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『喧嘩無敗〜魔力0で追放された俺、魔法を拳でぶっ潰す〜』   作者: 緋村 獏


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73.リベンジ


「来るぞ!!」


レオンハルトの号令が落ちた瞬間――

虚ろな魔物たちが地を蹴った。


「あー、あー、あー……!」


壊れた喉から漏れる声が重なり合い、瘴気の靄を震わせる。

十体以上。昨日より明らかに数が多い。


「前を押さえる!」


レオンハルトが前に出た。

銀の盾が視界を塞ぐほどの壁となり、先頭の虚ろを受け止める。


ドンッ!!


鈍い衝突音。

虚ろの体が盾に叩きつけられ、弾かれた。


「ジャック!」


「了解っす!」


ジャックが両手を地面に叩きつける。


「アイシクルバインド!」


大地が軋み、氷の牙が隆起した。

虚ろの足首を絡め取り、数体がバランスを崩して転倒する。


だが――群れは止まらない。


虚ろの群れが二手に割れ、左右から回り込んでくる。

最初から陣形を崩す気だ。


「フィオラ、左!」


「ええ!」


フィオラが踏み込んだ。

剣に冷気が纏い、白い軌跡を描く。


シュパッ!


一閃。

虚ろの頭が胴から離れ、黒い粒子となって霧散した。


続けて二体目に斬りかかる。


だが、虚ろの膝が折れた。

胴が沈み、刃が頭上を空振る。

 

同時に、死角から別の一体が滑り込んできた。


「――邪魔よ」


フィオラが剣を返そうとした、その刹那。

虚ろの口が開いた。


喉の奥で青白い光が渦を巻く。


コオオォォ


光線が放たれた。

至近距離。


「くっ――!」


咄嗟に剣を盾にする。

だが衝撃を殺しきれない。


フィオラの足が半歩、後ろにずれた。

たった半歩。


それを群れは見逃さなかった。


崩れた体勢に、虚ろが二体、同時に飛びかかる。


右側ではジャックが孤立していた。

正面と横。二方向から挟まれている。


短剣が閃き、一体の頭を裂く。

黒い粒子が散った直後――上から影が落ちてきた。


首だけの頭。

口が開き、青白い光が溜まっていく。


「くそっ!」


ジャックが手をかざし、氷の壁を噴き上げた。

頭が弾かれ、軌道が逸れる。


だがその隙に、足元に虚ろが這い寄ってきていた。


その時――

デカい奴が動いた。


腕を振り上げる。

握っていた光る糸が、一斉に引かれた。


ブチッ。ブチッ。ブチッ。


虚ろの首を次々と千切り投げ飛ばした。


頭だけが宙を舞う。

複数の首が、空から降ってくる。


レオンハルトの盾が守る正面じゃない。

わざと裏を狙っている。


陣形の内側、サラの正面


「っ……来る!」


サラが息を呑んだ。


降り注ぐ頭の群れ。

その口が一斉に開く。


青白い光が膨れ上がり、扇状に広がっていく。


「セイクリッドシールド!!」


サラが杖を掲げた。

光の膜が幾重にも重なり、頭上に傘のように展開される。


ドンッ!!


衝撃。


ドンッ!!


連続する爆発。

膜がバキバキと軋む音を立てる。


それでも――割れない。

耐えた。


そう思った瞬間だった。


ドンッ!!


足元が爆ぜた。


レオンハルトの盾の死角。

地面に潜り込んでいた虚ろが、自爆した。


「くっ……!」


足場が崩れ、レオンハルトの体勢が沈む。

盾を回す動作が、一瞬遅れた。


さらに二発目。


ドンッ!!


地面が抉れ、レオンハルトの体が僅かに浮いた。


その隙を――デカい奴は待っていた。


巨躯が地を蹴る。

一歩で間合いを詰め、肩から盾にぶつかった。


ドゴォン!!


