63.気づかれなかった
カーテンを開こうとすると、素早く閉じられた。
「大丈夫?」
「……だから、何がですか……!」
明らかにいつもの緋和ちゃんの言うようなセリフではなかった。年齢に合った発言に思わず気持ちは緩んでしまった。
「話をしよう。入っていい?」
「……いやです……。」
「お願い、入れてほしいな。……ごめんね百萌ちゃん、ちょっと外してくれる?」
「はい」
いろいろとしてくれたのは百萌ちゃんだったのに追い出してしまって本当に申し訳ないと思ったけれど、このままでは緋和ちゃんは話してくれないだろう。
「聞くのは僕だけだ。それでもダメかな?」
「…………。」
無論、これ以上言ってダメだったら強行突破すら考える。だけどそんな僕の考えを悟ったのか、緋和ちゃんはカーテンを押さえていた手をどけた。
「ありがとう。」
緋和ちゃんに泣いた様子はなかった。緋和ちゃんは目や鼻が泣いても赤くなりにくいのかもしれない。
もしかしたら今まで幾度となく泣いたことがあっても気づかれてこなかったのかもしれない。
「不安に、なっちゃった?」
床にしゃがむとベッドに座る緋和ちゃんが少し上にあった。
「…………。」
緋和ちゃんは黙ったまま。何を話したらいいのかわからないのかもしれない。
「……ねえ、僕もベッドの上に座っていいかな?」
緋和ちゃんは小さく頷いた。
「ありがとう。ところで……緋和ちゃん、僕の上に座っていいよ。」
小さく手を広げると意味が解らないとでもいう風に首を傾げた。
「えーと、だっこだよ、だっこ。ん、」
意味は解ったようだけどなんとも言えない顔をしている。




