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64.ずっとそばにいるからね。
「ほら……よいしょっと!」
「わ、ちょ……!」
わたわたと焦っている緋和ちゃんを自分の膝の上にのせた。幼児を母親があやすような体勢。
「よしよし、不安になっちゃったー?」
最初は少し抵抗していたが、ゆっくりと頭や背中を撫でるとだんだんと抵抗する力は弱まり、僕の腕にすっぽりと治まった。
「大丈夫だよ。僕や唯木先生がずっとそばにいるからね。」
そう言うと嗚咽が聞こえた。
「っく、く……っ……」
「声を出して泣いていいんだよ。ここには僕たちしかいないし、そんなに声を押し殺したら息もつらいでしょ?」
緋和ちゃんは小さな声を出して泣き始めた。今まで気づかれずに泣くのはつらかっただろう。気づかなかった僕も僕だ。
しばらくして安心してくれたのか緋和ちゃんは静かになった。眠ってしまったようだ。今日は緋和ちゃんのお父さんもきてくれるはずなのでしばらく待つしかないが、僕はそろそろ行かないといけない。
緋和ちゃんをゆっくりと僕の膝からベッドへ移してその場を去った。百萌ちゃんは図書室などにでも行ったのだろうか。後でしっかりと謝らなければならない。




