第20話
何が起こったかわからなかった。
「な!?」
サリーナさんが倒れてる。
地面がだんだんと赤く広がっていく。
「サリーナさん!?」
突然イリアの叫び声が聞こえた。
「きゃあああー!!」
そこには今まで見たこともないような大男がイリアを持ち上げていた。
「イリア!!」
男は俺をチラッと見ただけで、その後ろの馬車に向かって歩き出した。
「待て!! イリアをどうするつもりだ!!」
なりふりかまってられなかった。
後ろから斬りかかった。
キィーン
「この!! イリアを離せ!!」
カン!
カン!
カン!
男は大きな横鎚を武器に使ってきた。
「イリアをは・な・せ~!!」
男は片手で俺の剣を全て受けきった。
後ろの高級な馬車から声がした。
「アントニオさん巫女様のお兄様ですよ。丁重にお引き取り願ってください」
「は」
アントニオは低くそう答えると俺の剣を受けたそのまま、俺を弾き返した。
「ぐふぁ」
そのままの勢いで壁に叩きつけられた。
「イリア……」
サリーナさん……。
薄れゆく意識の中、馬車の[2つ頭の鳥]の家紋がみえた。
「ズマくん………アズマくん!!」
気がつくとエミリア様の顔があった。
「エミリア様……? っは!! イリアは サリーナさんは??」
「ごめんなさい、イリアちゃんは連れて行かれたあとだった、サリーナさんはギルドの救護所に運んでもらっているけど………」
「ううぅ………、痛てぇ。 追いかけないと………」
立ち上がろうとする。
「無理よ!! もう王都に入ってるわ」
「じゃあどうしろっいうんだ!! うっくぅ!!」
全身の痛みに思わず膝まずく。
「なんとかするわ!! とりあえず貴方も救護所に行きましょう」
救護所に着くとサリーナさんがベットに寝かされていた。
回りにはサリーナさんの同僚の人達が泣いていた。
俺は慌てて駆け寄った。
「サリーナさん?? 嘘だろ?? 目を覚ましてよ!! 大好きなプリン作ってくるからさ!!
イリアを助けに行くの手伝ってもらわないと!!! アントニオとか言う化け物強くってさ、俺じゃかなわないから…………」
顔に触れると微かに温かった。
「うそだーーー!!」
あれから2日がたった。
サリーナさんの葬儀が終わったところだ。
ギルドの職員は有事の際自分たちが先頭に立って動くため、全員遺書を残しておくのが決まりがあるらしく、サリーナさんの遺書も残されてあった。
サリーナさんは孤児だったらしく、遺書は俺とイリア宛てだった。
「アズマとイリアへ
この遺書を読んでいると言うことは大変な事件でも起こっちゃったんだろうね
私は孤児で家族ってものがどんなものかは知らないで育ったけれど、あんたたちと一緒に住むことにしてからは、本当に毎日が楽しいよ。まるで本当の家族みたいだからな、それでもし良かったら私の家や財産は全部もらってくれ。エミリア様もシルバード様も良くしてくれるはずだから、この街に住む間は不自由はないはずだよ。最後にもしリナルド・レンツィって奴に会ったら、すまないって言っといてくれ」
「うううぅぅ…サリーナさん」
その時、壊れた玄関の扉を開けて誰か入ってきた。
「よぉ! しけた面してんな」
「あんたは………リナルドさん??」
「まったく………静養がてら王都に来たってのに会いに来てはくれずに、そのまま逝っちまうなんてな……で?? お前はどうするんだい??」
どうするって?
「何、とぼけた顔してんだ? 今のおまえじゃあ妹を助けられないだろ?」
「え?? 手伝ってくれるんですか?」




