表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強召喚師の舞い戻り英雄譚  作者: 林 小
第1章:舞い戻り召喚師
25/127

第25話:思考する翔真/突き止めた居場所

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



(何回も気になっていたが……奴らはどうやってエスパダに来たんだ?)


 最初は思い浮かべたのは、風ノ忍衆の移動方法だった。 真っ先に浮かべるのは優奈の事だと思ってはいたが……翔真はこちらの方がどうしても気にっていた。

 実は、風ノ忍衆がエスパダに来たと言う情報を流介から知らせてきた当初から、度々奴らが日本からエスパダへどうやって来たのかと…… 翔真は奴らの巧妙な移動手段について、密かに考えていたのだ。


(もしかしら奴らの専用乗り物で? いや、それはないな)


 日本は兎も角、エスパダは厳重なセキュリティーを張っている。 都市全域を覆う三重式大結界の大魔術と大霊術……計六重の大結界が張られているのだ。

 それは、諸国軍が持つ魔導戦艦が誇る魔砲光線すらも防ぐ防御結界でもあり、また正式な手続きがない乗り物で不法侵入しようとも、結界がそれを封鎖すると同時に通報する仕組みもされているものだ。 なので密かに乗り物でエスパダ内に入る事は無理だろう。


(もしかしたら……裏で違法な手続きで空港に入る事ができたか、又は海港の方からか。 空港、海港での手続きをする為の身分証等を偽装して、普通にエスパダにきたという事になるけど……手続きの際には審査をする。日本、そしてエスパダも精密された検査能力だ。 たとえA級犯罪集団でも、またそれが異能で装っていても、空港と海港には異能審査室の者達がみっちりチェックしている。そう掻い潜るなんて難易だろう。 となるとーー)


 A級犯罪集団である風ノ忍衆だとしても、その構成人数はたったの四人だ。 その少数だけで日本からエスパダに来る事は出来ないと断言できよう。 それが分かっている翔真は、ある結論に至った。それはーー、


(ーーそれすらも容易にできる者達が……それも大きな組織が風ノ忍衆のバックにいると考えるのが妥当だろう。そしてその組織の力で風ノ忍衆をエスパダへ容易に送ったんじゃないか?)


 これなら色々と納得いくだろうと、翔真は思った。

 じゃあその組織は何なのかと、次に奴らのバックにいる組織に気になり出す翔真。

 そこで翔真はここ数日の出来事を上手く繋ぎ合わせる様にして思考し始める。


(風ノ忍衆の目的は優奈さんを攫うことだけと……そもそもなぜ奴らは優奈さんを狙うんだ? わざわざ日本からエスパダに来てまで。金目当てなら日本にも金持ちの者達がいるから、その者達を標的にすればいい。 てこと金目当てじゃない。 なら優奈さんは、奴らから狙われる理由があるという事だ)


 もしかすると優奈さんは日本魔導機関長の義娘だからでは? と後に思ったがそれはないと瞬時に首を振る翔真。いったい風ノ忍衆が優奈を狙う理由がわからない。

 行き詰まいそうになる所で、翔真はある事が頭に入った。それは深く考えず、普通に考えてみれば簡単に思い至る事である。


(ーー風ノ忍衆のバックにいる大きな組織。その組織が優奈を欲していて、その彼女を攫うのを代わりに風ノ忍衆がやっているってことか)


 なら、その組織が優奈を欲しているという事になり、風ノ忍衆はその組織の下に従いていてることになるだろう。

 組織からの命令で風ノ忍衆は優奈さんを狙いにエスパダに来た、と結論付ける翔真。


(ならその組織はいったいどこの?)


 A級犯罪集団たる風ノ忍衆なので、正規の組織が関与してるとは思えない。 それでも、組織というのは裏がある故、絶対とは言えないだろう。

 だが今回の件は正規の組織は関与していないと、翔真は確信している。 となれば裏の組織だろう、それも大きな組織に違いない。


 そしてその組織と狙われる優奈の事、この二択について考えるとーー、


(っ!! そう言えば……彼奴が言ってたな。日本魔導機関にいる一人の美しい女性が、あの最悪な組織が狙っていると? もしかしてそれは……いや、ありえ……でもまさか)


 ふと、翔真は過去にとある知り合いから聞かされた重大な事が頭に走り、それと今回の件と繋ぎ合わせた事で一つの辻褄があった事に気付いた。


 それは、かつて翔真がまだ召喚師(・・・)という職から降りる少し前の事だ。

 その知り合いは翔真専属の諜報員とも(・・・・・・・・言える優れた情報網を持つ人物だ。

 その人物も、翔真の他の知人である世界最高の隠蔽者と同じく翔真の正体を探られるように協力してもらっていた者でもある。


 そして彼はとある機密に目に入り、それを独自に調べていた。それもその機密は彼にとって過去最大の難関なものであった。 そして彼はやっとの思いで調査した結果を翔真は聞きーー。


(ーーっ! そうか、そうだったのか。 ある程度見えてきたぞ)


