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人柱

「エルフの国で甚大な被害が出ているんです。知っていることがあるなら教えてください。お願いします!」


 黄マロの(ひたい)からこめかみにかけて汗が滴り落ちる。どちらかというと俺ではなく、お姉さまと呼ぶ赤マロの視線が怖いのだろう。


「そ、それはね~世界樹の木の、じゅ、寿命なんじゃないかな?たぶんそうだよ。うんうん。」


 嘘が下手くそな奴だ。目があちこち泳いでいる。泳ぎ続けないと死んでしまうマグロなみに泳いでいる。


「いいから正直に話すのじゃ。」


「うっう~~~お姉さま怒らないと約束してくれますか?」

「早くするのじゃ。」

「わ、分かったよ~。話せばいいんでしょ。」


 黄マロは赤マロの圧に負けて少しずつ話しはじめた。


「実は・・・テンションが上がっちゃって、、、太陽から降り注ぐ光が強まって、世界樹の木の核が壊れて狂ってしまったの。」

「んん?あなた達はグランネルの世界に対して、直接力を行使することは出来ないのにそんなことがあるんですか??」

「うん。もちろん直接行使できないけど、間接的にならありえるよ。・・・例えば、お姉さまによって生み出されたマグマに触れたら、君は当然死んでしまうでしょ?・・・加えて、私の場合無意識のうちに太陽が反応してしまうことがあるの。」

「なるほど・・・」


「未熟な証拠じゃな。」

「うっ・・・。」


「しかし・・・そうだとするとどうやって解決すればいいんでしょうか・・・・」


「それなら・・・そなたを触媒にして壊れた個所を修復するしかない。」


「え?」

 触媒??まさか俺が犠牲になるのだろうか?まだ死にたくないのだが・・・


「どういう意味ですか??」

「童たちは直接力を行使できない。じゃが人柱を通してなら可能じゃ。概念そのものの童たちは人柱を通すことで具体化するとでも解釈してくれ。もちろんそなたにはかなりのリスクがあるがな。」


 なるほど。俺が一肌脱げば可能性が見えてくるわけか・・・しかし・・・


「具体的にどうやってやるんですか?」

「それはお主たちが1つになるんじゃ。まあそれはすぐに分かる。お主はただ受け止めればいい。」


 いやいやどうやって男の俺と女の黄マロが1つになるの?めちゃくちゃ大事じゃない?そこ。受け止めるの?俺男だよ??というか黄マロはなんで顔を赤くしているの?この話ツッコまない方がいいの?いや、間違えたツッコむとかツッコまないとか攻め手とか受け手とか・・・・ややこしい表現すんなよ。


「じゃあどんなリスクですか??」

「体の相性が悪いとお主の体は爆発してしまうな。」

「ええ!?」


 なんだよそれ・・てか体の相性ってなに!?付き合いたてのカップルかよ。あれか?リア充爆発しろってことか??語源はここなのか?


「ということはまあほぼ無いんじゃが・・・下手したら死んだり廃人になることはあるな。」


 ねぇーのかよ!!


 いやそれにしても合体のリスク高過ぎだろ・・・普通薬局か産婦人科で処方されたお薬塗っとけば、一、二週間ぐらいで治るだろ?・・・え?あ、間違えた。もう何の話してるのか分からないよ!


「ほんとに一緒にしてくれる?」

「する。」

 

 ・・・思わず言ってしまったが・・・世界を救うと決めたのだからやれることはやってみよう。


「俺が黄マロの人柱になります。」


「ほんとうにいいんじゃな?」


「はい。その場所まで案内してください!」

「うん!!」





 一旦カードの世界から赤マロと黄マロを伴って元の世界へ出る。姫様たちには、人柱のリスクについてはあえて触れず、かいつまんで説明をしてやった。


 もとに戻せる可能性が出てきたことでみんなの表情がパッと明るくなった。


 こうなったら悠長にしている場合ではない。急いで黄マロのあとに続く。


 向かった先は、エルフのソフィアさんですら存在を知らなかった世界樹の木の中心。黄マロがいた場所のさらに奥、七色に輝く大きな石が鎮座した空間だった。


 しかしその石は、あちこちに大きな亀裂とヒビが入り、今にも粉々に砕け散りそうな様相を呈していた。


「どうしてこんなになるまで放っておいたんじゃ!」

「う~だってどうしようもなかったんだもん。エルフはみんな石化しちゃうし、こんなところまで来れる人間なんていないし・・・ましてや私の事が見える人なんて・・・う~ごめんなさい。」

「・・・まあ確かにそうじゃな・・・」


「俺はどうしたらいいんだ?」


「私が体の中に入って指示を出すからその通りにして欲しいの。あくまでも入った後の体の主導権は君だから。たぶん今の君ではせいぜい1分ぐらいしか正気を保てないと思うけど・・・」

「え?1分??」

「うん。人柱になるのは本当に危険だからね。」


 うむ。今更引き返すことなんてできないよな・・・ 


「待ってください!危険ってどういうことですか??人柱になるのに危険があるんですか?」


 うっかり屋さんの黄マロが、つい口を滑らせてしまったのを姫様は聞き逃さなかった。その問いに誰も答えない。


「・・・。」


「教えてください!」


 ソフィアさんのあまりの剣幕に赤マロが重い口を開いた。


「・・そうじゃ。死ぬ危険がある。」


「え?・・そんな・・・私たちの国のために直接関係の無いツバサ様にそんなことをしてもらうことは出来ません!代わりに私が人柱になります!」


「・・・ダメじゃ。そなたはそこで待っておれ。成功する可能性が高いのは明らかにこやつの方じゃ。」


「ですが!」


「国が亡びるぞ。それにこやつはもう承諾しておる。」


「そんな・・・絶対ダメです!」


「いいですよソフィアさん。もう俺にとっては関係無くなんか無い。大いに関係ある。」


「え?」


「将来俺のお嫁さんになるんでしょ?だったらこの国は俺の大切な故郷になる。ここで俺が命を懸けるのは当然じゃないですか。」


「え///・・ですが・・ツバサ様がもしどうにかなってしまったら私は・・」


「大丈夫ですよ。少しは俺に恰好つけさせてください。」


「・・・。」



「始めてください!」

 姫様との会話を(なか)ば強制的に終了させ目くばせする。


 すると黄マロが、原型の無いただの発光体になり、最終的に丸いボール型に変化した。俺の前にフワフワ浮かんでいる。


「心臓から入るから力を抜いてね。」


「了解。」

 

 俺の返事を聞いてゆっくりと黄マロが近づく。


 チョン。


「うっああ!」


「ツバサ様!!」


 肌に触れた瞬間針で刺されたような、いやアツアツのフライパンを押し当てられたような痛みを感じた。


 だがここで引き返すわけにはいかない。苦悶の表情のまま続行を決意する。


「うああああああああぁぁぁぁアツイアツイアツイ!!」


「止めてください死んじゃいます!!」


「ああああ!」



 あと少しで入り切る。あと少し・・・うはっ



 ふう、ふう、ふう、




 ううう~~



「・・・もう・・いっきにきて・・」

≪いいの?≫

「ああ。」


 ふう、ふう。


 

 ズズズズズ


「あああああああああ!」




 ・・・



 ・・なんとか全部・・中に入ったぞ。


「おい!早くしてくれ!!」

≪うん!それじゃあまず全身で私を感じて。≫


ブックマークありがとうございます!エネルギーになります!


リア充爆しろの語源が判明しましたね。笑


今日も2作の同時更新になったので少し疲れました。トホホ。


次回は25日に更新します。よろしくお願いします!

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