12-1 TS美少女といちゃラブ生活
それからほんの数日後。
和也はようやく右手の包帯も取れ、晴れてリハビリがてらにキャンプもご解禁となった。
そして私は和也のおじいちゃんが所有する山に招かれ、和也と二人っきり、誰にも邪魔されないキャンプを楽しんできた。
二人だけの世界で、笑いながらテントをたてて。
私が作ってあげたキャンプ飯と、和也が炊いたけど失敗した固いごはんを並んで食べた。
焚き火をしながら、何度もキスを繰り返した。
その日のことは、一生忘れない、和也と私だけの大切な思い出だ。
家に帰ってから何度思い出しても、幸せが溢れ出てきて。
自分がこうしてTSして、和也に出会えた奇跡に、今は大感謝している。
テントの中で、和也は一回目、めちゃくちゃに可愛かった。
すごく興奮していたみたいで、童貞卒業とほとんど同時に終わってしまい、恥ずかしそうにしていたあの顔。
あんなの、私へのサービスとしか思えないくらい、最高にぞくぞくした。
二回目は、自分の体が全部溶けて、和也とくっついてしまったかと思うくらい、幸せだった。
正直、お股はめちゃくちゃ痛かった。
だってあいつのアレって、ちょっと大きめだし。
私が肉体的にしっかり気持ちよくなれるには、きっとあと何回かの慣れが必要なんだろう。
みんな、あんな痛みに耐えて大人になってきたのかと思うと、そこらじゅうの女性たちに対し尊敬の念を覚えるくらいには痛かった。
でも、痛いのが本当に幸せだったんだ。
なんならもっともっと痛くて良かった。
和也からもらえる痛みなら、いくらだって欲しいと思えてしまう。
三回目は避妊具が無くて、童貞の準備不足っぷりに呆れてしまった。
この美少女に対して、たった二回で満足できるわけがないだろうに。
とはいえ、真面目な和也は我慢するの一点張りだったから、たっぷりのご奉仕で満足させてあげた。
たぶん私はけっこう、夜のサービスをしてあげるのは、上手ではないかもしれないが、好きではあるのだと思う。
和也が喜んでいる顔を見ると、何回だっていくらだって、どんなことでもしてあげたくなるから不思議なものだ。
元男として、性的なあれこれへの本能的な嫌悪感みたいなものが出ないか最初は心配していたのだけど。
実際のところ、そんな悪い感情は一切出てこない。
むしろ元男であるからこそ、かつての自分だったら喜びそうなことを、あれもこれも、もっと何でもしてあげたい、とすら考えている。
そのあとの夏休み。
私たちはたくさんのデートをした。
キャンプには全部で三回。それだけでも私は幸せで仕方ないのに、和也ときたら案外女心がわかるというか、ちゃんと大きなプールだとか映画だとか、きちんとしたデートでもこちらを楽しませてくる。
えっちなことも、もちろんたくさん。
和也は結局私の誘惑に負けて、私のアパートを頻繁に訪れてくれている。
ほんのこの前まで童貞だったくせに、和也はなかなか性的好奇心が旺盛なやつで、あれこれ私を喜ばせようと、あの手この手を尽くしてくる。
私もあとちょっとで、口にしづらい性的な意味での頂点も味わうことができそうだ。
そして今日。待ちに待った1日が始まる。
夏休みも終わりかけだが、今日は私の誕生日。
いや本当の誕生日は冬だったのだけれど。
今日はTSしたときに国から勝手に決められていた、設定上の謎の誕生日だ。
この日のために、日付を逆算してしばらく前から万全の準備も整えてきたから、きっと素敵な1日になるだろう。
何が嬉しいって、今日はなんと和也が、この部屋に1日お泊まりしてくれることになっているのだ。
もうこれが私にとっては一番の誕生日プレゼントなんだけど、でも和也にはもう一つ、どうしても欲しかったものを要求してある。
私が欲しかったもの。
そう、それは和也の全精力。
和也には、二日前から禁欲を命じてあった。
性欲バリバリの思春期の若者にはなかなか厳しい命令だったと思うが、どうしてもその和也のフルパワーを味わってみたかったのだ。
昨日はわざわざ和也の家で夕飯を作り、しかもちょっと贅沢してウナギを出してやった。
間違いなく、これで今日の和也はもう元気ビンビンだろう。
「ふふ、だよね和也。もうこんなに期待しちゃってるんだ。……嬉しいよ、大好き」
