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雨の日の品定め
御徒町の樹里は都で並ぶ者のいない美人で、光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄でもあります。
樹里は母親の由里と姉の璃里が暮らす家に行っていました。
ちょうどその頃、侍女のはるなは忍びの仲間の美咲と会っていました。
「樹里様はお母上様の所。案ずる事はない」
美咲の話を聞き、ホッとするはるなです。
「だが、どこから敵が襲って来るかわからぬ。備えるぞ、茜」
美咲がはるなの名前を間違えました。
「それが私の本当の名前なの!」
ボケる地の文に突っ込むはるなこと茜です。
雨はいよいよ激しくなり、男達の宴は酔いも手伝って過激になって来ます。
「宮中で一番の美人はどなただと思うかね?」
顔が赤い宮川の少将が言いました。
「それは言うまでもなく樹里様でしょう」
酒が入って饒舌になった左京が言いました。
「いやいや、美子姫もなかなかのものですぞ」
女と見れば委細構わずすぐに手を出そうとする加古井の中納言が口を挟みました。