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左大臣と馨
御徒町の樹里が都で並ぶ者がいない美人なのはすごく有名です。
その樹里を巡り、また一悶着ありそうです。
左大臣の嫡男で、五人衆の筆頭でもある馨は御所に向かっておりました。
「馨殿!」
残りの五人衆が駆けつけました。
「如何された?」
馨は四人の慌てぶりに眉をひそめました。
「関白が動きました。樹里姫を側室にするために蓬莱の玉の枝を取りに行くそうです」
最年少の目黒の少納言が言いました。
「何ですと?」
馨は目を見開きました。
(やはり母上に対する親切には裏があったのか、あの狸め)
馨は母親の澄子に薬を作ると関白の藤原道草が言ったという話に疑念を抱いていたのです。
でも、狸ではなく、猫なのは内緒です。
前世とは違い、鋭いと思う地の文です。
「前世の話は禁ずる!」
馨はしつこい地の文に厳命しました。
他方、左大臣も道草の動きを知りました。
(どういうつもりだ、狸め)
関白は猫だと思う地の文です。




