やっと
もし。
数ある異世界ファンタジーで、魔王が倒されて、モンスター逹がいなくなったらどうなるのだろうか。
そりゃ最初の数年はお祭り騒ぎだ。魔王討伐の日なんて、国民どころか世界中の人にとってとても大切な日になるだろう。
だが、そんな状態がいつまでも続くと思うか?
他はどうであれ、僕らのこの世界では、続かなかったのだ。
魔王が討伐されて5年。モンスターもいなくなってしまって、いよいよ冒険者である僕はやることがなくなってしまい、現実のように、会社に入ってお金を稼ぐようになった。実は僕は魔王が倒されたので、もうゲームクリアでいいんじゃないかと思ったんだけどね……へいじが許さんのよ……
とにもかくにも、今僕らが住んでいる世界は、今の日本と変わりないような感じになってきたのだ。
次第に人々はこう考えた。
『魔王が復活してくれれば』
それを聞いた時、あるひとつのことを僕はふと思いついたのだった。
それは、ラムラの、機能を停止する装置の設計図から何とかして機能を持続する装置を作ろうと思ったのだった……
ここまでが前回の話です。よね??ね!?
「そんな装置誰が作るんですか?」
そう聞くのは、停止の装置を着けていたラムラである。
「このキリが、僕にアドバイスしてくれる。よな?お前もそろそろ物語に参加しないとつまらないだろ」
「チートだニャー……おれっちに頼るのは反則だにゃー……」
持ってるものは最大限発揮しないとな。
「ちゅーかそんなもの作って一体全体どうするつもりだ?」
「簡単に言うと、魔物の力を持続される。その魔物の力を魔王にしてしまうってことだよ、アンジェー」
「まてまて、もうこの世界に魔物は存在しないぞ」
「え、でも1匹ぐらいいるでしょ?」
「いや、仮にいたとしても幹部ほどの力じゃないと、魔王にはできないと思う……」
アンジェーのその言葉で、僕は確信を持ってしまう。
「……実は、みんなに聞いてもらいたいことがあるんだ」
僕がこういうと、それまで興味のなさそうに聞いていたガヴィードも、身を乗り出してきた。
「実は僕、魔王軍の幹部なんだよねぇー!」
…………。
…………………………。
…………………………………………。
えなにこの静かな空気。
「なんか反応して!?」
僕はたまらずそう叫ぶ。
「いや、ちょっと……」
「まぁ、薄々そうなんじゃないかとは思っていました……」
「………別に不思議ではなかった」
「すまん聞こえなかったもう1回言ってくれるか」
「アンジェーはむしして、じゃあみんな少しは気づいてたんだね」
ってかアンジェー、流石にその返しはアホすぎるぞ。
「そうときまりゃ!すぐに行くぞ!魔王城!」
そして僕らは、機能を停止する装置の設計図を元に、機能を持続する装置を完成させて、魔王城に向かった。ってかあの魔王様、確か幹部が全員倒されないと魔王は倒せないとか言ってなかったっけ……
そんなことを思いながらだったのだが、僕の魔力を魔王にすることは成功し、虚空の魔王を作ることが出来た。
端折ります!
そんなこんなで現実に帰ることになった僕。
「ちょっとまてぇぇぇぇぇぇ!!!」
うるさいなアンジェー、僕は早く帰りたいんだ。
「現実に帰るだと!? もうケンに会えなくなるのか!?」
「あー、うーん……この世界だと会えなくなるよ」
現実ではめちゃめちゃあってますよ。
「お別れってことじゃないか!!そんな、えぇ!?なんか早くないか!?」
「そんなことを言われてもなぁ」
ぶっちゃけ僕としては、あっちの世界でも会えるから、あんまり変わりはないような感じなのだったりする。
「せめて1日!!明日まで少し待っててくれ!!ルルとガヴィードさんと話をする!!ラムラ……は、どうしよ、あーもう!!もうちょっと速く言ってくれよ!!」
そう言うとアンジェーは、せかせかとルルエッタとガヴィードの部屋に向かったのだった。
そして僕は1人になった。
「どこか行ってしまうんですか?」
「うわっほい!……なんだ、ラムラちゃんか」
「残念です。また会えるなら、いずれどこかで」
ラムラは僕にそれだけいうと、自室に戻った。
翌日。
「ぶぇぇぇぇぇえぇえぇぇぇ!!!じゃあねぇぇぇぇぇえええぇぇえ!!」
別に、外に出る必要は無いのだが、今僕は魔王からもらった昔魔法使いが住んでいた家から外に出され、荷物をまとめさせられ、アンジェーやルルちゃんに見送られていた。いや、どこかに行く訳では無いんだが……
まぁいいや。僕のライフを削るモンスターもいないし、少し外を歩こう。そう思って街の外に出ようとした。その時。
「……ケンイチ」
ガヴィードに呼び止められた。
「……あ、あの、あぁのね、えっとね」
てれてれと赤くなりながら、僕に何かを伝えようとするガヴィードさん。もう十分伝わってるから……!
「……実は、人目見た時からーーー」
「君たちここにいたの?」
突然別なところから声が聞こえてそちらを見ると、クレナイと呼ばれていたあの女性がいた。
「貴様は確か……クレナイ!」
「ユノ・レナール」
「?」
「僕の名前だよ。ユノ・レナールっていうんだ。クレナイはコードネーム」
ユノ・レナール……。アンジェーはなぜだか、その名前に聞き覚えがあったのだった。
「僕は謝りに来たのさ。……すまなかった。任務とはいえ、君たちのような人を痛めつけ用としたこと、深く反省する。……それだけだよ、じゃあね」
「待ちなさいよ!あんたねぇ!人がせっかく告白しようって時にーーー」
「わーー!!ストップルルっち!!約束忘れたの!?」
アンジェーとルルちゃんが小声で話しているが、僕はそんなに難聴じゃないので聞こえていました。
「………続けていい?」
クレナイが来た時から帰るまで、ずっとモジモジしていたガヴィードさん。……気、気まずい!
「………実は……実はね……?」
あぁ、なんかこっちもバクバクしてきた。あ、でも中身は…実はいやいやいや、中身とか関係ない!真剣にーーーん?なんか体が消え始めたが……
「…………あの……………実はね……………」
やばいやばい、体が粒子になり始めてる!これ帰る兆候でしょ絶対!!まだガヴィードの告白聞いてないよ!?最後まで聞かないと!!
「……………………」
頼む!!僕が消える前に勇気を出してくれ!!ガヴィード!!!
「……やっぱ何でもない」
………………………。
うそだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおお!?!?
その言葉をいう直前に、僕は現実に戻った。
※やっと戻ってきた……
やっとだわ。まじやっと。yattoですよまじ。this is yatto。これはやっとです!?なんだそりゃ!!




