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裏切って何が悪い!  作者: Shota
第1章 修行しても意味ないじゃん編
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第9話 賭け


辺りは喧騒と熱気に包まれている。

太陽は地面を焼き、台地にはゆらゆらと揺れる陽炎ができている。

小鳥のさえずりもさわやかな風の音も聞こえない、俺の耳に聞こえるのは罵詈雑言俺自身に向けられたものだ。

そう俺は今団長との約束を果たすために闘技場にいる。

俺の目の前にいるのは下卑た笑みをその不細工な顔に張り付けた屑身だ。

とうとうやってきたのだこの日が、俺と屑身の一騎打ちが。

結果次第では俺はみんなと一緒にダンジョンに連れて行ってもらえる。

とにかく一本でいいあいつから必ず奪って見せるっ!


このだだっ広い円形型の闘技場俺たちの世界で例えるならコロッセオみたいな感じだ。そこに俺と屑身は向かい合う方たちで決闘開始の合図を待っている。

観客席にはクラスメイトや騎士団の人たち他にも町の人やひいてはこの国の国王まで見物に来ている。

国王と王妃それに王女様は王族専用の場所から高みの見物としゃれこんでいる。

くそっいい気なもんだぜみんなはさぁ~

なぜこんなにも人が集まったかのかと言うとそれは第一王女ララフィネア・ローランドのせいだ。

先日俺と屑身の決闘のことを知るや否や自分の父である国王にこの決闘を大々的に広めようと進言しやがったのだ。つまり今回の決闘をお祭り感覚で人を呼び客から入場料を徴収しようという腹積もりなのである。

全く人の決闘を何だと思ってやがるんだあのクソ王女、いつか俺の前にひざまずかせてやる。


にしてもかなりのアウェイ感だわこれ・・・

クラスメイトはもちろん勇者でありながら何の役にも立たないと、そんな余計なことを国民に広めやがった誰かさんのせいで俺はこの世界に召喚されるなり国民からも嫌われている。

まぁ~いい、アウェイ感?悪役?役立たず?そんなもん知ったこっちゃねぇ~むしろこれより悪くなるなんてないだろう。ならこっちは存分にやらせてもらうだけだ。

俺はそう思った。


ヒュンッ!

「うおっ!」

パリンッ!!


オウ、ナンダコレ!?

いきなり酒瓶が飛んできた。これより悪い状況がありました。


「おうっ!この役立たずの勇者がぁ!お前が俺たちの税金でただ飯食らってんの知ってんだぞ!」

「そうだ、そうだこの役立たずの勇者が!」


えぇ~あることないこと吹き込まれちゃってるよこの国の国民ども。さすがにこれに関しては俺も少しイラっと来るものがある。


ヒュン!

「チっ!また酒瓶かよ」

俺は波風立てたくないし、ここで先程みたいに酒瓶をかわせばまた今みたいにもう一度飛んでくると思ったのでここはわざと当たっとくようにしようと考えそのまま棒立ちになっていると・・・


スパンッ!!!

当たる寸前だった酒瓶が真っ二つに切断されて俺の後ろにそのまま飛んで行った。

俺は突然の状況に一瞬思考回路が停止した。

だって俺の目の前にいるのは俺の奴隷であるリアなのだから。

リアは確か他の勇者たちと同じように観客席にいたはずでは?

俺がそんなこと考えていると。

抜刀状態から既に剣を鞘に納め直したリアが振り向きながら俺に声をかけてきた。


「お怪我はありませんか誠様?勝手に主の決闘の場に足を踏み入れたご無礼をお許しください。」

リアはそう言って俺の前に跪いた。


「別に怒ってないよリア。君は俺のためにしてくれたんだろ?ありがと。」

そう言って俺がリアに感謝の気持ちを伝えると彼女はとても嬉しそうな顔をする。そして観客席に向き直り。

観客に向かって・・・



「神聖なる我が主の決闘に水を差すなっ!!!!」

この広い闘技場全体に届かんばかりの大声で彼女はそう言い放った。


それに対し観客は心底面白くなさそうだ。そりゃそうだ獣人族である彼女にここまで言われたのだ人間共が黙っているわけがない。

「黙れっ小汚い獣人族風情がっ!舐めた口きいてっと殺すぞ!」

「そうだそうだ!お前こそ割って入ってくんな!」

「勇者様そんな小娘そこの役立たずと一緒にやっちゃってください!」

そんな彼女に対する罵詈雑言が聞こえてくる。それに対し自分に期待されているとわかった屑身の方はと言うと・・・うん、心底この場の主役であるかのように自分に酔いしれている。


「けっ!役立たずの勇者の奴隷なら小汚い獣人族がお似合いってか!」

「わハハハハハはっ!」

一人の男の言葉に対し会場全体が嘲笑に変わる。


「黙れ、殺すぞ。」

リアがそう一言。

その瞬間観客席全体にリアの殺気が広がる勇者はもちろん体制のない一般人の中には口から泡を吹いて気絶してるものもいる。

「リアのことはどれだけ、けなされてもかまいませんですが誠様を悪く言うのはやめてください。誠様はこの一週間本当に努力していらっしゃいました。死に物狂いで訓練をしてきました誠様はあなた方が思っているような役立たずの勇者ではありません。」


リアのその言葉に観客席は静まり返った。それもそうだ先程の殺気は綺麗に消えている。

にしてもさっきのリアのあれは何だったんだろう?まぁ~いいや後で聞こう。

それよりリア、俺以外の人間には容赦ないなww


パンパンッ!