今。私はまだお昼だというのに、ベッドの上に横になった裸の和也を眺めて、ニマニマと崩れる自分の頬を撫でている。
今日の和也は私の言いなり。そういう約束だ。
お昼前に私の部屋にやってきた和也は、シャワーさえ浴びさせずに、すぐにベッドへ連行してやった。
ここまで歩いてきてくれたときの汗の匂いが、私の下腹の奥に響いておかしくなりそうだ。
外から蝉の声が響く中、クーラーのよく効いた部屋にこもって、和也の汗の味を何度も確かめていく。
「な、なあ紬。できればこの右手だけ外してくれねえ? なんか鼻が痒いんだけど」
その言葉に私は、裸の和也に寄り添って、彼のお鼻をカリカリとかいてあげる。
実に微妙な表情の和也に、また背筋がゾクゾクしてきた。
なにせもう、今、和也は自分で腕を動かすこともできないのだ。
なぜなら、私がこのベッドに和也を縛りつけてしまっているから。
このロープの扱いは、先日のキャンプで和也から教えてもらった実に健全なテクニックなのだが。
これもまた、私の希望したプレゼント。
ちょっと変態っぽいけれど、今日はまず和也をがっちがちに拘束してから、私のリードで楽しませていただく。
「おい紬? ……紬? なんか、ちょっと怖いんだけど……」
股間は大きくしたままのくせに、不満を伝えてくる情けない和也の口は、一旦全力のキスで塞いでおいた。
ああもう、たまんないな。
私は指先で和也の裸をすーっと撫でまわしながら、思わずよだれを垂らしそうになってしまう。
「ねえ和也?」
「んー?」
私は和也の注意をこちらに向けながら、着ていたTシャツを脱ぎ捨てる。
スカートも脱ぐと、和也の視線が痛いくらい私の下着姿に釘付けになったのがわかった。
「あのさ、私、和也とのえっちが大好き」
私の言葉に、和也の喉がごくりと動くのが見える。
股間のご立派様も、連動するみたいにぴくりと跳ねたのがわかった。
「へへ。でもね、今日はこれまでよりもっと、特別なえっちがしてみたくてさ」
私は自分の下着も脱ぎ捨てながら、縛られたまま動けない、哀れで情けない和也に近づいていく。
ちょっとえっちな見ためのパンツを脱いだとき、欲情で、自分のその下着が汗以外の液体に湿っているのもはっきりわかった。
大好きな和也。
毎日毎日、私の中で、和也を大好きな気持ちが高まっていって。
たぶん私は、もうどこかおかしくされてしまったんだ。
どうしても、贅沢なことに、今までよりもっともっと深い愛が欲しくなってしまう。
だからね和也。これは和也が悪いんだからね。
「特別? ……おいまさか」
私は和也の頭のあたりに置いてあった避妊具の箱を手にとり、そして見せつけるように、ポイっと床に放りなげた。
「紬!? おい、それはダメだぞ!? まだ早い! まだゴム無しは……」
また唇で、その和也のたわ言を封じておく。
重ねた裸がどんどん熱くなって、好きで好きでたまらない。
和也の全部は私のもの。
私の全部は和也のもの。
「だったら和也が我慢したらいいよ。大丈夫。和也はいい子だから。気持ちよくっても、ちゃんと我慢できるもんね?」
和也の腕を縛り上げたロープの具合を再確認。
そして確認しなくても、自分の体の湿り具合は、もう万全な状態だとわかっている。
「ねえ和也、ごめんね? 私、和也が好きすぎて、ちょっとおかしくなっちゃったんだ……ごめんね、大好きだよ」
私はわざと、ちょっと暗い声でそう言った。
何も返事をせず、不安そうにこちらに目を向けてくる、その和也の情けない顔。
これが、もうほんとにたまらなく大好きなんだ。
和也。好き。好きだよ。だからいいよね? 全部、私にくれるよね?
私は和也の頬に手を当て、額がくっつくほどに顔を寄せる。
軽く唇を重ねて、深くもう一度。
「ねえ和也。私、和也の赤ちゃんが欲しくなっちゃった。……私のお腹に、お誕生日プレゼントちょうだい?」
そのときの和也の顔ときたら。
私はもう頭が真っ白になってしまって、慌てたように和也のそれを自分の中に導いていった。
次で最終話です。
ここまで支えて下さった皆さま、本当にありがとうございました。
全メス化を達成したTS美少女より、深く御礼申し上げます。