くに配置しているのも?」


「良くわかってるじゃない。次のフロアから遠い場所で怪我をさせても、こっちは回復の前に到着することが難しいわ」


「素晴らしい采配です! しかし、それでは……」


 調子の良かったエントラが表情を曇らせる。


 分かっている。


 繰り返しになるが、ダンジョン攻略できない所為で探索者が来なくなった。


 俺の仕事は、まず探索者を呼び込む手段を考えることだ。そして、まだまだセキュリティを強化しなくちゃならん。


「あぁ、ここの初心者ダンジョン脱却について、一つ言い忘れていたことがある」


「リーサ、いつの間に戻ってきていたの?」


 正気に戻ったリーサが、何かほざき始めた。


「私の扱いちょっと雑じゃないか?」


「気にしちゃ負けよ。それで、いったい何を言おうとしていたのかしら?」


「……うん、それなんだけどな――」


 リーサは腑に落ちない様子だが、話を続けてくれる。


 褒めすぎても自分の世界に行ってしまう。下手なことを言おうものなら、モザイクが必要になる。


 後はまぁ、可愛い子ほどイジメたくなるあれかな。


「――俺もやってくるって話だろ」


「あー……ブロス」


「何で俺がここにいるかは聞かないんだな」


「そんなこと、聞かなくてもわかることだからよ」


 ダンジョンの臨時休業になるくらい、人がそっちに流れてるわけね。

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