「注目!」

「それ以上の争いはローランド王国憲法第6条、決闘による取り決めで解決してもらいますよ!観客席にいる方で名乗り出るものは!」

その問いに観客席にいた者の中で名乗り出る者はいなかった。

「それでは異論はないようですのでこれ以上勇者様の神聖なる決闘の場を不用意に踏み荒らすのはお控え願えますね?」

コクコクコクッ!

彼女の言葉に観客はみな一斉に首を縦に振る。

「リア様もそれでよろしいですか?」


「はい、クリフィネア王女殿下。私に異論はございません。」


そう、今の一連の流れはローランド王国第二王女クリフィネア・ローランドによるものだ。

彼女が助け舟を出してくれたのだ。


「誠様、神聖なる決闘の場をわが国民が土足で踏み荒らしてしまい申し訳ございません。」

そう俺に謝罪する。

なんてできたお姫様なんだ、あのクソ王女とは大違いだ!


「いえ、大丈夫ですそれよりリアを罰することのないようにお願い申し上げます王女殿下。」

俺は一様公式の場なので姫の顔を立てることにする。


「それに関しては問題ありません今回は全てこちらに非があります。リア様を罰するなどお門違いもいいところです。」


「ご寛大な判断感謝します。」

そう言って俺とリアはクリフィネア王女に頭を下げる。


「それではこれより我らが人族の神アステナ様の加護のもとローランド王国第二王女クリフィネア・ローランドの名のもとに神聖なる決闘をここに宣言する!」

クリフィネア王女殿下の宣言により闘技場内はふたたび活気を取り戻した。活気と言っても俺へのブーイングなどが大半だがなっ!


ちなみに各種族にはそれぞれ崇める神がいて人族の場合その神がアステナ神というわけだ。

他の種族に関しては魔族がヨルムンガンド神、獣人族はクラガ神、龍族はナーガ神、エルフ族はエトワール神、ドワーフ族はハルバート神、神族はラファエル神みたいな具合になっている。

さて余談はさておきいよいよ決闘の幕開けだ。必ずこいつから一本取ってやる。


決闘を告げる鐘が今鳴らされる!


「ちょっとまった!」


そんな声とともに審判の手も止まる。

声の主は屑身だ。

なんだこいつ今更怖気ずく玉じゃないだろ?どうしたんだ?そう俺が考えていると、屑身からある提案をしてきた。


「なぁ~黒川、ここはひとつ賭けをしないか?」


「は?何言ってんのお前」俺は素でそう返した。それに対し屑身はというと。


「いやさぁ~ただの勝負じゃつまらないだろ?それに一応お前にはハンデをやるよ。そぉ~だな一本じゃなくてかすりさえすればお前の勝ち、それでどうだ!」


「いや、だから賭けってお前それ俺に何の得があんの?」

勿論この賭けに俺は乗るつもりなど最初からなかった。


「なら、こういうのはどうだ勝った方が相手の奴隷メイドをいたただくってのは、そんで負けた方が自分の奴隷メイドをさしだすってことで、もちろんとるわけじゃない一晩好きにできる権利をゲットするって話だどうだこれならお前も得するだろ?」


あ~なるほどこいつの目的はリアか、うん、これはクソみたいな取引だな!よし、断ろ

そう思って俺が断ると口にしようとしたとき・・・

屑身は言った。


「わかっていると思うがお前に拒否権はないぞ。わざわざこの俺が決闘で決めてやるって言ってんだ。いつもならお前から即奪ってさよならのこの俺がだぜ?感謝してほしいくらいだぜ。」


なるほどこれが背水の陣と言うやつか。いや、微妙に違うかな?まぁ~よくわからんがどっちにしろ俺に逃げ道はないということだけはよくわかった。

どうする俺絶体絶命、最大のピンチじゃん!ヤバいリアを失うと考えるととても怖い。


「その勝負受けて立ちますっ!!!」

観客席の方からそんな声が聞こえてきた。リアだぁ~あいつ俺のことだから絶対勝つって信じ切っている。


「私のご主人様である誠様が負けるわけありませんっ!先に申し上げておきますが先程あなたがつけたハンデ今になって撤回とかはなしですよ!あとそれで負けても文句を言うのもなしですよ!」

リア~それ以上はやめて~万が一俺が負けた時のことも考えてぇ~


「いい度胸だなお前のとこの奴隷はよぉ~」

「いいぜさっき俺が言った通りで。クックックッ楽しみだぜお前の目の前であの奴隷メイドを犯してやるのはよぉ~想像しただけでイっちまいそうだ。」


マジいい性格してるぜこいつ。

だが俺だって男だ愛する女の一人や二人守って見せないでどうするっ!

「いいぜ屑身その勝負受けて立つ後で後悔すんなよ」


「ハッ!それはこっちのセリフだ!」


「きゃぁ~誠様頑張って~」

リアが黄色い声援を送ってくれる。まったく俺の可愛い奴隷メイドは俺が絶対勝つって信じて疑わない。ならその期待に応えてやろうじゃん一人の男として!


「ふぅ~いくぞ!屑身ッ!!」

俺は目の前のクソ野郎を倒すべく力強く地面を蹴った———————————



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