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8話 とても美味しいお説教



 ――どうも、こんにちは、今晩はお早うございましたね?



 お久しぶりです、ふふねです。

 更新がだいぶ空いてしまいました。まだ不定期ですので、申し訳ないですがのんびりお待ちください。



――以上。


きりーつ、きをーつけー、れいッ!


おつかれ~した~

おつかれー

お疲れ様ー

ざわざわざわ 

どよどよどよ

がやがやがや (相変わらず騒々しいなあ……

《ぴーんぽーんパーンポーン》

《ご帰宅の皆々様にご連絡申し上げます、ただいま――》


 ドォォーン! (うひゃぁッ⁉


《……本館付近、北東37ブロックを中心とした周囲30ブロックの範囲で極めて巨大な雲渦を観測しました。原因は昨夜、トール氏が自家製ニシンの塩漬けを猫又に盗まれたことによる只の八つ当たりと推測されます。……被害状況は、震源の中心から半径6ブロックで構造甲板が崩壊、衝撃波ショックウェーブにより生じた甲板上構造物の損壊多数、現在、死者数0、重傷者数0、軽傷者数不明、行方不明者不明。被害甚大。また北東37ブロックは外殻装甲まで衝撃が貫通、構造中枢区画バイタル大破により北東37ブロックは崩壊したとみられます、これにより雲渦の拡大を予測。これからご帰宅なされる方は、念のため半径200ブロック以内に近寄らず迂回するようにしてください。

崩壊した北東37ブロックは付近の応急部隊が目下修復中、被害ブロックの復旧及び雲渦の沈静化の目処は61200000ms前後かかる見込みと発表されて――》


あ、通信切り忘れてた、ヤバヤバだよ。


《エネルギー乱流が発生しています、レイス系種の方は外出を控え――――……》


ブチッ――



________________







「もうっ、アリーさんったらやめてよね!」


「うふふっ、サキちゃん、ごめんね~(……かわいいんだから手が出るのは当たり前だよねー。)」



 アリーさんの悪質な悪戯(いたずら)から、何とか解放されたわたしは今、アリーさんに猛抗議中。

そう、現在わたしは絶賛お怒り中なのです。まさに怒り心頭、怒髪天を衝く。わたしの白い髪がヤサイ人みたいになっちゃうかもだけど、ここは荒ぶる鷹のポーズでもしておくべきかしら?


 ふー! ふんすっ!

 アイムアングリ~ナウっ!


 うん、決まった……素晴らしい威嚇です。鳥のように力強く飛び跳ね、猫のようにしなやかに毛を逆立てる! みたいな。(?)

 とはいえ、対するアリーさんはと見ると、悔しいことに何処吹く風。ニッコニコ、ニッヤニヤと、してやがります。

 大胆不敵、ちっ、なんて強敵それなんてラスボスなの……。


 それになんですかね、最後の。全然反省してないじゃん。 小声だけど聴こえてるよっ?



「むーーーっ!!#」



 プクーーー



「ぷふっ、何この子……、顔膨らませて可愛い! (はぁ、可愛らしすぎて※□※△したいわ……)」



 グヘヘ~、と顔をヘニャらせて悶々とするシスター。

 いやぁ、もはや聖職者のかけらも無いのではないかと思えますね。

 頬を赤らめて、若干鼻息が荒いし。大変だらしない顔です。


 そして、平然と爆弾発言いってはいけないをするシスターであった、……小声で。



 ぐぬぬ! パチンッ



「むむむーっ、アリー反省してないっ! 反省、するっ! それに小声で言っても全部聴こえてるっ、ここでいっちゃダメっ!」



 はぁ。はぁ。い、言いきりましたよ。言ってやりましたよ、ええ!

