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第69話 ウラヌス教の行く末


 俺とゴドフの相部屋に、合計10人もの人が集まった。


 俺達神崎パーティーの5人と、勇者一行の3人、そしてウラヌス教の2人であるクリーン大司教とミネルヴァさんである。


「なるほど、メギド王国、アトモス王国、帝国の三国が女神教を国教とする旨を、公示したんですね?んで、ウラヌス教はどうするのか?という事を各国の使者が聞きに来ていると」


「ええそうです。簡単に回答できないから、待ってくれと言っているんですが、早くしろとせっついて来まして」


「脅しや脅迫めいたことは?」


「そうですね……。直接危害を加えるとは言ってきませんが、商業都市群もすぐに女神教が席巻するぞ。という事は言われましたね」


 なるほど、つまり女神教にしなければ、貿易も出来なくなる可能性もあり、さらに、武力的な事が起きる可能性もあるぞ、という脅しな訳だ。


「神崎さんどうします?」


 サーシャが頃合いを見て、そう切り出す。

 俺の行動の如何によっては、ウラヌス教の今後が決まるといっても過言ではない。


 室内にいる俺を除いた全員に、注目を浴びる。


「ここからは予想ですが」


 ほぼほぼ合っているとは思うのだが、一応予測という事で俺の考えを述べる。


「アトモス王国の王様が殺され、その体を乗っ取られているらしいんですが……。他の国もその可能背が高い。王様やその側近、貴族等が女神教の手に落ちれば、女神側は国を操る事が出来ますよね?」


 その集団における、権力の強いものさえ落としてしまえば、その集団を操る事はそう難しい事ではない。


「商業都市群が、まだ女神教に落とされていないのは、そもそも街を統治、運営をしている人達が多いのと、権力が一極集中型では無く分散型だから簡単にいかないのでしょう」


 商業都市”群”であるから一つの都市を抑えた所で意味がない。最低限、権力というか発言力というか、そういった力を過半数は占めて、初めて手中に収めたと言えるのではないだろうか。


「正直、女神教が何をしたいのかは分かりませんが、多分人族にとっても、他の種族にとっても良いことではないと思います。……普通に考えて、その国のトップを殺しその体を操り、自分達の意見を通すやり方がいい訳がない」


 まあ、アトモス王国以外のトップが殺されていると言うのは、俺の予想なんだが。そうでなくても、そんな集団と行動を共にする奴等がまともだとは思わないが。


「つまり神崎さんの予想だと、女神教を表明した国々の王は、すでに殺されていて、国を女神教に乗っ取られている可能性が高い、とみている訳ですね?」


 クリーン大司教が、俺の言いたい事を汲んで捕捉してくれた。


「そうです」


と俺は大きく頷いた。 


「そうですね、その可能性が一番高いですよね。でなければ一度に三ヵ国も、その方針を同じものに変える事なんてあり得ないですからね。それなら商業都市群がまだ、女神教ではない事にも説明が付きますし」


 サーシャも同意してくれた。

 

「それにアレじゃな。ドワーフ領のミッドガルを襲った奴等も、女神教の一員じゃったのう」


 その事を思い返しているのか、ゴドフから剣呑な雰囲気が出ている。


「……と言う訳で、俺は女神教に与する事は反対です。すぐにウラヌス教は商業都市群と連絡を取り同盟を組む事、最低でも、貿易を継続して行う事を取り交わすべきでしょう」


 神崎パーティーはいつもの感じで、勇者一行は固唾を飲んで見守り、ウラヌス教の2人は考え込んでいた。


 そして、クリーン大司教が口を開く。


「つまり神崎さんは、今までと違いウラヌス教の後ろ盾として考えても良いのでしょうか?」


「はい、それで構わないですよ。ぶっちゃけて言えば、人族が全て敵になるのは避けたいのと、最悪、ウラヌス教だけでも残れば、人族は滅びませんしね」


 するとそれを聞いたクリーン大司教が、少し残念そうに、


「あれ……ですね。別にウラヌス教が大切とかそう言う訳ではないんですね」


「まあ、個人個人としては、幸せになってもらいたい人は多いですが、宗教とか興味無いですし」


 その発言を聞いて、横にいるサーシャが額を抑えながらため息をついた。


「神崎さん。それは貴方らしいのですが、ここで言わなくても良いんじゃ無いんですか?」


 とジト目をいただきながら言われてしまった。

 てへぺろ。


 

 そうだ。

 ここまできたら、女神が誰なのか?

