休話3
昨日のことをベットの中で振り返る。雨は嫌だったけど、あの星空で気持ち的に昨日のことはいい思い出となって残っている。雨の中自転車をこぐのもそれなりに楽しかったし……それに。
「……ぬへっ」
いかんいかん!ついにやけてしまった。しかし本当にカッコよかったなケン。それにめちゃめちゃ優しかった。ぬおおお‼何だよ僕たちのプレゼントは星空ですって!くっさいなぁもうでもかっこいいんだよど畜生!
わたしはこの時無意識で気付いていたと思う。わたしからしてみれば、これはケンが萌えの対象になっていること。わたしの思う萌えと言う物の形、感動の形。そして自分の弱さに。
「ってな話だよぱつよ。ヤー、かっこいいねぇ」
またまた私の家に集まったぱつよと私は七夕の夜の話題で盛り上がっていた。
「お前そんなして誕生日祝ってもらえんのかよ~うらやま!」
「い~だろ~んなっはっはっはっは!」
ベットでごろごろと身を悶えさせながら話すみせかに若干引き気味のぱちる。うざいと内心思いながらもぱちるはみせかの話を真剣に聞いていた。
「なぁみせか。そしたら分かったんじゃないか?わたしの言いたかったことが」
「萌えると萌えさせるってのが違うってことでしょ?それは分かったけど、問題はどう萌えさせるか……」
「あんたまだそんなこと言ってんの!?小説なんてオナニーなんだから共感されるように自分が萌えることを書けばいいのよ‼」
「ぱつよさんぱつよさん。あなた今女性の口から出たとは思えない様なとんでもない発言しなかった?」
「言ってない」
いや、がっちし言ってたろ……
「あ、そうだ」
そこで私は思いつく。
「わたしケンを書くよ」
「は?」
「だからー。わたしがヒロインとなった完全なる恋愛小説よ。主人公はケン」
「ああ、けっこういいんじゃない?」
おっと、否定やら罵倒やらが飛んでくると思っていたけど、意外にもパつよが許可しただと?逆に怖いな。
「え、何か逆に怖い」
「ゆったからにはやれよーみせか。見事なオナニーを見せてくれ」
「だからそんなこと言うんじゃないよ!あんた女の子でしょ!」
にまにましてくるぱつよにまくらを投げた後は、小説のネタを話すも結局論争が始まり、その後はただの言いあいになってしまったのだった。
翌日、早速家に帰ってきた私はケンが主人公になった物語を自分の都合のいいように書いていた。
「ん~」
しかし私はまた悩んでいた。どうにもつまらないのだ。
ご都合主義、あらかじめ決まっている好意、甘甘な日常。どうにも私は普通じゃない話が好きな模様。
「ここでこうしたらおもしろいけど、あいつこんなことするかなぁ……」
そんな感じの同じような疑問が頭に浮かんでくる。いつまでもパソコンとにらめっこするわけにもいかない。
と、いうかそもそも、あいつは私の事をどう思っているのだろう。
……確実に親友だな。まちがいない。
待ってくれ。何か、私は相当な思い違いをしていないか?
何か……私を……わたしの根本を覆すような……
い、いやいやいや、まぁそんなことはあるまいよ。そんなことあるわけないよ。根本?覆されるようなことはない。わたしは私なのだから。
『他人の指図を素直に受け入れない―――』
わたしは私の思いも素直に受け入れないのか?
どうせ違うだろう。どうせ間違っているだろう。そうやって否定して、それで終わりにするのか?……わたしは、何がしたかったのだろう。
本当は分かっている。わたしが私を否定するその理由を。
それが本当の事だからだ。
流していられない。わたしはこの問題を流していられない。
わたしは、ケンのことを本当に好きなのか、どうかという問題を。
やっと話が動き始めた。




