休話3
「―――そうか、なるほど」
話を聞き終えた夜宙父は、少し考えた後、ちょっと待っててと言ったのち、部屋を出ていってしまった。
何だろうと思いながら待つ夜宙も、まさか父がそんなものを持ってくるとは思っていなかったのだろう。
出ていった父が部屋に戻ってきたとき手にしていたそれは、今まさに夜宙が最も求めているものだった。
「そ、それって……」
「母さんのだ」
思わず問う夜宙にそう答えた父は、どことなく寂しそうだった。夜空も、それを聞いてはっとしたような顔になる。
「蛙の子は蛙、だな。……夜宙、これをお前にやるよ」
まだ驚きを隠せない夜空にそれを差し出す夜宙父。夜空は心半ばでそれを受け取った。
「夜宙、頑張れよ。パパ、応援してるからな。そいつをガンガン使ってかまわないぜ。だからな」
目線を落とし、夜空の両肩をがしっと掴む父。
「あきらめるんじゃないぞ」
そう言った父の顔は、夜宙以上に泣きそうでつらそうな表情をしていた。
さて、こうして材料、のちに夜空の武器となるそれを持った彼女はさっそくその動画のマネをした。他の動画や、武器をうまく扱うための勉強も、たくさんたくさんしていた。
ここで彼女はある人たちと出会うのだが、これは彼女自身の物語。飽くまでもこれは、小説家である阿堂看世佳の過去話なので、ここで語るのは無粋と言うやつだろう。興味ある方は是非わたしの他の小説を見て下さい。
さてさて、なんやかんやあって夜宙は夏の始まりに仲間と呼べる人たちと出会うのだが、ここからが彼女にとってつらかった時期だ。
考えればわかる話だが、まだ彼女はそれを初めて一ヶ月ほどしかたっていないのに対して、彼女ら、そう、自分の仲間は自分よりもすごく上のステージにいるのだ。追いつけない、いつまでたっても追いつけない。
夜空は焦っていた。実は彼女は、それを奏でる姿を健一に魅せたかったのだ。わたしはこれをやるわよ、と見せるという目標はいつのまにか、これがやりたい!見て‼これが自分だ‼と直接心に響かせる、という目標に変わっていた。
だが、出来ない。
何故だかうまくいかない。
向上心がないわけではない。
めんどくさくなったわけでもない。
上手くやりたい、上手くなりたい。
なのになぜ、こうも上達しないのだろうか。
夜宙は、仲間たちに認められた時、嬉しかった。わたしは出来るんだ。出来たんだ。こんなにすごい人達に認められるほど、私は凄かったんだ!わたしは本当は出来る奴なんだ‼
確かに彼女はすごかった。仲間たちは、決して認めたわけではない。この子と一緒にそれをやりたいと心から強く思ったからこそ!だからこそ彼女の元に集まったのだ。
それからというものの、夜空は落ち込んだままだった。いやしかし、極力それを周りに悟られないように。そしてさらに、自分がそれをやっていると言う事も周りにばれないように。
夜宙は疲れていた。
だからこそ、幼馴染の疲労が分かったのだ。
彼女も疲れていたから。
彼女も同じ顔をしていたから。
計り知れない父のあの顔よりも明細に、親友の、みせかの表情は分かった。
ヤソラは悩みます。悩んで悩んで、出した結果はなんだったのでしょうか。次期わかります。注目してほしいのは、『めんどくさくなったわけでもない』というところです。
まぁ私がこうして言っているので、意味があるんですけどね。




