第81話 プチ邪神 VS 神
完全に見通しが甘かった。
”神の目”で見たプチ邪神のステータスの数値が、9999で倒せそうなレベルであった事に惑わさた。しかしあいつの本領はその特技の一つ”魔眼”だった。
まずステータス数値が俺より上だけど、魔法連打で何とか倒せそうな数値であること。
また【特殊スキル】邪族召喚に目がいってしまい、周りに居たウイルス達との無限増殖コンボを想像してしまった。そのため時間をかけるのはまずいと思わされた事。
そして【特技】がいくつかあって、【特技】はそんなに問題なさそうな雰囲気をもっていたことだろうか。
このいくつかの要因により、俺は、とりあえず都市ロムルスと総本山方面に特級のバリア20枚分を使って被害が及ばないようにした。そしてテレポートを使い邪神達とこの場を離れて倒そうと決めたのだが……そもそもテレポートがプチ邪神には効かなかった。
今まで、アイテムBOXと違いテレポートは、相手の意思関係なく誰でも飛ばす事が出来た。
ただし座標の腕輪の効力が自分の半径300メートル以内だったので、その範囲に居ればという注釈はつくいていたが、エグゼバグ相手でも問題なく飛ばせていたからそう思っていたが、違ったらしい。
んで、重過ぎると出来ないのかな?それとも”神”の能力でも封じる能力でもあるのかな?まあ出来ないのであればしょうがない。なんて悠長に考えていたら、プチ邪神が俺を認識していたらしく、プチ邪神の額にミチィッと目が現れ、”魔眼”が発動した。
俺はその目を直視してしまい、そのままバッドステータスをくらってしまった。
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名前 神崎徹
種族 人族
役割 なし
職種 ひも
位階 10
筋力 100
体力 100
精神 100
知力 100+3000
魔力 100
器用 100
幸運 100
『神の加護』×5発動中
(×3×2.8×2.5×2.1×1.6)
【バッドステータス】
五感半減 アイテム使用禁止(装備品は除く)
【特技】
剣術2 交渉3 算術5 言語5
【装備品】
・隠匿のローブ
鑑定10でも見破る事が出来ない認識阻害の能力が付与されている
・剣鬼の剣・鞘
剣気を発する事が出来る。剣気とは殺気の様なモノで鞘から抜いた長さによって相手に伝わる剣気の量が変わる。鞘から刀身をすべて抜くと、ただの剣になる→鞘から抜いた状態(筋力+1000体力+500器用+500)
・浄化の錫杖
この錫杖を振ることにより、その周辺の穢れを清める事が出来る。装備者は穢れ攻撃を無効化できる。神級魔法『浄化』が使えるようになる
・三重のイヤリング
並列思考が出来るようになる。本来の思考以外に、3人分の並列思考が可能になる(知力+3000)
・座標の腕輪
自分を中心に半径300メートルのどこでも、座標を指定することが可能になる
・重複の首飾り
この首飾り装備時、装備者にかかったバフの効果を重複させる事が可能になる
【アイテムBOX内の魔法】
・火
初級30 中級200 上級372 特級23
・水
初級78 中級400 上級355 特級18
・風
初級21 中級300 上級613 特級27
・土
初級5 中級400 上級421 特級24
・雷
初級12 中級300 上級777 特級28
・バリア
初級67 中級400 上級862 特級40
・神の加護 290
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五感半減はまだいい。
目が多少ぼやけたところでプチ邪神が大きいから攻撃を外すことはない。音が聞こえずらいのもちょっと不便だな程度だし……。味覚や嗅覚は戦闘ではほぼ使わないから問題ない。触覚も攻撃されればさすがにわかるから今のところどうでもいい。
だがしかし、アイテム使用禁止はヤバい!
さっきからアイテムBOX内の魔法を使おうと試みているんだけど、魔法を掴む感覚がどうにも感じられない。
えっと、『神の加護』いつかけたっけ!?
確かプチ邪神を確認してから一回かけなおしたよね?
なら後何分だ?
約10分持つから……7~8分ってところか。
……さすがにまずくないか?いつ、アイテム使用禁止が外れるんだ!?
と自分を”神の目”で確認しながら、何度もテレポートを行い、都市ロムルス方面とは逆の方に距離をとる。
そして神の目は無情にも『プチ邪神を倒すもしくは1時間経過』と絶望的な情報を提示した。
「くそっ!」
どうするっ?どうすればいいっ?
刃鬼をここに連れてくる?……いや、そうしたら都市ロムルスが真祖メアルードとグリードに襲われる。かと言ってサーシャ達と合流するわけにもいかないし、時間をかけたらウイルス無限増殖が発動するし……。
よし!とりあえず、蚊の姿をしたウイルス、ジーフーを倒そう!あいつだけでも倒せば、邪族を召喚されてもウイルスには変化しない。
んで1時間経ったら、そこからプチ邪神とウイルス達を倒して、浄化の錫杖についてる神級魔法『浄化』を使って邪族を何とかすればいいんだろう?
