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最強召喚師の舞い戻り英雄譚  作者: 林 小
第2章:呪縛の姉妹
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第46話:翔真と坂本姉妹のバイト中にて(下)

 

(……え)


 休憩室から出た璃子は会計場の方へ目線を向けた瞬間、固まった。 いや、正確にはそこにいる褐色の肌をした絶世の美女……優奈を見て固まったであった。 だが悟られるように直ぐに気を取り直し、会計場へと行く。

 一方で璃子が優奈を見て固まったのを翔真は見逃さなかったが、気にするような事ではないとそこには触れる事はなかった。 そして璃子が恵里奈の所へと向かい、口を彼女の耳により、二人で内緒話し出した。


「へぇ〜、この二人が貴方がバイトしているセブンイレブンに新しく入ったバイトの二人なのね。どっちも綺麗で可愛いわね」


「そこは同じ気持ちだけどーー」


 一方でそんな二人の容姿に優奈は感服したように褒めた。確かに二人は容姿は優奈に匹敵する程整っているのは翔真も認めるが、今はそんな事どうでもいい。そんなことよりも、


「ーー優奈は何しにここにきたんだ? 客としてきたのか? それとも別の事できたのか?」


「あ! そうだったわ! 当初の目的を忘れるところだったわ! まぁ客としてきたのもそうだけど、何より貴方に渡し遅れたあれを渡しにきたのよ」


「ああ、そう。 で、そのあれとは?」


「はい、これよ」


 優奈はポケットからある物を取り出し、その物を翔真に渡す。受け取ったその物は、第七テーマパークにある第七遊園地への無料チケットだった。それを見た翔真は「ああ」と小さく声を洩らして納得、優奈が申し訳なさそうに謝った理由を理解した。


「ごめんなさいね。 同行を拒否してしまって……」


「いや、まぁ、それは気にしてないよ。 同性だけで一緒に買い物したり遊んだりしたい気持ちもわかるからな」


 実は数日前、坂本姉妹と出会った日で彼女らとバイトして終了し、午後の時刻には優奈と一緒に現在エミリーが住んでいる家へ無料チケットを貰いに赴くはずだったが……バイト終了直後に優奈から翔真へ連絡が入ってきたのだ。それが、


『その……ごめんね翔真。急遽午後からはエミリーと二人だけでショッピングモールへ買い物することになってね。 だから……その……無料チケットはまた後日に私から渡しに行くわね』


 とのことだった。結局、午後は自宅でゴロゴロする時間になったである。……若干、エミリーの家に上がらなかった事に残念な気持ちにもなったが。


「まぁそれはともかく、なんで今なんだ? 家はマンションの隣同士なんだしここで渡さなくても良いんじゃないか?」


「それは……暑いからコンビニでアイスでも買おうとおもってね」


「それならバーブルーマンションからそう離れてない位置にファミマがあるだろ? そっちに行けばいいのはずだけどな。 なんで第八区から第七区にある僕のバイトで働くこのセブンイレブンにまでくるんだよ? 時間的にも距離的も掛かるし遠いじゃん?」


 と怪訝する翔真に優奈はポンッ!と手を叩いて、


「まぁそうなんだろうけど、わざわざここにきたのは遊園地の無料チケットの他に、翔真から聞いていたバイトとして新しく入った二人を見に来たのよ、いえ、見てみたいのよ」


 と理由を答えた。それを聞いた翔真は「はぁ?」と間抜けな声を洩らし、そのあと直ぐになぜ坂本姉妹を見て見たいだと訝しんだ。

 なぜあの二人を見て見たいだと問い詰めようとしたが、その瞬間ーー優奈は翔真の耳元へ口を近づき、耳打ちした。それは真剣そのもので、厳な声。


「実は昨日、日本魔導機関から通達が入ったのよ。それはカラスが既に私たちに仕掛けきているって」


「ーーっ!」


 優奈からの告げられた言葉に、翔真はピクリと反応し、彼女から更に詳しくその事について話してもらうと言い、彼女はそれに応えた。

 カラス・イルミナティに所属しているらしき数人の者がエスパダに潜伏してようで、その中に変わった髪色した10代後半の女性の東洋人が二人いて、またその二人は顔が似ているらしく姉妹なのではないか? とそういう推考と情報が日本魔導機関から通達されたとのこと。


