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弟の隣

長かった。最終日までは圧迫面接に及ぶ圧迫面接で根掘り葉掘り聞かれ戦闘試験も十数回行われていた。


そしていよいよ今から行われる最終面接で2次試験の結果が決まる。


「来夢さん第3面接室へ。」


「はい……行ってくるよマー君。」


「お……おう!」


サムズアップして正は面接に向かっていった。


長かった1週間が終わるのだ、誰もがこの面接に命を懸ける気持ちで臨んでいる。だからこの時ばかりは皆目が血走っていた。


おっかねえな。けれどしょうがないと言えばしょうがないか。かくいう私もこの試験に緊張こそしているが万全の状態で臨もうとしていた。


「受かりてえな。」



「鎌田誠さん第一面接室へ。」


いよいよ私の番だ。

私は工業系だが面接には慣れた方だ。

だってこの最終面接の前に英語面接や専門知識面接、精神面接などその他諸々に沢山の面接があったのだ。一体いくつ面接があるんだと思うくらいに。

精神面接に至っては最初の圧迫面接なんて比ではないくらい面接官が怖い。


「君、若いころ犯罪起こしたことあるんじゃないの?」


とかいう質問を連続で出せれていくのだ。そりゃもう疲れた。

休憩時間中正に「あの面接官何なの?」と聞いてみたが


「アレ多分面接官の中に心理学者が混じっているんだと思うよ。もしくは精神分析の医師とかがね。」


それを聞いて私は納得した。


要は飴と鞭というやつだ。よく刑事ドラマとかでやっていたかつ丼のネタと同じことだろう。


そしていま私はその成果があってかきちんと答えられていた。


「じゃあ最後に私から『最近自分のことで発見したことは?』」


急に英語で問われた。おそらく最高責任者クラスの人間だろう。

だが私はこの質問に対しては一つしか言葉を持ち合わせていなかった。


「『私は異世界が大好きだということを再発見いたしました。』」


「マーベラス!いい答えだ!試験結果を待ちたまえ。以上で面接を終了する。」


これで面接が終わった。


面接室を出ると入るときは緊張で気が付かなかったが歴代の異世界渡航者の写真が飾られていることに気が付いた。


「仁さん、それに有名人がいっぱいだ。」


異世界を目指すものなら誰もが知っている人ばかりだった。

そしてもう一つ居て当然だがある意味で憎たらしい顔をした青年の姿。


「鎌田優渡航者」


そう我が誇りでもある我が弟。


「約束ぜってえ果たしてやるからな!」


そういって私は空白の隣に拳をそっとぶつけた。



アメリカ カルフォルニア州サンフランシスコ

サンフランシスコ・アナザーワールドセンター


「おいスグル、申請はしたのか?」


ガンマン風おじさんが優に話しかけてきた。


「申請?なんの」


「家族支援のプログラムだよ。みんな家族とか読んでいるぞ。」


「そーなの?」


「ダンクはニューヨークから奥さんと二人の娘をな。ヒルダは旦那と歳の離れた妹が来る。ミッキーなんて何人もいる恋人全員呼ぶんだぜ。」


「スグルだけ一人ぼっちでどーすんの?」


「……そーだね、じゃあまず一人だけ招待お願いするよ。」


「1人でいいの?」


「うん、両親は出発の時に来てもらうしこれから来てもらう人にはDWAWのみんなに会っとくべきだもんね。」


「………?」


「だってもしかしたら俺らの仕事仲間になるかも知れないんだぜ。」


DWAWにそっと研究の追い風への小さなキッカケが起きた瞬間だった。


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