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33・生きる為に、手に取るモノ

 前話で重傷を負ったマイン。

 痛みを堪えながら、マインは立ち上がるが、その間にも大量の血が流れ出る。ギガント・ホーン・インセクトはマインに攻撃された為か、離れた場所から警戒してマインを見ている。

「痛っつ…もの凄い血…これ内蔵とかやられたんじゃない…?」

『マスターの臓器は、幸いにも傷つけられていません』

 アヤメがそう答えてくれる。マインはふとギガント・ホーン・インセクトの中心の角を見た。

「…アレで刺されて…いたら…流石に死んでたね…。ってか僕大丈夫なの? このままじゃ痛みによる外傷性ショック死か、大量出血による出血性ショック死しそうなんだけど…」

 何故か苦笑気味に、そうアヤメに尋ねるが…。

『マスターの今の体なら大丈夫です…但し、あと十分以内でライフポーション等で処置しないと、死にます』

「あ、そうなの…ってちょっと待って!? あと十分以内にどうにかしないと死ぬの僕!?」

『そうです』

 あまりの淡々としたアヤメの回答に、マインは返す言葉を失ってしまう。

「…じゃあ十分以内に、このカブトクワガタもどきの怪獣を倒さないと…」

 そう決意するマインだが、先程殴った際にギガント・ホーン・インセクトには全くダメージが与えられなかった。蹴りは効いたが、アレは不意打ちの蹴りだった為に効いたんだと考える。

「だとしたら…やっぱり此れか」

 マインは何時もの通り、指を拳銃型にしてギガント・ホーン・インセクトに向ける。

「熊と同じで効くか分からないけど…此れしか無い」

 僅かな望みに賭けて、マインは『ダーク・マイン』を使う為に、魔力を集中させるが…

「っっ!?」

 両脇腹からの痛みと出血に、マインは集中を途切らせてしまう。

「駄目だ…魔力が溜められない…」

 痛みのせいで魔法すら使えない状態であった。

『キシャアア!!!』

 まごまごしている内に、ギガント・ホーン・インセクトが奇声を上げて突進してきた。マインは歩行か飛行かで回避しようとしたが、出血と痛みのせいで上手く動けない。


 ドガァ!!!


「がぁ!?」

 思い切り体当たりを叩き込まれ、マインは体内の酸素を吐き出しながら後方へと飛んでいき、木へと激突した。背中を打ち付けたマインは痛みに耐えながら立ち上がる。ギガント・ホーン・インセクトは完全にマインを殺す気の様であった。

「くそ…格闘術も駄目…魔法は発動不能…どうすれば…」

 絶体絶命のマイン。その時…足に何かが当たった。

「何…えっ!?」

 感触を感じて足下を見てみると、其処にはあの妖刀-闇月ーがあった。

「あの刀…追ってきたの僕を…でも今は構っている暇は…」

『マスター。その刀…闇月を使って下さい』

「!?」

 アヤメの指示に、マインは驚愕の表情を浮かべた。

「アヤメ、この刀は妖刀だって、『アナライズ』で確認したじゃないか!? もし持ったら僕に何が起きるか…」

 そう叫ぶマインだが…。

『今この状況を打破出来るのは、闇月を使う事だけです。それに…その刀は大丈夫です』

と、何故かアヤメは確信めいた言葉を告げるのであった。

「……」

 アヤメにそう言われて、マインは考える。確かに格闘も効かず魔法も使えないという、為す術も無い状況である為、溺れる者は藁をもつかむの理屈で、何でも良いから打破出来る術は欲しかった…だが足下の刀は妖刀と危険な結果を表示していた…その事が、マインは悩ませていたが…。

『キシャアア!!!』

 ギガント・ホーン・インセクトは、今にもマインにトドメを刺そうと向かってきそうな雰囲気であった。

「くっ…仕方が無い…」

 マインは素早く足下の闇月を拾った。そして鞘に手を掛けた。

「頼むから…僕に災いなんて降り注がないでよ!」

 そう叫びながらマインは、闇月を鞘を抜いたのであった。


 遂に手に取った妖刀・闇月…。

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