「そしてその情報が入ってくると同時期に、貴方がバイトで働くこのセブンイレブンにあの姉妹が入ったきた。ここ数日で私達に何らかで怪しいくらい近づいてきたか、またはそうじゃなくても深く近づいてきたのは……あの二人しかいないのよ。 それにあの二人は東洋人のわりに髪色が赤色と水色でしょ? 情報と一致してる部分もあるわ」


「なるほど。けど髪色に関しては染めていたり……」


「確かここのセブンイレブンって髪を染めやり、ピヤスなど付けていたりすることは禁止してるわよね?」


「あ!」


 優奈の言葉に翔真はハッと思い出した。 どうやら翔真はド忘れしてたようだ。 翔真がバイトするこのセブンイレブンは髪型は自由だか、髪色の自由は禁止されている。 だとするとなぜ二人の髪色が赤色と水色なのか、それは二人のその髪色は地毛だからだ。その事を思い出した翔真は、


「もしかして……疑ってるのか? あの二人がもしかしたらカラスからの刺客かなにかだってことを?」


「……一応、ね。まだそうでないと決まったわけじゃないわ。 もしかしたら全く関係な別人かもしれないしね」


「…………」


 だがここまで話を通していくと視野から外すわけにはいかなく、翔真はこの話を頭の中にきっちり入れて、注意はしておく事した。

 それから日本魔導機関からのこの情報に、小太郎は怪しい者やカラス・イルミナティに繋がってる者、また連中が何らかの仕掛けなどがあるかもしれないとエスパダ中を巡回するとの事。一方でエミリーはカラスの狙いが優奈であるため今後は行動を共にする様だ。因みここへは翔真がいるので心配ないと一人できた言う。

 それ以前に優奈の実力も高い故一人でも平気でもあると翔真は思うが……彼女から聞くに、風ノ忍衆の件であった様にもしかしたら銀次郎みたいに自分(優奈)を上回る実力者が来るかもしれないので、エミリーが今後行動を共にするのは念の為であるという。


「全く! 次は銀次郎の様な私より上の奴がきても倒してみせるわよ。 あの時からずっと今まで以上に鍛錬に力を入れてきたしヘマはしないわ! それなのに、エミリーはそれでも今後はできるだけ行動を共にすると主張し続けるから……はぁ〜、結局、私が先におれちゃったわ」


「はは、ははは〜……」


 エミリーへの愚痴をいい鬱憤をはらす優奈だが、最後に諦めの溜息を洩らした。そんな彼女の物言いに翔真は苦笑いしかなかった。


「それにしても、ルーナイ・オズボーンは近いうちに再び組織の者を送り込んでくると言っていたが……まさかもうそれがくるなんてな。 優奈、くれぐれも一人で行動しないようにな?」


「貴方に言われなくても分かってるわよ」


 と、鬱陶しそうに言い返してくる優奈に翔真はエミリーや小太郎からもこの注意を散々言われたんだろうなと思い、苦笑いするのだった。

 そして同じく内緒話をしていた恵里奈と璃子が翔真と優奈の所へ来た。それにいち早く気づいた二人はすぐさま話を中断する。


「あの、翔真さん。 こちらの綺麗な人はお知り合いですか?」


「ああ。この人は僕の友人で柳 優奈って言うんだ」


「柳 優奈よ。よろしくね」


「あ、はい! わ、私は坂本 璃子と言います! よろしくです! こっちが姉で……」


「あたし、坂本 恵里奈。 璃子の姉。よろしく」


 と、笑顔で手を少し上げて振りながら挨拶をする優奈に、璃子は慌てて名乗り、恵里奈はいつの通り無表情で淡々と名乗った。そしてお互いに名乗り終わった直後、突然、優奈は璃子をまじまじと見つめた。