銀の盾が横に弾き飛ばされる。

鉄壁の守りに、穴が空いた。


その穴に、デカい奴が体ごとねじ込んでくる。


狙いは最初から一つだけだった。


サラ。


「っ……!」


巨大な手が伸びる。

サラの首を鷲掴みにし、そのまま持ち上げた。


小さな体が宙に浮く。

足がバタバタと空を蹴る。


ぎゅっ。


握り込む音。

サラの喉が潰れるような、嫌な音だった。


「……っ、か……は……!」


声にならない。

空気が通らない。


サラの顔が赤黒く染まっていく。


「サラ!」


レオンハルトが盾を構え直す。

だが足場が抉れている。踏み込めない。


デカい奴は、サラを持ち上げたまま顔を近づけた。

血走った目が、獲物を見つめている。


そしてゆっくりと、口を開いた。


喉の奥で青白い光が渦を巻く。

さっきまでの虚ろとは比較にならない、濃密な光。


至近距離からの咆哮。

強化版。


これを喰らったら――終わる。


ジャックの歯が軋んだ。


「っ……!」


凄まじい速度で短剣を振るう。

氷を噴き上げ、足を絡め取り、頭を裂く。


最後の虚ろが黒い粒子に変わって霧散した瞬間――

ジャックは両手をデカい奴に向けた。


「ストップ!!」


空気が凍りついた。


見えない楔が、デカい奴の全身を縛り上げる。

腕も、指も、開きかけた口も――全てが静止した。


「……っ、きつ……っ!」


ジャックの膝が落ちた。

額から汗が噴き出し、指が小刻みに震えている。


だが、効いている。


締め上げていた指が、僅かに緩んだ。

サラの喉に空気が戻る。


「――ッ!!」


サラが身を捩った。

緩んだ指の隙間から体を抜き、拘束から逃れる。


地面に落ち、転がりながら距離を取った。


ジャックの目が、デカい奴を睨みつける。


このまま拘束し続けることはできない。

限界が近い。


なら――ここで仕留める。


「……ボルケーノ」


掠れた声が、呪文を紡いだ。


ゴゴゴ……。


大地が唸りを上げた。

デカい奴の足元に、赤い亀裂が走る。


熱が噴き出し、地面が赤く染まっていく。


次の瞬間。


ドォォォン!!


炎の柱が、真下から噴き上がった。

逃げ場のない直撃。


灼熱がデカい奴の全身を包み込む。


「あ゛……ァ゛ァ゛……ッ!!」


断末魔が、喉の奥で潰れた。


焼ける肉の臭いが、瘴気に混じって鼻を刺す。


炎が収まっていく。


デカい奴は――まだ立っていた。


だが、もう動けない。

膝は笑い、腕は炭と化し、指先から崩れ落ちていく。


血走った目だけが、虚ろに宙を見つめていた。


瀕死。

いや、もう死んでいるのかもしれない。


ただ倒れていないだけだ。


「……これ……きつい、っす……」


ジャックが地面に手をついた。

全身から力が抜けている。


サラは喉を押さえ、荒い息を繰り返していた。

フィオラの呼吸も乱れ、額には汗が浮かんでいる。


レオンハルトの盾には爆発の焦げ跡が刻まれ、

足元の地面は無残に抉れていた。


全員、消耗している。


――その時だった。


「……面倒ですね」


気怠げな声が、背後から降ってきた。


振り返る。


黒いローブの男。ルシ。


薄い青灰色の瞳が、つまらなそうにこちらを眺めていた。


「待ちくたびれてしまいました」


溜息混じりに呟く。


そして、人差し指を持ち上げた。


「まとめて片付けてしまいましょう」


空気が変わった。


周囲の瘴気が、渦を巻き始める。

紫がかった靄が──上へ、上へと昇っていく。


頭上。


無数の魔力の塊が形成されていた。

禍々しい光を放ちながら、凝縮されていく。


そして──。


細く、鋭く、尖り始めた。


槍だ。


瘴気で作られた、無数の槍。

数十、数百──いや、もっとか。


空を埋め尽くすように浮かんでいる。

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