第73話 VSアトモス王国軍!パートⅠ
すみません!仕事が……というより、転職して、それが大分落ち着きましたので、ちょこちょこと更新していきたいと思っております!
ウラヌス教総本山のある都市ロムルス。そこは聖女が”神の審判”の刑に処されてから、その運命が変わったように、魔王、勇者、女神教率いるロムルス軍など、次々に問題がやって来た。
普通であれば、そんなところに住んでいる者はその不幸を呪い、自身の運の無さに嘆いたことだろう。
しかし、現在の都市ロムルス――もといウラヌス教徒等は、”神”の出現に湧いていた。
実際、ウラヌス教の信徒達からすれば、ゴージャス元大司教らの企みから聖女サーシャを助け、魔王の襲来を一瞬で解決……もとい魔王を子分にした”神”に縋る気持ちは仕方のない事であろう。
何故なら”神”が都市ロムルスに現れなければ、成す術もなく『女神教』に消されていたのだから。
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「トオルー!準備万端にゃ!」
装備を整えたネオンが俺のところにやって来た。
「よし。じゃあとりあえず、女神の眷属がどれぐらいいるのか確認してきますか」
俺の神の目だけでは眷属たちの偽装を破るのは難しい。ドーワーフ領を襲撃したエグゼバグの偽装を看破するのに、『三重のイヤリング』の効果である並列思考を駆使してやっとその偽装を看破できた。
その点、ネオンはエグゼバグの事を感知する事が出来ていた。なので、大体の数と位置をネオンに確認してもらった後、俺の神の目で詳細を確認しようと思っている。
ネオンを連れてアトモス王国軍が見える空――視認可能な高度にテレポートし、そこから落下とテレポートを繰り返しながら確認しようと思っている。空と言う意識外の場所と距離があれば発見されないだろう。
……されないよね?
「神崎さん、無理はしないで下さいね?」
「徹様、私に命令していただければ人族を皆殺しにして、女神とか名乗る者達をあぶりだせますが?」
はい!刃鬼アウト―!
ていうか怖いから皆殺しとかやめて!
「まあ、刃鬼には後でアトモス王国軍と相対してもらうから、とりあえず今は待機ね」
アトモス王国方面からやって来たアトモス軍は、都市ロムルスとの街道沿いに布陣を敷き始めている。使者が伝えてきたタイムリミットまで、後1時間といったところだ。
それに対しウラヌス教は、都市部を捨てクリュチェフスカヤ山にあるウラヌス教総本山に、住民を避難させつつ防衛の準備を進めている。
もともと都市ロムルスは、襲撃に強い街ではない。ウラヌス教の教徒達はそれなりに戦えるが、都市の機構として襲撃を想定した造りではないのだ。
そもそも『聖女』のおかげで魔王や魔物の類が近づけない仕様だった。それに、ウラヌス教に敵対する人族の国というものが無く……というより人族の国々とウラヌス教は相互に援助を行いながら発展してきたのだ。
その為、ウラヌス教徒が作ってきた街である都市ロムルスは、いわゆる城壁というものが無く、簡単に出入りできるのだ。まあ……ウラヌス教が出来た経緯や、その精神を考えると、城壁を造り入国審査を厳しくするという考えはウラヌス教にはそぐわなかったのだろう。
とはいえ、現状攻められようとしているのだから、これからはそういった事も考えなければならないのかもしれないが。
まあそこは、ミネルヴァさんやクリーン大司教、ルイス司教聖枢機卿に頑張ってもらうとして……俺達はこの騒動を何とかしないとね!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「にゃはははははは!!」
「おいネオン!あんまりはしゃぐな!偵察でバレたら意味ないだろ!?」
神モードになった俺は、ネオンを小脇に抱え、テレポートで空の散歩をしていた。
もちろんだが、いくら空からとは言え正面から偵察はしていない。
最初は後方からとも思ったが、女神の眷属達が、神である俺や魔王である刃鬼を警戒していたら、なんか後方とか罠がありそうだから、横から……もとい西側の丘上空から偵察をしていた。
「ネオン、嫌な空気の奴はいるか?」
「……居るにゃ。あの辺りに固まって居るにゃ!」
サーシャと違ってテレポート酔いをしないネオンは、アトモス王国軍の前方を指さす。