「あ、あの、わ、私の顔になにか付いてるんですか?」


 優奈にまじまじと見つめられたのか、気恥ずかしくなった璃子はそう恐る恐る尋ねると……その数秒後に優奈は突然璃子へ強く抱きつき、彼女の頬っぺたを自分の頬にくっつけすりすりし出した。


「っんにゃ!?」


 抱きつかれ無理やり頬をすりすりされる璃子は、猫のような声で可愛く悲鳴を上げる。


「んん〜! まじまじと見ると可愛いわ〜!」


 璃子を小動物のように頬ずりして可愛がる優奈は、緩んだ表情だ。

 その表情をみた翔真はとても凛としていた表情をする優奈とは思えないものだった。

 どうやら璃子の可愛さにやられたようだ。

 だがこの二人がカラス・イルミナティから送り込まれた敵かもしれないという事で疑っているのに、この接し方。

 もしかして優奈は敵かもしれない疑い人でも可愛いなら愛でたい程に可愛いものが好きかもしれないと、翔真はこの時思った。


「あ! そうだわ!」


 暫く頬ずりして満足したのか、優奈は璃子から離れ、なにか良い事を思いついた感じでそう口した後、


「恵里奈さんと璃子さん!」


「はぁ〜……はぁ〜……! ふぅ〜! あの、優奈さん。私の事は呼び捨てで構いません。 バイトの先輩の翔真さんのお知り合いですし、仲良くなりたいと思いまして……」


 抱き締められた影響なのか、苦し紛れに息を整えた後、璃子は優奈へ気軽に名前を呼び捨てに構わないと言う。


「うん。あたしも璃子と同じ。 あたし達姉妹にも翔真と同じく気軽に呼んでいい」


 その後に続き、恵里奈も璃子に同意すると、


「ほんとに? じゃあそうするね」


 呼び捨てにすることを二人からの許可をもらった優奈は、嬉しそうに返した。そして、


「それで、呼びかけた理由は?」


 と、恐る恐る言う璃子に優奈は答える。


「私ね、いまさっき翔真に無料チケットを渡したのよ。こんど私と翔真、そしてこの無料チケットを貰った友人の三人で第七テーマパークにある第七遊園地に行くんだけど……二人も来ない? 遊園地への無料チケットあと2枚もあるんだよね。 ほら!」


 最後にそう二言を言いながら、ポケットから翔真に渡した遊園地への無料チケットと同じチケットの2枚を取り出して見せた。それをみた翔真は、まだ無料チケットがあったのかと少し驚く。

 思い返せば優奈からエミリーが遊園地への無料チケットを数枚ゲットした言っていた事に、後から翔真は思い出した。エミリーは5枚も遊園地無料チケットを手に入れていたのである。


「え?! いいんですか!」


「……いいの?」


 突然の遊園地への誘いに二人は戸惑い、優奈にそう確かめるように尋ねた。すると優奈は、


「いいわよ。仲良くなりたいんでしょ? 私と。私も貴女達二人と仲良くなりたいわ。 だからこれで一緒に遊園地で楽しく遊んで仲良くなりましょ」


  と笑顔で二人に返した。 そんな彼女の善意ある言葉に恵里奈はすこしだけ微笑み、璃子はありがとうございますと良い頭を下げて感謝した。


「それでいつ行くんだ?」


「それなら決まってるわよ。明後日行くことになったわ。 明後日の朝6時00時に第八区二番駅前に集合よ」


 どうやら翔真と優奈が住んでいるバーブルーマンションで一番近い電車の駅前で明後日に集合ということに決めていたようだ。


「分かった。二人はそれでいいか?」


「はい!」


「うん。 明後日はあたしと璃子は一日中暇な日だから大丈夫」


「三人ともオッケーね! それじゃあ私は帰るわ。三人ともさよなら!」


 手を振りながらそう最後の別れの言葉を三人へ放った後、優奈はセブンイレブンの店内から出て退散したのだった。


(……というかアイス買わないのかよ!)


 帰った彼女へ、最後に翔真はそう内心ツッコミを入れた。


お読み下さりありがとうございます!

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