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エピローグ

 

 士郎がこの世界にやってきて3年が経った。アイラがいつものように仕事を終えて帰ってくると窓越しに見える家の中が真っ暗だった。


「ん?皆出かけているのか?特に出かけるとは聞いていなかったが・・・」


 とりあえず家に入ろうとドアを開けたアイラ。すると明かりが急に灯る。明るくなった部屋の中には士郎にアイリ、アイルの3人ともが揃っていた。そして机の上にはいつもより豪勢な料理が。


「アイラ姉お帰り!」


「お帰り・・・」


「お帰りなさいアイラさん」


「あ、あぁ一体どうしたんだ?明かりは消えているから居ないと思ったら皆居るし。それにいつもより料理が豪華じゃないか?」


 何か記念日だっただろうか。アイラは思考の海に沈みそうになったがアイルの声によって意識を戻した。


「ほらシロウ!認めてあげたんだから男らしいところ見せなさいよ!」


「は、はい。アイラさん。これを受け取ってくれませんか?」


 アイルに急かされながら士郎がアイラに手渡したのは小さな牙を加工した首飾りだった。


「こ、これは・・・もしかしてシルバーウルフの・・・?」


 シルバーウルフは銀の毛並みを持つ美しい狼でその牙も薄く銀の輝きを帯びている。この魔物はつがいと仲睦まじく生活を送る様子が見られ、シルバーウルフの牙を加工した装飾品は結婚を申し込む際に贈られることが多い。


「はい。随分待たせてしまいましたけど・・・僕と結婚してください!」


 アイラは今まで何回も士郎に求婚してきた。それこそ出会った最初の頃からだ。しかし士郎は明確な返事を返すことはなく、最近ではアイラも自分に魅力がないからだと思いあまり言わなくなっていた。そこへ今回の士郎からの求婚である。アイラは士郎のことを全力で抱きしめた。


「ア、アイラさっ!」


「アイラ姉!シロウが死んじゃうよ!?」


 アイラは毎日騎士団で鍛えている。士郎もこの世界に来た当初に比べればかなり筋肉も付いてきたが、それでもアイラと比べれば赤子のようなものだ。そんなアイラに抱きしめられて士郎は意識が飛びそうになっていた。


「シ、シロウ!?すまない!う、嬉しすぎて!」


「だ、大丈夫です・・・」


 そういってアイラの抱擁から抜け出した士郎はアイラに向きなおすと真剣な目で問いかけた。


「そ、それで返事を聞かせてもらってもいいでしょうか?」


 当然アイラの答えは決まっている。


「勿論!これからは私の旦那様としてよろしく頼む!シロウ!」


 満面の笑みで答えたアイラはもう一度士郎のことを抱きしめたのだった。


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