 しっかり要点押さえて注意をしましたよ。

 わたし、誰かとお話することが非常に苦手で、所謂奥手なのですが……。わたしでもやればできる子なんですよね、ねっ!(謎の確認)


 それに、この高揚感は、いったい何なんでしょうかっ。

 お立ち台に立って、大喝采とファファーレで誉められてる気分ですよっ。やり遂げましたよ、私! ふぅー! いぇーい!

(心の中のわたし大歓喜)



「ふ、ふふふっ。はいはい、ごめんねごめんね~」



 何故か、笑みを深めて嬉しそうにしているシスター。


 くっ。そのまるで小動物を拾ったまま、家にお持ち帰りしちゃって、そして、その子を机に載せて嬉しそうに眺めているようなニマニマした顔は何ですかね、アリーさん……。

 それに……うっ、そんなキラキラした目で見ないでくださいよぉ。

 おかしいです。わたしはお説教をしていた筈なのに、何故嬉しそうにしているのか……、解せぬ。


 わたし、怒ってるんですよー? 



「『はい』は一回、『ごめん』も一回っ~!」


「そ、そんなことをしたら、私のアイデンティティーが……」


「むかちんっ! もうっ、真面目にしてよね!!#」

 


 プモモモモモー!



 再度注意するわたし。それに対して、おどけるシスターことアリーさん。そして、再び熱を取り戻した、わたしのほっぺた!!

 プクー、っと膨らんだ頬っぺたが今にもはち切れそうですっ!


 まったく、もう、アリーさんってこんないじわるな人だったなんて……最初の清純派系シスターさんのイメージが台無しだよっ!

――あ、今もシスターさんなんだけどね。うん。(照っ

 と、とにかく、諸々もろもろの理由でわたしはこの意地悪なシスターさんを懲らしめる使命があるのは確実なのですっ、主にわたしからの理由で!



 ふ、ふんすー! ぴょんぴょんっ!



「アリー、そこに正座、してっ! はやくっ!」


「やーん、私、ナニされるノカシラー」



 床に正座するように、体全体を使って力強く、アリーに指示する。


 アリーさんは「まぁ」と手を口に当て、頬を染め、チラチラとこちらを恥ずかしそうに見ながら、クネクネとしなをつくった。

 黒いワンピース型のシスター服がひらひらと揺れて、その度にスルスルと柔らかい体のラインが浮かぶ。なんというか、可愛らしくもセクシーだよね。


 ちなみに、揺れているのはおっぱいよりも下からという……ぐぬぬ、羨まけしからん……。

 そもそも、スレンダーなのに、おっぱいが大きいなんて卑怯なんですよ。持たざる人にね、少しは施しで分けるべきだと思うの。うん、わ、わたしのことじゃないけどねっ(逸らし目。


 アリーさんの胸について、極めて原始的な願望おっきくなーれを夢見る。

 おっと。アリーさんの肢体も凄く気になるのだけど、それはそれ。

 わたしは“正座”が通じたことに驚いたのですよ。



(正座ってこの世界にもあるんだ……て、そうじゃなくてッ!)



 もっとも、そのあとに大事なことを思い出したのだけどね。



「ふ、ふざけてないで、はやく座るのー!」



 そう、今は“おせっきょう”中なのだぁっ!!

 アリーさん、覚悟ぉー!






「ふふふ……。――ところでサキちゃん、ちょっといいかしら?」

「……な、なに?」


 アリーさんが突然切り返して話しかけて来ました、なんだか顔が上気したようにほんのりと赤みがかっていて、目が潤んでいます。にも関わらずニマニマと頬が緩んでいるのは……何ですかねえー?

 

 いや、はっきり言って嫌な予感しかしませんけどね?

 

「えっとね――この状況って周りから見たら、その――いかがわしく見えるなって?」

「……えっ」


 わたしはアリーさんに謂われた様に、今の状況を想像してみる。


 後ろ手に手を組み、床に正座する妖艶な笑みを浮かべるシスターの女性。スレンダーな体型で身長は170cmくらいだ。(ふむふむ

 そして女性を正座させ、それを見下ろす、頬が紅潮した150cmそこそこの小柄な少女。(んっ?

