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文系剣士と理系魔道士の六年傀儡記  作者: 松房
第四章 学生達の夏
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第65話 ジョンの昔話

(調べようとは思ったけど、図書館には観光ガイドみたいなの無いだろうし、どうしようかな・・・)

外へ出れる格好になった隼はどうやって手頃な火山を調べようか模索する。

その答えは案外早く出てきた。

(ジョンさんに聞いて来るか。ついでにいくらか仕事も受けよう。)

商会の中で高い地位にいるジョンだ。当然行商にも出た事があるだろう。そんな無責任な期待を抱きながら、隼はジョンの店へと向かった。




「こんにちは。ジョンさんいますか?」

隼は店先にいた店員に話しかける。

「あぁ。ジョンさんなら二階にいるよ。」

隼は気持ちいいくらいの営業スマイルを浮かべた店員の言葉に従い、二階へ上がると、ジョンの部屋の扉をノックする。

「ジョンさ~ん。隼です。仕事を受けに来たついでにいくつか相談が・・・」

「あぁ。ハヤテ君か!鍵は開いているから入って来てくれ。」

隼が扉を開けると、何枚かの書類を持ったジョンが出てきた。

「はい。これがハヤテ君宛に来た依頼ね。相談があるそうだが、もう少し待ってくれないか?」

「は、はい。」

ジョンは隼の返事を受け取ると、そそくさと自身の席へ戻り、仕事を再開する。

(さぁ~て。どんな依頼が来てるのかな?)

隼は早速一枚目の依頼を確認する。

(え~と、なになに、模型(ディルド)の製作ね。はいはい・・・ん?模型(ディルド)?)

改めて依頼書を眺めると、きっちり、サイズなど、事細やかに要望を書いてある他、下の方には割かしリアルな絵まで載せてあった。

(うん。分かった。次は?)

二枚目からは、特に変わった依頼は無く、どれも、自身の”性癖(好み)”にド直球(ストレート)な容姿の人形の製作や、花火の製作等だった。

(おぅ。ロリコン発見・・・こっちの人は清楚系が好みで、そっちの人は高飛車な娘が好みで・・・ってなんか人の性癖を盗み見ているみたいで、なんか申し訳なくなって来た・・・あ。男の娘フェチ発見・・・)

依頼の大体を把握した隼はふとジョンの方を見る。

(計算速え~。単純な計算速度だったら、誰にも負けないと思ってたけど、これには勝てる気がしね~わ。それにそこの文章とかも全部ジョンさんが書いたのか?計算が速くて、尚且つ文章まで書けるって、やっぱ出来る人なんだな。ジョンさんは。)

「おや?どうかしました?」

隼の視線が気になったジョンが問いかける。

「あぁいえ、ジョンさんはここで見ていても、仕事の出来る人だなと思いまして。」

隼の言葉をジョンは否定する。

「それは違うねハヤテ君。確かに事務作業の手際が凄いとはよく言われるけど、逆に言えば私にはこれしか無いのだよ。シンタロウ君の様な武力を持っている訳でも無いし、確か、フェル=アルザードさんだったかな・・・まぁ彼女みたいな魔術の才能がある訳でも無い。だから、まだ若い頃は武術に、勉強。神はあまり信じていなかったが、教会に通い詰めたり、色んな事に取り組んだが、結果はどれも上手くいかなくてね。若い私は落ち込んだよ。けど、確かそんな時だったと思うよ。ギルドがミラープレートなんて物を使い始めたのは。人が産まれると同時に持ち合わせている才能を覗き込めてしまうあの道具はそりゃブームにもなって、途方に暮れた私も友人に連れられて使ってみたんだ。そんな私の才能は”商売人”一つだけだったけど、今思えば、それで良かったと思うよ・・・」

その後、隼はジョンの過去について触れた。

それから、商売人の元で修行した話。行商先で妻に出会った話。そして、コハクが剣士、魔術師、商人の、どの道も選ぶ事の出来ることを知って歓喜した事。

隼はジョンが人生で感じた感情が滲み出ているその話に聞き入り、気づいた頃には外が暗くなり始めていた






ジョンさんっ!

やっぱ人格者だわ~

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