いいぜ!やってやるぜちくしょーー!!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
プチ邪神の魔眼が開いているので、前面に入らないようにしながら、テレポートをしているのだが、ジーフーの野郎がプチ邪神の前からなかなか動かないから、攻撃をする隙が無い。
かと言って、プチ邪神の魔眼の前に晒されるのはやめた方がいいだろう。次のバッドステータスがテレポート使用不可になったらそれだけで詰む。
プチ邪神は、また魔眼をかけたいのか俺をキョロキョロ探しながら辺りを見回している。
そうこうしている間に、プチ邪神の足元が毒々しい沼地に変わっていきそこから邪族が召喚されていく。
プチ邪神の足元にジーフーが移動し、邪族にウイルスを注入する瞬間が勝負なのだが、それを阻止するようにウイルスの中で一番ステータスの高いピエックがプチ邪神の足元で待ち構えている。
くっそ!とは言え時間が経って困るのは俺の方だからやるしかないか……。
俺は覚悟を決め、プチ邪神の魔眼の範囲に入らない程度、上空側でプチ邪神の意識を向ける。何度もパッ、パッ、パッ、とテレポートで移動しながら魔眼の視界に入らないようにする。
すると、ジーフーが足元へブーンと向って行った!
剣気の剣を鞘から抜き放ち……そして、
パっとテレポートした先に居るジーフー!その体めがけてテレポートの前から振り下ろしていた剣が当たる間際、プチ邪神の『咆哮』が響く!!
「キギェィェィェィェゥヨウ!!!!!」
甲高い不協和音が大音量で鳴り響く!その咆哮によって一瞬体が硬直する!その一瞬の隙に生まれるフレアジャックス!フレアジャックスが2体になったせいでウイルス達のステータスの+の値が3626さになる!
さすがに地上付近はまずい思い、すぐさま緊急脱出テレポートを行い空中に移動する。
自分が居た所を確認すると、ピエックが跳びかかっていたらしく、そのままズザーっと地面を滑った後、方向転換をしてこちらに能面を向けてくる。
あと少し遅れていたらピエックに捕まっていた可能性があった。さすがにステータスの数値が運以外オール8070までくると動き早いな……!
ジーフーがもう一体生まれるよりかはましだったけど、フレアジャックスが増えるのも結構きつい。幸い、シリーボップとピエックが空飛べないようだから、テレポートで上空に逃げていれば今のところ問題はないが。
またさっきと同じ状況だになった。
ジーフーが下に行くまでテレポートでプチ邪神の気を引きつつ、隙を伺うかたちだ。
まあ正確に言うと、フレアジャックスが増えた分、そのステータスが強化されたジーフーを追わなければならいし、ピエックを掻い潜らないといけない訳だが。
そんなことを考えていると、急激に体の動きが遅くなる。
俺の生命線『神の加護』が切れた。
まずい!と思った俺はそれを誤魔化す様に、テレポートの頻度を上げる。
しかし、それを嘲笑うかのように、プチ邪神が咆哮を上げる!
「キギェィェィェィェゥヨウ!!!!!」
「ッツ!?」
体の硬直がさっきの比じゃない!?ちょ、ちょっとこれは……!?
体が硬直しテレポートが発動しない。そのまま重力に逆らえず15階ぐらいの高さから自由落下が始まる。
くそっ!テレポート!テレポートテレポーーート!!
間一髪、地面に当たる直前でテレポートが発動した!ただ急ぎ過ぎていたため、座標が指定が甘かったらしい。
俺の落下地点に向け、プチ邪神の口が開き真っ赤な光がぴかっと光り『波動砲』が発射されていた。座標の指定が甘かった俺は、その落下地点付近に居たらしく、直撃は免れたが、ズッドンッッンっ!!という衝撃を受け、その衝撃波にふっ飛ばされた。
衝撃波でゴロゴロと転がりながら木の根元に引っ掛かり止まる俺。
「グっ、ゴポガッハッ!っつう、……ああ?」
体中が痛すぎて何も考えられない、少しでも動くと激痛が走り、今にも気絶しそうだ。
そんな俺に向けて、プチ邪神がズドーンズドーンと足音を響かせながらこちらへ近づいて来る。そして口を開け、また『波動砲』を放とうとしている。
「て、てれぽ」
朦朧とする意識の中、なんとかこの場から離れようと、テレポートを発動しようとする。
……しかしプチ邪神の『波動砲』の方が早そうだ。
あきらめと後悔が胸に充満する。
その雰囲気を察したのか、プチ邪神が口を開けたままニヤッと笑う。
しかし、プチ邪神の『波動砲』が口から出る瞬間、高速で飛来した火の玉が、『波動砲』のエネルギーとぶつかり、プチ邪神の顔面で大爆発を起こした。




