話を聞いてくれるか?
~深瀬side~
友達が増えた。どうやら榊原と話している時の空気の明るさに、俺に対する印象が変わったらしい。
おかげで、俺のまわりにはいつも誰かがいる。そして榊原もそれを喜んでくれている。
はずなのに。
何でだよ…………………
何処で狂い出したんだよ……………!?
「深瀬くん、顔色悪いけど、大丈夫?」
そういって声をかけてきたのはクラスメイトの吉本さん。女子だけど、同じ委員会に入っているから話をする機会も多い。榊原の次によく話をする人かもしれない。
「いや、平気。環境が変わったから疲れているだけだって。」
「………だったら良いけど。」
「で、どうした?」
「あ、そうそう、これ学校の行事の企画書なんだけど、今日中に目を通して置いてって。」
「あー、分かった。」
「あっ、あとこの欄今週中に決めなくちゃならなくて。だから土曜日、深瀬くんの家に行っても良い?」
土曜日か。榊原と遊ぶ約束してたけど、委員会なら仕方ないか。
「じゃあ、10時頃で良いか?」
「うん、分かった。ありがとう。」
そういって微笑んだ。ああ、女の子ってこうやって笑うんだなぁ。女子の笑顔は見たことがあるけど、自分に向けられたことは一切ない。悲しいほどに。ちくしょうリア充め滅びろ…………じゃなくて、榊原に断っとかないと。
「……というわけで、土曜日遊べなくなった。ゴメン。」
そういうと、コイツは一瞬目を見開き、すぐに元の顔に戻った。
「そっか。仕方ないよね。」
「本当にゴメンな。」
「いーよいーよ。良い案が出ることを期待しているよ。」
「ああ、がんばるよ。」
「で、何人で集まるの?」
「えっ、2人だけど。」
「えっ?」
「どうかしたのか?」
「…………………………いや、何でもないよ。」
その後俺たちは別れたが、気のせいだろうか。
アイツの目が全く笑っていなかったような………。
約束の土曜日、吉本さんは集合時間より10分早く来た。本当にしっかりしてるよな。
「ごめん。遅れた?」
「いや、全く。むしろ早いくらいだし。」
「そっか、良かった。じゃ、お邪魔します。」
「ああ、どうぞ。」
それからは企画についてあれやこれや話し合い、良い意見が出て、思ったよりも良いペースで進み始めた。
あとは紙にまとめるだけとなった時、吉本さんが口を開いた。
「そうだ。この前の話なんだけど………。深瀬くん、本当に大丈夫?」
「…………何が?」
「だって、あの時全然元気なかったから。疲れているっていうか、何ていうか、まるで…………」
何かに怯えているような………
ガタンッ!!
俺の持ってたコップが音を立てて落ちた。
「だ、大丈夫!?」
吉本さんが心配して俺の顔を覗き込むが、俺はそれどころじゃなかった。
目の前がグラグラと揺れ、息が荒い。自分でも相当動揺しているのが分かった。
「ど、どうしよう。救急車は………!!」
「いや………大丈夫…だ…。」
そうだ。俺なら心配ない。それより、これは伝えた方が良いのか……?ああ、彼女になら相談しても大丈夫そうだ。
「それより、吉本さん。その疲れている事について相談があるんだ。少し話を聞いてくれるか?」
「え?あ、うん。良いよ。どうしたの?」
「実は……………。」
~吉本side~
深瀬くん、最近どうしたんだろう。
なんだか、スゴく疲れてるように見える。
でも、まわりは全く気にしてないし、私の勘違いなのかな。
いや、でもやっぱり何かおかしい。
榊原くんといる時あんなに楽しそうだったのに、今は無理やり笑顔を貼り付けているような気がする。
本当にどうしたんだろう。
今度の土曜日2人っきりになるから、聞いてみよう。
原因が薄々分かりつつあるなんて、言えるはずもないけど。