 二人の身長差から、女性のほうがやや背を前に傾け、下から覗き込むように少女の顔を目を伺う。その姿勢は、まるで懇願し許しを請うように見えて……。(おぉ……

 双眸はうるうると僅かに濡らしており、なお笑顔を浮かべているその表情は、ましてや狂信者の顔のようであり、それは中身タチネコ外見おねロリがあべこべな主従関係そういうカンケイのようにみえ、る……?(ひぇっ


 カァァァ


「え、ぁ……」


 端から見たら間違いなく事案じゃないですか……これ……


「私、はぁはぁ、って言ってあげようかな……?」


 ――事案ですよーっ!?


「―――⁉」


 頬だけでなく顔全体が火が付いたように真っ赤に燃え盛っている気がするよっ。

 あわわわ。きっと顔から湯気が出るってこういうことなんだろうねっ、やかんがシューーッ! ってなる感じ。

 そんな勝手に外から見たわたしの考察をする、頭の観察係さんの働きとは別に、無性に恥ずかしい気持ちが、溢れるほどコップへ、ドバッとイチゴ牛乳が注がれるが如く大暴れっ。

 イチゴ牛乳、甘いなー飲みたいなー、なんて、のぼせる頭でぼんやり考えるけれども、頭の中がポーっとして、考えることもままならなくなる。頭が真っ白、ついでに視界もグルんぐるん。


 あー、うう、、なんか、もう、限界のよう、なの、です、よ……


 プププモォワァァァ きゅいぃぃん


 少女は顔をまるで、茹で蛸のように真っ赤に茹で上がらせ、目はぐるぐると回って視線が定まらない。

 ついには、顔から汗が蒸気になって吹き出す。目元は泣き腫らしたように腫れて、只でさえ真っ赤な顔が尚、赤く染められた。

  

「………う、」

「う?」

「うにゃぁぁぁぁあん………!」


 空気がぬけるー プシュゥゥゥん ばたんきゅ~





「ありゃら、大変だ!サキちゃんが倒れたー。………おーい、ぉーぃ。。。」


 さっと、アリーは駆け寄り、ユサユサと床へ倒れ伏したサキを抱きかかえて揺する。

 そう、その姿はまるで少女を介抱するシスターのようで……、訓練された我々の常識からして司祭にはとても見えぬ、100%生搾りシスターであった。

 本人が司祭で、聖職者らしからず、俗っぽくても、けっして濃縮還元ではない、ないったらない。


 は、恥ずかしいよー


 シスターに介抱される少女、その顔は羞恥の赤に彩られ、上気した頬には汗がたらり、と伝う。瞼は閉じられて、しっとりと潤んだ吐息に合わせて小刻みに体が震えている。

 どうにも、恥ずかしさで頭に血が昇って逆上のぼせてしまったようだ。


「…………ふにゅーん」

「あちゃー。ちょっとやり過ぎたかもね……」


 黒衣の美女の腕の中、眠りの淵へと深く沈む意識の中で少女はやはりシスターには敵わないと悟るのだった。

 柔らかな優しい心地のする二の腕、腕から伝わる温もり、僅かに聴こえる心音に身を任せ、少女は意識の糸を手放した。



―――百合(シスター)には勝てなかったよ。



「外見」と書いて、「そとみ」と読む……筈がどうしてこうなっ

た……。


今回はどうしても、場面転換が納得出来なかったので、本来8話として出す予定だった一話(約6000字)を分割して、前半を8話として投稿しています。短くてすいません、。m(__)m


まだ不定期更新ですが、今後とも『そしスル』を読んで貰えるのであれば、作者として本当に嬉しい限りです。


6話、7話について後日、後書きを追加、改変予定です。(10/15)


10/25 内容を加筆・修正しました。少しは読みやすくを理念に修正してますから、ネタは減りません。

では(^^ゞ

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