第14話:紫の光球
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「つ、疲れた〜!」
現在、バーブルーマンション七○十二号室である自分の自宅内のリビングに置いてあるソファーへと、楽になる為にうつ伏せで倒れた翔真は自身の疲労を口する。
ここまでの経緯に遡ると、翔真はファミレスで遅い夕食を食べ終わった後、優奈が『私はまだ食べるから先帰って良いわよ』と言われた。
それに翔真はお言葉に甘えて、ファミレスのレジへ行き支払いした後、ファミレス出て自宅へと帰って来たのだ。その後に、自宅のリビングへ行き、明かりをつけ、ソファーへ行き現在に至る。
「やっと解放された……」
そして、うつ伏せから仰向けなって息抜きしてそう呟く翔真。その後、翔真は昨日と今日と言う二日間の出来事を脳裏から振り返り……翔真は散々な二日間だったな、と思いになる。だが同時に自分にとって得るものも得た。
それは日本魔導機関、いや、それを含め日本政府は『白銀の召喚師』の探索を開始し、まだ探索しておらず且つ一番いそうな都市島エスパダへと、柳 優奈と言う魔導士が訪れて来た事だ。
そして次に、A級犯罪集団『風ノ忍衆』がエスパダの第七県内に潜り隠れている事。そして『風ノ忍衆』に関しては優奈からも警告を受けた通り、翔真は自分は何もせずに動かない様する事にするが……、
「恐らく僕の推測が正しければ、必ず『風ノ忍衆』の件は僕は動かざる終えないだろうな。あ! 推測と言うより勘だな、これは」
と、言いながらソファー前にあるテーブルに置かれているテレビのリモコンを取り、リモコンを操作し目の前のテレビをつける。すると、テレビ画面が開き……そこにはニュースがやっていた。
「これは……」
翔真がテレビ画面を見て、そう呟く。それは翔真にとって気に留めていた件に関係しているのご、テレビに映っていたからだ。因みにチャンネルは、4チャルネルだ。
そしてその内容とはーー《日本魔導機関とアメリカ魔導機関から、世界的有名な魔導士が各二名がエスパダへ来ている為、彼らはエスパダに来た理由等を聞くインタビュー》ーーというものだ。
エスパダには、二つの空港がある。
一つは、第一県。
もう一つは、第十県。
その二つの内の第一県の空港に彼らが乗る飛行機が降り立ったとの事。
そして他の県と違い第一県には、エスパダを守護する異能騎士団本部とエスパダは人工島であり海に浮かぶ島である為、それを支える動力源である鉱石がある。
それは、魔導具や霊導具に魔導機関が所有する魔導戦艦に魔導飛行艦等、異能技術により作られた乗り物にエスパダの中央部に高く聳え立つエスパダタワーと同じ動力源となる鉱石だ。
エスパダタワーや魔導の戦艦に飛行艦はいずれ機会が訪れた時の説明するとして……その動力源となる鉱石は、【エネルギーストーン】と呼ばれものである。
エネルギーストーンが何なのかは詳しく説明することは今は出来ないが、一言で行けばエネルギーの塊の鉱石なのだ。
兎も角、エスパダ第一県空港に降り立った、日本とアメリカの魔導機関の世界的有名で知られる日本の二名の魔導士とアメリカの二名の魔導士、計四人へインタビューをする番組だった。
(……あの四人か)
そして翔真は四チャルネルのテレビを見て、そう心中呟く。
テレビ画面には二人の日本人と二人のアメリカ人、計四人へこの現在のニュース番組で中継しているキャスターが聞き込みへ行く出す所だ。
「この四人なら僕も知ってる。確か名前はーー」
翔真は中継しているニュースでエスパダに来た日本魔導機関の二人とアメリカ魔導機関の二人、計四人の名前をあげた。
日本魔導機関の魔導士、澤田 辰久。
日本魔導機関の魔導士、江本 小太郎。
アメリカ魔導機関の魔導士、エミリー・フォリーヌ。
アメリカ魔導機関の魔導士、フェリック・ダンバート。
「確か、この四人は魔導士の中でも上位クラスの実力を持つとも言われている。四人は確かB級魔導士だったな」
テレビ画面でキャスターが日本人魔導士の二人の内一人の、澤田 辰久へと質問をしているのを聞き見ながら翔真はそう口にする。
魔導機関にいる異能者の軍人、魔導士には階級が存在する。
第一位→S級。
第二位→A級。
第三位→B級。
第四位→C級。
第五位→D級。
この五段階となっている。そして魔導機関のトップである魔導機関長は、代々S級魔導士が就ている。
S級魔導士は、国家軍の一軍を対抗又は圧倒する程の実力を持つ。
A級魔導士は、国家軍の師団を対抗又は圧倒する程の実力を持つ。
B級魔導士は、国家軍の旅団を対抗又は圧倒する程の実力を持つ。
C級魔導士は、国家軍の連隊を対抗又は圧倒する程の実力を持つ。
D級魔導士は、国家軍の中隊を圧倒する程の実力を持つ。
この様に分かる通り、魔導士となった人はそこで実力がある事が確定付けられているのだ。
