第22話
たくさんの方にアドバイスをいただいて、自分なりに考えながらの第2部です。
まだまだな部分沢山あると思いますが、自分としては、これが初の投稿作品なわけで。悪い部分は徐々にということで……。
1話が短いと指摘を受けましたが、これも徐々に長くしていくつもりです。
あれから5カ月がたった。
ここはサーラント公国の東の果てヨセミ村だ。
ここに来て1カ月、今はリナルドさんのシゴキになんとか耐える毎日だ。
「おい! まさかもうへばったんじゃねえだろうな?」
「もう昼間ですよ、ずっと剣振ってるじゃないですか…」
「剣振るだけならゴブリンでもできるわな。
どう動いてどう斬るか常に考えろ」
サリーナさんはこう剣を使って、こう動きなさいと教えてくれていたが、リナルドさんは打って来いって言うだけで、これと言ってアドバイスはもらえない。
だから考えながらやっている。
右から攻めると、どうなるか?
フェイント入れると、どうなるか?
考え過ぎて剣が鈍ったり、何も考えないで力任せにすると、キツイのが返ってくる。
生傷が絶えない。
ガツン!
「ぐあぁ! 」
渾身の2連突きをかわされ、カウンター気味にリナルドさんの突きが脇腹に入り、
うずくまる。
「ううぅう…」
「精霊よ彼の傷を癒せ」
リナルドさんは怪我させた俺の脇腹に、手を当てて傷を治す。
「今の死んだって思いましたよ」
「今のくらいで死ぬかよ、まあ急所には当たったからな。何時間かほっといたら死ぬんじゃないか? ガハハ」
ガハハじゃねぇ!!
俺はサ○ヤ人じゃねぇ!! 死にかけて復活したら戦闘力が上がるわけないだろ。
「痛い目にあわねぇと、人間強くなんてなれねぇからな。ガハハ」
絶対喜んでやってる。
毎日がこんな感じだ。基本骨は折ってくる。
こんなのが1カ月だ。
「俺はイリアを助けたいんですよ!! こんな所にいたって助けられないし、なにより無事かどうかもわからないじゃないですか!!」
いい加減不満が爆発した。
「助けてどうする?」
リナルドさんは俺の目を見ながら言ってきた。
「側にいて、守るんですよ!!」
「ほー!! カサンドロス家の用心棒、アントニオより弱いお前が、イリアを守れるのか?」
「仮にイリアを助けたとしよう。
そのあとまた、サリーナの家で暮らすのか?
今までサリーナの収入で食ってたのに? どうやって稼ぐ?」
「くっ!!」
「今、自分に出来ることを考えろ。
ダミアーノは頭はキレる。利用価値のある人間を、手荒く扱うことはしないだろう。
それにエミリアもシルバードも動いている、きっと今頃イリアは、旨いものたくさん食ってるだろうさ」
「っく!!」
それから力任せに放った剣は全部返され、右肩と顎を割られた。
ある朝、
「さーってと、そろそろギルドで依頼でも受けにいくかぁ」
そうリナルドが言うと、ヨセミ村のギルドに向かった。
ギルドの広さは人が5人入れば一杯になるほどのものだった。
「いらっしゃい! リナルドさん、やっと依頼受けてもらえるんですね?
」ブラウンの髪色の30前くらいの男が、リナルドさんに笑顔で挨拶してる。
「おや? その方が弟子ですか? 私はヨセミ村のギルドを取り仕切ってるノートンです。よろしく。」
俺はペコリとお辞儀をする。
「ばーか、俺は弟子は取らねえんだ。育ったためしがないかなら」
「そりゃ、1日何回も殺されるような修行じゃあ、弟子も育つわけないでしょ」
「お前は耐えてるじゃねぇか」
「俺は今まで教えて貰いたくても、だれもいませんでしたから。
しかも勇者って人に教えてもらえるチャンスなんて、めったにないと思いますからね」
「おや? 随分変わったお子さんですね?」
ノートンが言う。
「それより、依頼どんなのがある?」
「リナルドさんには指名依頼も来てますが……?」
「指名依頼?」
ノートンは説明してくれた。
「リナルドさんは、爆炎の勇者って通り名がついてるほどの有名人なんだ。
それほどの人は国からや、有力な貴族から指名で依頼が来るんだよ
強制ではないのだけれどね 。リナルドさんには、ここに来て1カ月間、断り続けられてるんだけどね」痩せていながらも、どこか自信のある顔で苦笑している。
「あー!! そんなのは後!! この村で出てる依頼でいいから」
「とは行ってもリナルドさんにお願い出来るようなものは……」
リナルドは高ランクの冒険者だ。
俺の貢献度はチマチマ集めた薬草やゴブリンなどの小型の獣の討伐なんかだけだったんで1000もいってない。
対してリナルドさんは1千万は軽くいってるらしい。
そんなに貢献度が高い人は、簡単な依頼は受けられなくなっている。
低いランクの人が、上にあがれるようにするためらしい。
「あ、心配すんな。依頼受けるのはアズマだ」
「え? そっちの?? それじゃあ………。
うーん……農地のワーム狩り、コボルトの群れ狩りくらいですかねえ。
ワームといっても、かなりの大きさありますからねアズマくん?だっけか?