俺から見て、右にアトモス王国軍・左に都市ロムルスがあるのだが、その指されたアトモス王国軍を見てみると、ステータスが異常に高いやつらがいた。
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名前 オウラ
種族 吸血鬼
役割 女神の加護・尖兵(邪神の加護)
職種 兵士
位階 26
筋力 391+3500
体力 404+3500
精神 199+1000
知力 159+1000
魔力 278+1000
器用 189+3000
運 29
特技 槍術6 水魔法4
種族スキル 日光ダメージ
特殊スキル 日光無効(女神の加護)
まだ若い男の吸血鬼で、見た目はほぼ人族と変わらない。
始祖であるミュッヘル・スタンリード・ルミオラに血を吸われ吸血鬼化した元人族。
もともとメギド王国の兵士だったが、2カ月ほど前の魔王の侵攻を抑えようと戦地に行った結果、自分以外の部隊全員を殺された。
その怒りから、魔王を殺せるという話に乗り、吸血鬼化させられた。
吸血鬼になった事で、人族だった頃よりステータスは上がっているが、成りたての為吸血鬼の特技はまだ使えない。そのため、
現在は『女神』の命により、魔王がいた場合の抑えとしてアトモス王国軍に従軍している。
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名前 センス
種族 吸血鬼
役割 女神の加護・尖兵(邪神の加護)
職種 兵士
位階 23
筋力 327+3500
体力 462+3500
精神 178+1000
知力 109+1000
魔力 229+1000
器用 189+2000
運 32
特技 剣術6 火魔法3 水魔法3
種族スキル 日光ダメージ
特殊スキル 日光無効(女神の加護)
男の吸血鬼で、見た目はほぼ人族と変わらない。
始祖であるミュッヘル・スタンリード・ルミオラに血を吸われ吸血鬼化した元人族。
もともとメギド王国の兵士だったが、魔王軍との戦いにより心が壊れた。何かにすがろうと女神教に入信し、そのまま女神教に心酔した結果、吸血鬼化させられた。
吸血鬼になった事で、人族だった頃よりステータスは上がっているが、成りたての為吸血鬼の特技はまだ使えない。
現在は『女神』の命により、魔王がいた場合の抑えとしてアトモス王国軍に従軍している。
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名前 エミュット
種族 吸血鬼
役割 女神の加護・尖兵(邪神の加護)
職種 魔法士
位階 23
筋力 128+1000
体力 101+1000
精神 145+3000
知力 521+3000
魔力 444+3000
器用 438+1000
運 24
特技 土魔法6 火魔法5
種族スキル 日光ダメージ
特殊スキル 日光無効(女神の加護)
まだ若い男の吸血鬼で、見た目はほぼ人族と変わらない。
始祖であるミュッヘル・スタンリード・ルミオラに血を吸われ吸血鬼化した元人族。
もともとメギド王国の兵士だったが、2カ月ほど前、魔王の侵攻を抑えようと戦地に行った結果、右足と左腕を無くした。
女神教の奇跡(吸血鬼化)によりまた不自由のない生活を送れるようになった。
吸血鬼になった事で、人族だった頃よりステータスは上がっているが、吸血鬼に成りたての為、吸血鬼の特技はまだ使えない。
現在は『女神』の命により、魔王がいた場合の抑えとしてアトモス王国軍に従軍している。
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こんな奴らが10人程いた。
全員吸血鬼……ね。そういえば、ゲーム『アルカディア』やってた時、吸血鬼関係のイベントってなかったな。敵として出てきた事とかあったっけな?よく覚えてないな……。
それにしても、三重のイヤリングの効果である『並列思考』を、神の目に集中させてもあそこにいる吸血鬼たちのステータスはほとんど変わらなかった。
唯一変わったのが『女神の加護』の部分で、本来は『邪神の加護』だったらしい。
邪神の加護と女神の加護の違いはよく分からないが、エグゼバグは、確か『女神』が創ったとか何とか書いてあった。しかしこいつらには、そんな表記は無かった。吸血鬼にただ『邪神の加護』を付けただっけっぽい。……捨て駒の様な感じなのだろうか?
