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化けの皮

チク、タク、チク、タク……

時計の音が鮮明に聞こえる。


このしずかーな空気を作った御本人である金髪のヤンキー娘は顔を真っ赤に染めていた。

うしろでは困っているかのような男性がいる。

もう好感度がやばみをこしている!!なんだあいつ!!可愛い!!

「これで全員揃いましたね」

座っていた男性が声をかける。なるほど、あのヤンキーもデビューするのか。

「はじめまして、皆様。私はコレカランドの総合プロデューサーの田中圭です。これからよろしくお願いします」

「よよよろしくおねがいします!!」

「…よろしくお願いします」

「……ちっ」

ヤンさんはまだ緊張している様子。俺は入ってきた女性のことが気になって挨拶がまともに出来なかった。当人は舌打ちで返事をしたが。

「さて、これからデビューに向けてお話をさせていただきますーーー」


その人の話はまとめるこうだ。

配信したいゲームなどがあれば最初は報告すること。

何か困ったことがあればマネージャーに相談すること。

その他はTwitterや配信の仕方、お金のことなどだった。

特に収益化の話は真剣に聞かされた。


そして最後に。

「今回のデビューする新人のユニット名は【チャレンジャーズ】です。かなり挑戦的なデビューとなっておりますこと、よろしくお願いします」

こういって話は終わった。

「……これにて我々は解散です。あとは新人さんどうしで友好関係を深めてください。では、邪魔者はこれにて……」

そういつて田中さんと、ヤンさんについてた女性、ヤンキーの後ろにいた男性は出ていった。

それに続き男鹿さんも席を立つが、その際俺に、

「配信内容ですが、先生は自由なことを言っていいですよ。もちろん、小説のことも」

と言い残した。

そしてマネージャーは部屋を出ていった。

…………

「じゃ、じゃああの、自己紹介でもしますか???」

「じゃーお前。お前からお願いね」

「えええっ!?!?わわわたし!?!?」

うーん、なんだかヤンキーの態度が目に付いて悪い。こうも初対面の人に悪印象を植え付けるだろうか。

「え、え、えっと、わたしはさっきご紹介にあったとおり、キョンシーの女の子という設定の、ヤン・チェンリーと申します!!こここれから!!よろしくお願いします!!」

「ふーん。で、本名は?」

むっ、このヤンキー、かなり態度が悪いな。そこまでやる必要は無いだろう。

「……やなせさん。わたしの本名は教えられません。勝手だと思いますが、ここはわかって欲しいです。おねがいします」

……これは驚いた。

さっきまでキョドっていた女の子だったが、その発言にはヤンさんの魂がこもっていた。本気の発言だった。


この子はしっかりしている子なんだ。


しかし僕はもっと驚くことになった。

やなせさん……つまりこのヤンキーみたいな女性だが、ヤンさんにそう言われた時の反応だ。


酷く……辛そうだった。


「…………ごめんなさい」

小さく、本当に小さくやなせさんはつぶやいた。

「……ふんっ、いいわ。私の紹介をしてあげる。私の名前は湊化皮ミミコ、昔のアイドル時代の名前は柳瀬まり。私自身の本名は黒川藤子よ。もんくある?いい!?私はね、アイドル業界を追い出されたの!!私はね、のそばにいたあの男見た!?あいつが私のこと気に入らないからって追い出したのよ!!でも私はこんなところでは終わらない。絶対私は誰よりも人気になってやるんだから!あんたたちになんか負けないんだからね!!!」

そこまで矢継ぎ早に言うと、彼女は、息を切らし、いつの間にか椅子からたっていたので座り直した。


なにか引っかかる。

そもそもそんな男ならこんな所までついてこないだろう。彼女のことは本名が柳瀬まりと紹介された。それは、あの柳瀬のそばにいた男から聞いたのだ。湊化皮すばけがわミミコはVとしての名前ということらしい。それもあの男に聞いた。


仲が良すぎる。彼女の話には……何か、創作めいたが見える。つまりできすぎた話になっているのだ。


そして彼女は……今気づいたが優しい。そうだ、何も本名を言う必要は無い。


そして彼女の顔には明らかに無理をしている顔が貼っつけられているのだ。


まるで、全てが設定であるかのようだ……

「ほら、あなたも名乗りなさいよ!!」

「……ん、あぁぼくか。はじめましてお嬢さん方、俺の名前は早乙女このは。本名がこの名前だ。元男だったが訳あって生き返り女として生まれ変わった。よろしく」

「……っていう設定でしょ?」

「ちょっと!!柳瀬さん!!!」

「いいんだヤン・チェンリー。気持ちはわかる。だが紛れもない事実だ。これ以上は語らないさ」

「……」

ん?なんか柳瀬の反応がおかしいな。というかこのヤンキーなんて呼べばいいんだ?すばけがわ?やなせ?それとも黒川さんとでもよぼうか。

ひとまず今は柳瀬さんとよぼう。

柳瀬さんのその私を見る顔は、まるで同士を見るような顔であった。

「と、というか!!わたし的には早乙女さんがラノベ家ってのが信じられないんですけど!それは本当なんですか!?!?」

「あぁ、本当さ。すでに本を書いている」

「うわわわ、すごいですぅ!!ぜひ本を下さい!!」

「あー……いや、いまはーちょっと無理かなぁ〜……」

だってまだ発売してないもの。

「うぅ……残念です……」

しゅんと残念がるヤンヤン。それと比較して、柳瀬の顔には希望が広がっていた。

「早乙女……いいえ、早乙女さん。話があるの、付き合ってくれる?」

急に手を握って部屋の外に引っ張ったのは、他でもない、何かをキツイした顔の柳瀬まりだった。

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