の腕がどの程度かわかりかねますが、もう少しで農繁期なんで狩っていただけると助かるんですがね。
コボルトの方は10匹くらいの群れの、目撃情報が東の森でありますが、こちらは一匹の強さはたいしたことないですが、集団戦となりますからこれも少年にはどうかと……」
「まあ、かまわねぇだろ。死んだらそれまでだ」
「それが師匠としての言葉ですか」
それからすぐ、村外れの畑の区画に移動した。
春もだいぶ近づいていて、風は冷たいが日差しは暖かい。
畑では、草刈りをやっていたおっさんが、ワームに襲われたらしく駆除が目的だ。
リナルドさんは、急にタップダンスっぽいことを始めた。
「なにやってんですか? 戦いの前のダンスですか?」
「おい! アズマちょっとこっち来てみろ」
リナルドさんの立ってたとこまで来たとき、足にデカイのが絡みついてきた。
「な!!? デカっ!!」
太さ直径20センチほど、長さは……まだ全部地面から出てねぇ!!
「そいつら、足音に反応するから気をつけてな」
リナルドさんはそーっと歩いてる。
「あんた!! 誘き寄せるためにやってたな!!」
「ガハハ!! じゃあ死ぬなよ。 あとなかなか斬れにくいからな」
そのまま帰って行きやがった。
右足に絡み付いた奴を、剣で突き刺してみた。
グニュ!!
刺さらん!!
ボコ!!
2メートルくらい向こうにもう一匹出てきた。
「くっ!! なめんな!!」
剣で刺しながら右足を引き抜く。
向こうの奴が傘を開くときのように、口を開けながら飛びかかってきた。
「あっぶねぇ!!」
ギリギリで足を抜いて避けた。
「キモいなあ、 よし!! 全力だ」
気合いを入れ直し、助走をつけて切っ先をワームめがけて降り下ろす。
ガ!!
なんとか頭と胴体を切り離した、と思った瞬間もう一匹のワームが体当たりしてきた。
ゴガァ!! ズッサーー。
そのまま3メートルほど吹っ飛ばされた。
なんとか受け身をとって、直ぐに立ち上がった。
「マジか、今ので左腕逝った。」
プラーンとなり、力の入らない左腕。
「片手じゃあ、力不足だろ……」
敵はトグロを巻いて、口を広げている。
「下品な口だなあ………って口!? そうか……」
今、宿屋の中に併設っといってもカウンターに4、5人座れるくらいの酒場でリナルドが笑いころげてる。
「ガハハ、こりゃいい!! まさか片腕使い物にならなくなったからって、ワームを食いちぎって倒してくるとわ………ガハハ」
「そんなに笑うなら、手本見せてくれたっていいだろうが?」
「おまえやる気あんのか? 自分で考えろや!!」
「その結果がこれだろうがよ!!」
声を荒げ、カウンターを叩いた。
「くくく、やーっと目がマジになってきやがったな。」
「?? なんだよ?」
「おまえはイリアのことばっかりで、自分のことを真剣に考えてなかったんじゃないのか?」
「そ……そんなことない」
「そ~かぁ?? それとも他にも何か隠してるんじゃねーだろうなあ??
まったくその年で、ちっとも子供らしくねえし。
本音なんてちっとも言わねえし。
妹は巫女だし、どーなんてんだ?」
こっちが聞きたいよ。
「反り血で気持ち悪いから、水浴びてくる」
そう言ってその場を離れたが、転生者だからそんなふうに見られるのだろうか……。
宿屋に戻り、リナルドと夕食を取っていると。
「明日はワームをギルドで金にして、コボルトのほう片付けるぞ」
ああぁ、休みはないのか。
お読みいただきありがとうございます