 狙われる優奈の秘密。

 彼女を狙っている黒幕の組織。

 優奈に『白銀(はくぎん)召喚師(しょうかんじ)』探索任務を下した理由。

 そして自身が体験した二年前の出来事。


 翔真の脳裏にて、徐々にピースが埋まりーー。


 人道で足取り早く歩いて行く翔真は徐に足を止める。 丁度、交差点を渡る横断歩道前に立ち止まっている位置だ。 あと少し進めば、バーブルーマンションに到着するだろう。


 立ち止まった翔真は、上空を見る。


 既に時刻は夜に差し替えたており、青空から夜空へとなっている。

 昼間は暑さはあるものの、涼しいさも少しあったが……今は夜中なのか、少し肌寒さが感じられるだろう。

 信号が赤から青へ移り変わっているが……翔真は立ち止まったままであった。 同時に、夜空を見上げていた翔真は独りでに喋り始めた。


「……まさか風ノ忍衆のバックは奴らだったとは。 どうして今まで気づかなかったんだろうな。 まぁいいけど……。 あいつから聞かされたある組織が一人の少女を密かに狙っている。 その少女が優奈さんだったとはな」


 既に翔真は、風ノ忍衆のバックにいる組織の正体に気付いた。また、同時に翔真の中で再び怒りと悲しみの感情が溢れ出そうとしている。

 それは、二年前の災害に体験した彼にとって大切な人を・・・・・・・・・・亡くした・・・・悲劇の悲しみと、それを引き起こした者達の怒りだ。そして、彼が召喚師を辞めて表舞台から姿を消したきっかけでもあった。


「…………」


 信号が赤きら青になり、翔真は横断歩道を渡る。

 その際から、翔真の目は鋭い眼光となっていた。


「ふぅ……」


 怒りを鎮めようと大きく息を吐く翔真だったが、それでも溢れ出てしまった怒りを完全に消える事は出来ない。

 それほどまでに二年前の事が許せないのだ。


  横断歩道を渡った後、翔真は渡った先にある電灯がつく夜の人道を進み出す。

 遅すぎず、早すぎず、進み歩く。


「ゼニラ。 お前が言っていた事は、今になっていずれくると思えたよ。 それでも僕はお前達を呼ばないかは別だけどーー」


 翔真は、昨日自宅で久しぶりにあった契約獣からの言葉を思い出して、そう口にした。そして、


「ーー奴らが優奈を狙う理由も、今はある程度分かったよ。 それに、どうやら僕にとっても今回の件に関わる必要があるみたいだ。 僕自身の戦いも、二年前に終わったと思ってたけど……まだ終わってなかった」


 意味ありげな言葉を言い終えた翔真の足取りは、徐々に早くなる。

 そして翔真はつい先日に口にした事を思い出す。


(あの時、僕は確かに思っただろう。 魔導機関の仕事だから僕は関わらない様にするって)


 それは昨日の高速道路にて進む優奈の愛車に乗っている際、彼女から風ノ忍衆の件で忠告してもらった時だ。


 ーー万が一の事な事があったら、僕は動こう。


 その決断した言葉を、今ここで翔真は訂正した。

  現在となってはそうも行かなくなったからだ。

 何故なら、あの時は風ノ忍衆があの組織と関わっているとは思いもしなかった。

 だが色々と予想外な事が起きた今となっては別だ。

 あの組織が関与しているとあっては、翔真は見過ごせないのだ。

 そしてーー優奈が狙われる理由について、はっきりとはいかないが翔真には見当付いている。


「…………」


 翔真は人が余り寄り付かない裏道に入った直後、


「《我が眼に宿れ》」


 左目を閉じ、一節の呪文詠唱を呟く。


「『鷲眼(イーグル・アイ)』」


 すると、翔真の右目には瞳程の大きさをした魔術法陣が展開された。


 支援系統に入り、探索・索敵・探知の白魔術ーー『鷲眼(イーグル・アイ)』。


 その効果は、効果範囲内全体を術者の眼に見える様にするものだ。

 これがあれば敵の位置や移動先、また範囲状況等を把握できる。

 人探しに大いに役に立つ魔術でもある。

 そして翔真は自身の右目に浮かぶ『鷲眼(イーグル・アイ)』を第八〜十区全域に効果範囲内に収める様に広けだ。

  今の翔真の右目には、第八〜第十区全体を上空から隅々まで見通している様に見えるだろうが、事実そうである。


(僕が考えるに、今頃優奈さんは風ノ忍衆の居所に到着しているだろう。そして優奈さんの目撃情報からするに、第九区及び隣区である今僕がいる第八区と、もう一つ隣区の第十区……この三区の何処かに奴らの居所があるはずだ。 そしてそこ優奈さんも……)


 自身の推測通り三区を『鷲眼(イーグル・アイ)』で探し続ける翔真。 そしてーー、


「……そこだったのか」


 それを呟いた直後、翔真はそこへ全速力で向かうのだった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 ーー場面は変わり、某区の某場所にて。


 夜空の下、その場には人っ子一人もいなく、静けさが漂っている。

 電灯も一つもないが、夜空に浮かぶ月明かりのお陰で辺りを見渡せる程には見えるだろう。

 またその場の周りには住宅や商店などはない。

 あるのは大きな倉庫が多数ありそれが列に並び揃えられており、ただ一つだけそこには既に使われなくなった廃工場がポツンと聳えていた。


「…………」


 そして廃工場前に広い場があり、その奥の暗闇から一人の褐色の黒髪美女が姿を現した。

 その女性はゆっくりと進み、廃工場の目前に着く。 すると女性は、


「……ここに書いてあるのが本当なら、それが本当か直接聞きに行かないわけには行かないわね」


 手元にある真っ黒の書状を見ながらそう呟いた後、女性ーー(やなぎ) 優奈(ゆうな)は廃工場内へと入った。


お読み下さりありがとうございます!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