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左京の焦燥
御徒町の樹里は都で並ぶ者のない美人です。
そのせいで、朝廷の最高権力者である関白のさださんが樹里に言い寄りました。
「その関白じゃねえよ!」
地の文のボケに藤原道草は切れました。
「こんな事をしている場合ではない。蓬莱の玉の枝を手に入れるのだ」
道草は嫌らしい笑みを浮かべて呟きました。前世の影響でしょうか?
「前世の話はしないで欲しいにゃん!」
道草は語るに落ちました。やっぱりあの猫の生まれ変わりでした。
一方、貧乏で品性もない貴族の左京は樹里に手を握られて鼻血が噴き出しそうです。
「この火急の時にふざけるな!」
関係なくボケる地の文に左京は切れました。
「そうなんですか」
樹里はそれでも笑顔全開です。
「道草公にお願いしたものはこの世にはないものです。大事ありませぬ」
ウルウルした目で言われ、気絶しそうな左京です。
(左京様は私のものよ!)
亜梨沙と蘭と美子姫が心の中で叫びました。