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親友の恋路を応援したいギャルのアシストが下手過ぎる  作者: 焼肉一番


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アシストしてあげる 終

「面白い冗談のお陰で少し頭が冷えた。ごめん、あたしが取り乱して良い事じゃないのに……」


 ……冗談? どこがだろう。 


「そんなの私は怒ってないんだよ!」


 ラコは山之内の顔を上げさせるように肩を掴み、自分の方を向かせて言う。


「え……」


「だって、人を好きになるのに早いも遅いもないもの。だから、昨日、私たちは付き合ったけど、でもずっと撫山くんが私だけを好きでいてくれる保障なんてないし、リンネはリンネの気持ちに嘘吐く必要なんてない!」


 ちょっと待ってくれ、今色々と聞き捨てならない事を言われた気がするんだが大丈夫か?


「……なんでラコはいつも……そんなに完璧なの……。そんな理屈で全部許せるの?!」


「理屈だけじゃないよ! リンネが好きだからだよ! リンネが! 私の嫌がる事しないって分かってるから! 信じてるから! だから……私が知らない事を撫山くんが知ってる状況が信じられなくて怒った事もあったけど……」


 ああ、あれ、嫉妬の対象が逆……と言うか、そっちで傷付いてたのか。山之内がラコの事ばかり思っているのは知っていたが、ラコもラコでちゃんと山之内の事を大事に思っている。山之内の自覚以上に。


「それに私、撫山くんの事好きってずっと隠してたんだもん……仕方ないよ……」


「バカ! 知ってたよ!!」


「えっ?!」


 良くも悪くも、ラコが天然過ぎて深刻になり過ぎないでいられる。


「知ってたのにこうなったから言ってるの! それでも同じ事が言える?!」


「言えるよ!」


 まさに即答だった。


「言える」


「何で……そんな……」


 リンと真っすぐに山之内を見つめるラコは美しい。その瞳に射すくめられた山之内はとうとう反撃の術をなくしてしまう。


「いつもいつも、あたしの予想よりカッコ良いの……ズルいよ……」


 心底参ったといった表情でそう言うと、山之内はラコの首に両手を絡ませ抱き付いた。


「リンネの方がいつもカッコ良いよ」


「どこがよ……バカ」


 ああ、またラコの完勝か。まったく、勝ち目のない戦いなんだよそもそも。


「はぁ……、まぁ良かったよ、ホッとした。二人が仲良しで。俺……なんか昨日悩んじゃって……俺のせいで、二人がどうにかなっちゃうんじゃないかって、そう思ってな」


「撫山くんのせいなんかじゃ……」


「いやだから、カッコ良過ぎるって言う……いてぇな!」


「反射」


 ラコに抱き付いていた筈の山之内がもの凄いスピードで一発入れて来た。また単語で済ませやがって。


「そんな事より、もう一つ言わなきゃいけない事があるだろうが。もう……ここからは二人で話したら良いと思うから……俺は行く」


 大いにショックを受けるであろうラコの傍に居てやりたいと言う思いはあったが、俺は二人だけにする決断をした。もう、大丈夫だと思ったからだ。


「あ、あと、俺あんまり信用ないみたいでショックだけど、俺が好きなのは、ラコだから。ただ山之内の事も大事だと思ってる。だから二人に喧嘩して欲しくない」


「カッコ付けるなバーカ!!」


 酷かも知れないけど、言わなきゃダメだと思った。だから、殴られる前に退散する。


「すまん! またカッコ良過ぎたか! じゃーな!」 



 その後、二人でどんな話しになったのかは想像するしかない。泣いたり怒ったりしたと思う。だけど、その日の夜、山之内から画像付きのメッセが届いた。

 海に行った時にみんなで撮った写真と、山之内だけの写真。


『持ってて良いよ』


 だとさ。俺は確かに足フェチだけど、山之内の良さは足ではない。この、アホそうな笑顔だ。言わないけどな。


「いつ、帰って来るんだ?」


 あの白ビキニの写真以来、山之内から何の連絡も来ていない。情報はこうしてラコから貰っている。ラコ情報に寄ればもう手術は終わっているらしい。


「術後が色々大変らしくてまだまだ先になるみたい。だから今度こっちから会いに行く」


 季節はもう、オッソブーコまんの時期だ。


「そっか」


「撫山くんも行こ」


 うーん、どうかなぁ。悩んでたら俺のスマホがなった。同時にラコのも。同じ予感がしてラコと顔を見合わせる。

 そこには相変わらずのアホっぽい笑顔。短いスカートから伸びる白い足と、銀色の足。カッコ良いじゃないか。俺は心からそう思った。


『おるちゃみの写真を送ってください』


「ムカつくから俺の写真を送ってやる」


「ふふっ」


「あ、どうせなら二人一緒の写真……」


 ラコに近付いたら悲鳴を上げて逃げられる。もう付き合って三ヶ月以上も経つのに、まだまだ鮮度が落ちない。


「またラコに逃げられた。早く帰ってこい」


『仕方ないわね! あたしがアシストしてあげるわ』

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