まあ――偵察の意味はあっただろう。
さて戻るとしますか!
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「おかえりなさい神崎さん」
いつもの作戦部屋――もとい俺らがお世話になっている、ウラヌス教総本山の客室の一室である男部屋に、神崎パーティーとミネルヴァさん、それと悠真とお姫様が出迎えてくれた。
「どうでした徹様?」
と、食堂で鬼化した状態の刃鬼が、その独特な目でこちらを見ながら聞いてきた。
俺は、神モードの装備をいつもの格好へと換装しながら、皆に向け言葉を発する。
「吸血鬼の『女神の加護』もちが10人ぐらいいたね……。ただ、見た感じそんなに強く無かったな。刃鬼なら一人でも対処出来そうだね。一対一なら悠真やネオン、サーシャとゴドフでも対処可能だと思うよ」
「で、やつらの目的は一体何なんじゃ?」
ゴドフが自慢の髭を撫でながら聞いてくる。
「それがイマイチわからないんだよねー。戦力的に言えば、悠真一人を倒しに来たぐらいの戦力だと思うんだけど、『神の目』の情報だと魔王がいる事も想定している……。ただ、それ以外の事は出てこなかったんだよなー」
「徹様、『女神の加護』もちは”吸血鬼”なんですわよね?――つまり女神は『魔王』がいる可能性と、いた場合の対処として”人族”以外の種族を寄こしたという事ですよね?」
俺は、刃鬼のその言葉に頷く。
まあ……”女神”がメアなら、それぐらいの事はしてくるだろう。問題は、”何が目的なのか?”だ。
以前、商業都市アルスメットを襲ったゴブリン達……その時は、ゴブリンジェネラルの事もステータスに記載された。
しかし、今回の『女神の加護』もちの吸血鬼からも、エグゼバグが操っていたワイバーンなどからも、その裏に居る奴らの事は詳しく分からなかった。
この事から考えるに、俺の持っている神の目では、ある一定の以上の”力”を持ってるやつには効かないのだろう。
「ではやはり、徹様の排除が一番の目的でしょうか。女神にとって一番邪魔なのは徹様でしょうから……正直、女神にとって『勇者』はいつでも殺れる存在だと思いますわ。徹様を排除した後、適当にやっても問題ないと思っているでしょう」
「えっ?!」
悠真が悲しそうな顔をしながら声を上げた。そして、その悠真をよしよしという感じでお姫さんが慰めていた。
……うらやまけしからん!
「やっぱりそうだよね~」
ハア……。
あんなに命を狙われたくないと思いながら、行動していたのに、結局狙われるんだもんなぁ。
一体俺が何をしたというんだい!
少しその憂鬱な顔が出ていたのか、ネオンがぴょこんとベッドから降りて、
「大丈夫にゃ!私がトオルを守るにゃ!」
と、腕を組みながら胸を反らしていた。
「そうですよ。神崎さんの事は私たちが守りますから」
と、サーシャも近づきながらそう言ってくれた。
「ふむ、それもそうじゃな。結局のところ、女神を何とかしないといけない訳じゃからな。返り討ちにすれば問題ないじゃろ!」
ガハハハハと笑いながら、俺の背中をバシバシと叩いてくるゴドフ。
痛いよ!
もう『神の加護』切れてるから手加減して!
「戦闘ではおませ下さい」
凛とした空気を纏いながらそう伝えてくる刃鬼。
――ふぅ。
俺の陰鬱な気分が一瞬で晴れた。
……ったく、やってやろうじゃねーか!




