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猫又、改名する
御徒町の樹里は都で一番の美人です。
藤原道草を食ってその野望を叶えようとしていた猫又は、樹里が持っていた本物の蓬莱の玉の枝の光で正体を暴かれ、またたびでその狡猾さも失いました。
(樹里様、素晴らしい)
樹里に感動するバカで貧乏な左京です。
「ドサクサに紛れて捏造するな!」
左京は修飾語を増やした地の文に切れました。
「道草公は失踪されたと大臣達に話します」
五人衆筆頭の馨が言いました。
「そうなんですか」
樹里は笑顔全開で応じました。
「我らはどうすれば?」
道草の影達が尋ねました。するとはるなが、
「貴方達も樹里様のために働きなさい」
すると度崙戸が、
「食い扶持くらいは何とかします」
「かたじけない」
影達は泣いているようです。
「じゃあ、僕も改名するにゃん。明日から吏津玖にするにゃん」
前世の名に似ていると思う地の文です。
「そうなんですか」
樹里は笑顔全開です。