一番最下位であるD級魔導士ですら軍の中隊を圧倒する事が出来ると言う事は、既に普通の凄腕の軍人ですら超えている。
兎も角、その魔導士階級で四人のB級魔導士が赴いてきたと言う事だ。だが翔真はこれに疑問を抱く。
「多分、いや、十中八九この四人が今回、エスパダ第七県に隠れ潜む『風ノ忍衆』を対処しに来た魔導士なのは確かだ。だが、たった一犯罪集団に魔導機関の上位クラスにいる魔導士を派遣してくるのか? それも四人で、だ。幾ら『風ノ忍衆』がA級犯罪集団だとしても、戦力面で言えば有り余りすぎるぞ」
翔真の言う通り、これはやり過ぎと言えよう。確かに『風ノ忍衆』A級犯罪集団と認定された実力揃えの凶悪な忍者達だ。優奈の話からでも、数人の魔導士でも手こずると言う。だがそれは階級が下位レベルの魔導士の話だと、翔真は思っていが……、
「B級魔導士を四人も出動しないといけない程ヤバイのか、『風ノ忍衆』ってのは」
と、言いながら翔真はテレビを見続ける。するとそのには、如何にも遊ぶ感じの私服をしている日本人魔導士の一人、澤田 辰久はキャスターからマイクを当てながら、エスパダへ来た目的を言った。
『今回、私達がエスパダへ来たのは遊びですね。仕事続きで同じ職場の友と息抜きがてら遊びに参りましたのです』
と、テレビ越しからインタビューキャスターの質問に答えた澤田 辰久。だが彼が言っている事は真っ赤な嘘である。
知っての通り、本当に『風ノ忍衆』を対処する為に来たのだが……エスパダの人々に公にしてまえば大騒ぎになりかねないのだ。
それにもしこの放送を何処かで隠れ潜んでいる『風ノ忍衆』がテレビやラジオ等で見たり聞いていたりしてるかもしれない。
余り奴らを警戒等させない為でもあるが……既に四人の魔導士が来たとい時点で奴らは既に警戒し出している可能性が高いが。
『エスパダに来てまず最初に行って見たい所ありますか?
『そうですね〜、エスパダの観光地へ行きたいとおもいますね』
と、今度は今後の行き先を質問をしたキャスターに、澤田 辰久は答えた。とその直後、もう一人の日本人魔導士である江本 小太郎が、キャスターからマイクを取り、テレビ放送カメラを自分へ強引にむけさせーー、
『優奈ちゃーん! 見てますかかぁぁぁーー! 只今愛しの彼氏様がきたよぉぉぉ!!』
『バカ野郎!声が大きくして叫ぶな小太郎! それと彼女は君の彼女ではないだろ! 何十数回も告白して尽く振られたではないか! いい加減諦めろ!』
『いーや、諦めないっすよ、澤田先輩! オレは優奈が好きだぁぁぁーー!!』
『ちょっとうるさいわですわよバカヘッド!』
『んだとぉ!? オメェもうるせえじゃぇか! この金髪ドリル女! テメェはアメリカへ帰れ!』
『っんな!! ど、ドリルですってぇえ!? 貴方死にたいのです? いーえ、この場で殺して差し上げますわ!』
『上等だゴラェ! たかがカス馬と契約してくらいでオレは負けねぇよ!』
『言うじゃありませんの!』
『『はあああああ!(おりゃあああ!)』』
と江本 小太郎とエリミー・フォリーヌ、その二人の口喧嘩から暴力喧嘩へとなるが、
『『やめないか! (やめろ!)』』
『『ッグべ!(っあう!)』』
澤田 辰久が江本 小太郎の頭を思っ切り拳骨を食らわし、フェリック・ダンバートがエミリー・フォリーヌが着用している服の襟を上に上げ、二人の喧嘩を止めた。
その後は、何んやかんやでキャスターがある程度質問にし終わり、中継は終了した。
「…………」
そしてテレビで四人の魔導士を視聴した翔真は引き攣った顔になりながら、この人達でA級犯罪集団を殺り合える事は出来るのか? と不安になってしまった。
いや、確かにあの四人はB級魔導士で実力は高いのは聞いている。
だが翔真はその四人とは直に会った事はないし、実際に戦っている所も見た事はない。
例え知っていても実際見ていないので不安がるのである。
翔真は実際に相手の実力がどれ程のものなのかそれを見極めるに長けているが、流石にテレビ越しからでは無理である。
それから中継が終了した後、翔真はソファーから立ち上がり台所にある冷蔵庫へと向かい、中から取っておいたペットボトルの飲み物を取り出す。
そしてペットボトルの蓋を開け、翔真は飲む。
と、その翔真の目の前がいきなりピガァア!っと台所、リビング、ダイニングと、そこら中が光り出す。それに翔真は左腕で両目を覆い、眩しさを防ぐ。
そして数秒後にて、光りが治った後……ダイニングにある食事をするテーブルの上に、謎の紫色の光球が浮かんでいた。すると、
『久しいな、マスター』
と、その謎の紫光球が、未だ光が止ん後再び飲み物を飲み続けている翔真へ声を掛けた。
その声は、どこか念声の様であった。
そして声を掛けられた翔真は、紫光球へ目線を向けーー、
「何の用だ? 『帝釈天』」
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