第12話:乗車中での会話
ーー都市島エスパダ・第七県の第九区にて。
第七県の第九区は、第七県の第一区から第十区の中で最大面積を誇り、又数多くの人々が集まる区でもある。
第七県第九区は、漫画、フギュア、スポーツセンター、ゲームセンター、高級カフェ、メイド喫茶等による多数の様々な商品店や娯楽店があり、高層ビル等には表示する大型ビジョンに広場では歌をかます人がいたりと、商業と娯楽の区である。繋げると、商業娯楽区だ。
その第七県第九区の大道路では現在、数多くの自動車やトラックにバイク、バス等の多くの乗り物が交通しており、その第九区の西部の大道路には、長々と信号待ちする一際目立つ車である黒のオープンカーがあった。
そこには、運転席にはサングラスを掛けた褐色の美女である優奈とその隣の助手席には何処にでいる金髪の少年である翔真の、二人が乗っている。そんな信号待ちをしている中、エイトは思っていた。
(こんな所にいるわけないだろ!)
と、優奈へ視線を向けながら心中愚痴る。三十分前、第八区から第九区に続く大道路にて、乗車中に翔真は何処へ探索するのか聞いたのだ。その時は翔真はまだ何処で探索するか優奈から聞いてないのだ。まぁ同時に絶対見つからないだろうとも翔真は思っていたが。
兎も角、優奈から聞けば、第九区だと言う。
理由を聞けば、優奈は『人が多い所なら情報収集ができるでしょ? 』と返してきたのだ。
確かに、人が多い所なら情報収集に最適だろう。この区外の別の区又は第七県以外の所から来た者も多くいる事もあり、その者達から目撃情報やら『白銀の召喚師』に似ている者等、それといった情報を掴む事も出来るだろうが…… 生憎それは『白銀の召喚師』を見つける事は不可能である事を翔真は知っている。
なぜなら、確かに人が多い所にいれば情報収集に適している反面……隠れやすい場でもある。だが『白銀の召喚師』は素性も性別に年齢も不明なのだ。
だから幾ら情報収集しようとも当人の姿形を知らないのでは無駄である。いや、髪と目の色が白銀色であるのは知ってるだろうが……それでも西洋人なら珍しくない色の髪と目である故、髪と目が白銀色=『白銀の召喚師』である事にはならない。
それでも優奈との探索の手伝い事にし、第九区(商業娯楽区)中にいる様々な人達から聞き込みに行ったが、“第七県にいるかもしれん”という一つの噂だけしか入手できなかった。
これは翔真と優奈でも当然知っている為、成果はゼロである。それからも様々な高層ビル内にいる人や、スポーツセンターにいる人に、道行く人たちを聞き続けてもやはり何一つ成果はゼロであった。それからも情報収集を続けるが、それでも変わらず成果ゼロだ。
そしてそれを続けるとあっと言う間に時間は過ぎてしまい、時刻は午後の3時過ぎ頃になり、二人は乗車中の現在に至る。
そしてエイトは一度溜息を吐いた後、優奈へ言う。
「優奈さん。そろそろ第九区から離れて別の場所に探索に変更しないか?」
「いーえダメだわって言いたいけど、これだけ情報収集しても何一つ新しい情報は無しだものね。一旦第八区へ戻りましょうか」
「うん、それがいいな」
そして二人は第八区へ戻ること決めた。と、タイミングよく同時に信号が青になった。
前方の車が進んで行く。
そして第八区へ戻る事に決まった事で、隣の逆方向へと進む第八区へと繋がる幹線道路へとハンドルを回して逆方向へと進む幹線道路へ入り、そしてアクセルを踏み前進。
そのまま真っ直ぐ二人の車は、第八区へと進むで行く。
「ねぇ、今更でもあるかもしれないけど翔真って何処の国の人なの?」
と、風に吹かれながら運転中である優奈が翔真へ気になる事を尋ねた。なぜそれを聞くのかは翔真はすぐに分かった。
自分の髪や目の色が金髪と碧色でこれなら西洋人に見えるだろう顔も少しそちらへ似ているが、同時に東洋人にも似ていおり名前も東洋人のそれである。
言わば、西洋人と東洋人の中間の顔立ちをしているのだ。
「私の予想なら翔真ってハーフだよね?」
「まぁそうだよ。イギリス人と日本人のハーフなんだ。父方が日本人で、母方がイギリス人だ。優奈さんはって言っても見れば分かる通り、日本人だな」
「残念だったわね、私は両親は日本人なのよ。そして生まれも育ちも日本だから、私は日本っ娘だわ」
「そうなんだ。僕も生まれは違いますが、育ちは日本ですよ」
「そうなの。あれ? なら翔真って国籍はどっちなの? イギリス? それとも日本?」
「一応ですけど、日本になる」
「一応ってなによ?」
「それは……まぁ気にしないほうがいいってことだよ」
「はぁ〜、分かったわよ」
なにやら深い意味があるらしくこの話から逸らす様にする翔真に、優奈は仕方なく承知した。それから暫くした後、高速道路へ入り、優奈はアクセルを更に踏み押し、車の速度を上げる。
すると、ヴゥウゥゥン!と言う車の速度音がなる。そのせいか物凄い風により、翔真の金髪と優奈の肩よりちょい下程の長さをした艶かな黒髪が靡く。と、その直後、「……あ!」と何か伝える事を思い出した様な顔になった優奈。
「ねぇ翔真。第八区に着く前に貴方に伝えなければならない事があるのだけど」
「伝える事?」
伝える事はなんだろうと首を傾げる翔真、そして優奈は伝える事を言う。
「ええ。まぁ生活には凶報なのだけど、どうやらエスパダ第七県内に、日本で指名手配集団だった、A級犯罪集団『風ノ忍衆』が何処かに潜んでるのよ」
(やはり優奈さんにも届いていたか。まぁ当然か)
優奈から伝え事が、昨夜に流介から電話で凶報してきた内容と同じであった事に翔真は然程大きな反応は見せなかった。
アメリカ魔導機関の魔導士である流介にその報せが届いているのなら、元々日本の犯罪集団であるためその日本魔導機関の魔導士である優奈にもその報せがくる事は当然であるのだから。
そして優奈は言葉を続ける。
「だから、あまり夜中や人が余りいない場所へは行かない事よ。幾ら翔真が強い異能者であっても、魔導士数人ですら手こずるA級の犯罪集団だから、万が一遭遇したらいけないからね。もし遭遇したら真っ先に逃げることよ」
「それはまぁ物騒な事だな。けど、優奈さんの警告には承知するよ」
「ええ、そうしてちょうだい」
「それで、優奈さんはどうする? その『風ノ忍衆』が第七県内にいるらしいし、捕らえにでも行くのか?」
「そうね。今の私は極秘任務中だしね。でも一応この件の対策はもうしてあるから私の出る幕はないと思うわ」
優奈からの対策と言うのは、昨夜に流介から日本魔導機関とアメリカ魔導機関から各二、三人の魔導士の派遣とエスパダ第七異能騎士団の出動等の事だろう。
両国から二、三人と言う事は、四人か六人がエスパダの第七県に訪れる事になる。
(ま、この件は魔導機関が受け持つ仕事だ。僕は優奈さんの警告に従う事にしよう。だがーー)
ーー万が一の事があったのなら、僕は動こう。
と、翔真は決断した。
それから暫く経った頃にて、二人は第八区へと到着したのだった。
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