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帰宅

目が覚めて上を見ると見慣れない不愛想な蛍光灯に白い天井。

「由利子」と呼びかける声がして、横を見ると兄が居た。

左手に違和感を感じる。見ると点滴がつながっている。


部屋でゲームをしたまま倒れていて、救急車で運ばれて入院していたらしい。

病名は栄養失調と脱水。

「体を作る大事な時期なんだからしっかり食べなきゃダメ」と病院の先生や看護師にたしなめられた。

早速食事が出た。しっかり完食した。

「食べたね。じゃあ退院していいよ」と先生に言われた。


父を待つ間、兄がポツリと聞いた。

「お前ずっと嬉しそうな顔をして寝てたぞ。どんな夢を見てたんだ?」

「夢の中で母さんに叱られてた」

「母さんらしいな。俺もその夢見たかった」


父が車で迎えに来た。みんなで一緒に帰る。

たまには家で作ろうと父が言いだし、スーパーで食材を買って帰る。

久しぶりに食材がうちの冷蔵庫に入る。その日は父がカレーを作ってくれた。

隣で母に教えられた事を思い出しながら、酢の物を作って、土鍋でご飯を炊くと父が驚いた。

家で作るカレーライスは美味しかった。


「レシピ帳は食器棚の引き出しの中」という母の言葉を思い出した。

食器棚の引き出しを確認すると、長い間書き込んだと思われる手帳が出て来た。

表紙に「由利子へ」と書かれている。母の字だ。


由利子へ。

独り立ちおめでとう。

あなたが料理をするときに困らない様に我が家のレシピをここに書いていきます。


ご飯の炊き方、味噌汁の作り方、生姜焼き、肉じゃが、ハンバーグ、大根の煮つけ…

毎日、家で当たり前の様に食べていた食事のレシピが書かれていた。


懐かしい母の字で書かれたレシピ帳…涙があふれる。

このレシピ帳、大切にする。

「由利子ばっかりずるいな。」と兄が呟いた後にこういった。


「俺も母さんの料理を覚えるから、明日から一緒に飯を作ろう」

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