終章:冒険の始まりです
先導が決まった次の日。
「ほら、シーナちゃん機嫌直して?」
ドーラはそう何度も謝るが、私の機嫌は直らない。
というのも、昨夜、雑魚寝部屋で私とドーラの間にエッタを挟んで寝た筈なのに、起きたらドーラに抱きしめられていた。ここまでは良いけれど、私の頭はドーラのゲロ塗れになっていた。【クリーン】 の生活魔法一発で綺麗になるとはいえ、機嫌も悪くなって当然だろう。
「ほら、クッキーあげるから」
その声に反応してドーラの方を見てしまう。恥ずかしさとドーラの笑顔に何か負けた気がして顔を背けると、ドーラは笑いを含みながらまた言った。
「ね、ゴメンって」
良く良く考えてみれば、もうそんなに機嫌も悪くないし、観念することにした。
「分かりました。もう良いですよ」
「うん、ありがと」
もう、そんな笑顔されたら私が子供みたいじゃないか。まあ、子供なんだけど。
「仲直りした所で、行くか」
「はい」
ゴンの言葉に返事をすると、一行はアルプの西の城門を出て、石造りの街道を進む。
「ガンヌってどんな所なの?」
誰に、という訳でもなく尋ねる。
「うーん、これといった特徴の無い街だなあ。まあ、補給に立ち寄るだけだな」
すると、ゴンが待ち構えていたかのように答えようとして、上手く行かなかったような感じで答えた。
「そっか」
「むしろ、そこから西に四日行ったクロスの方が大きいぞ。そこなら子供用の鎧も安く手に入るだろう。金は……足りなければ貸そう」
「銀貨五十枚あれば足りますか?」
「その半分で足りるわよ?」
ドーラの言葉にひと安心し、息を吐く。まあ、その倍でも買えるのだけれど、あまりお金は使いたくないのだ。
「で、クロスからタイガ川を越えて行けば、レオンね。始めの二ヶ月程はそこでチームの基本的な立ち回りやらなんやらやってから、もっと南のゴートに行って本格的にやるわよ。分かった?」
「はい!」
私は、別の街とドーラ達との狩りの期待に胸を膨らましながら返事した。