 俺の中にある、予想も伝えとかないとな。


「それともう一つ。こっちからも言わなければならないことがありました。それを聞いて、ウラヌス教がどうするか決めてください」




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「えっと、つまり女神教における女神とは、この世界の神である可能性が高く、その神は神崎さんの半身と言うわけですか?」


「半身……と言うより、元々この世界の神が二人いて、役割分担していたんですよ。あっちはシステム構築やその管理、俺はその構築されたシステムを使って、この世界を良くしようと導く、という役割に分かれていたんですよ」


 まあと言っても、ゲーム上でのシステム管理をしていただけで、別にそのシステムを一から作っていた訳ではないが。

 

 作ったのはゲーム会社だよね。


「んでこの世界に召喚された時、俺は最初、どこに連れてこられたのか分かっていなかったんですよ。まさか自分が運営していた(プレイデータ)世界に、召喚されているなんて思ってもいませんでしたから」


 未だにこの世界が”どういった世界”なのかは理解していないんだけども。


「だからすっかり忘れていたんですよね、メアのこと。思い出したのも、ドワーフ領のミッドガルで女神の手下と戦った時ですし。」


 エグゼバグの、隠されたステータスを見て、初めて女神なるものが存在していると理解した。


「まあそんなわけで、……女神とは、この世界のシステムを管理していたメアでないか、と俺は踏んでいます。なので、どちらが正しいのかわからないんですよ。だからウラヌス教も悠真達も、それとサーシャ、ネオン、ゴドフ、刃鬼も自分達の道は自分で決めてくれる?俺と一緒に行くという事は、ある意味本物の神と対立する事だから」


 俺としては、みんなについて来てもらいたい。

 でも、人の人生を勝手に決めるのは良くないし、この世界にとっては、もしかしたら女神である”メア”の方が正しいのかもしれない。


 今まで神崎パーティーは、なし崩し的に仲間になっていた感もあるし、ここでちゃんと考えるのもありだろう。


 しかし、ほぼノータイムで、


「じゃあ私は神崎さんについて行きます」


「トオルについて行くにゃ!」


「ふむ、悩む意味がないのう。徹の装備の面倒はワシが見ると決めたからな」


「愚問ですね。私の忠誠は見た事の無い神では無く、すでに貴方様に捧げております」


 順に即答された。

 いやもっと考えて?

 俺は割と、決断して話しているのに!


「……いやまあ、即答でそう言われるのは、非常にありがたいんだけど、君たちもう少し考えたら?」


 結構大事な場面だと思うんだけど、そんな簡単に決めて良いのだろうか?

 マジもんの、人生の分かれ道だよ!


 すると神崎パーティーは口々に、意味がないですねとか、ご飯!だとか今更じゃな。とか無意味ですねと言う答えが返って来た。


 若干名、ただ、今の気持ちを答えていたが、みんなの気持ちは理解した。

 俺もお前らを守れるよう、腹をくくるよ。


 皆と敵対しなくて済む安堵と、若干の呆れと、それらを凌駕する嬉しい気持ちを隠しながら俺は答える。


「分かったよ」


 神崎パーティーに流れる心地よい雰囲気を感じながら、残りの人達にも尋ねる。


「と言うわけで、俺達の方は決まりましたが、貴方達はどうしますか?」


 残った勇者一行とウラヌス教の2人に問いかける。


 沈黙が流れる中、一番に声を上げたのはアトモス王国第3王女ミレイユだった。


「私たちは、すでに女神教と敵対しているので、神崎さん側についてその集団の庇護を貰うか、悠真の武力を当てにして個人で逃げるかの二択ですからね。最初から答えは決まっています。仮に、ウラヌス教が女神側についても、私たちは生き残る可能性が高い神崎さん側に付かさせて頂きます」


「そうですね。僕達には選べる権利なんて無いですね。むしろ頑張って働くんで、神崎さん守ってください!」


「いや、お前は勇者だろーが、守る側に立てよ。最低限、姫さんはお前の手で守れるようにしなよ」


 そう言うと悠真は、目をしばたかせ、


「はい!」


 と、年相応の良い笑顔で大きく頷いた。

 司教聖枢機卿は、悠真とミレイユの今後がある程度安全になった事を感じ、安堵した表情で一息ついていた。


 最後に、クリーン大司教がお茶を飲み口を開く。


「我々ウラヌス教も神崎さんの庇護を求めます」


 ウラヌス教の根本を揺るがす事態だというのに、クリーン大司教は、割と簡単に答えた。


「え?そんな簡単に決めていいんですか?」


 クリーン大司教とミネルヴァさんが視線を合し頷き合う、


「まあ簡単な事ではないんですが、別に問題ないですよ。都市ロムルスにあるウラヌス教は、主神である神崎さんの意向を汲んだ宗教としてこのまま行きます。ただし、今起きている事を、信者や信徒に包み隠さず伝え、自分で考えてもらい、ウラヌス教に残るもよし、女神教に鞍替えする人が出てもよし、という感じで行きます」


 もちろん改宗してもお咎めとかは無いです。とクリーン大司教は最後に付け加えた。


 確かにそれなら問題ないか。

 自分で選んだ道なら、俺が責任を負う必要は無いよね!


 ……無いよね?

 

 うわーなんか、胃が痛くなってきた。


「では、我々は各国の使者に、ウラヌス教は”主神”の教えを守ると、お伝えしてきます」


 クリーン大司教とミネルヴァさんが立ち上がる。


「サーシャとネオンは二人の護衛をして。ローブかなんか被って正体は隠しながらね」


「わかりました」


「任せるにゃ!」


 サーシャはスッと立ち、ネオンはシャドーボクシングで拳を繰り出す。


 二人は、ウラヌス教の要と言っても過言ではない。

 女神教が本気でウラヌス教を狙う場合、間違いなく二人が狙われる。


 使者を追い返した後も、警戒が必要だな。


 あ!そういえば。


「そうだ、クリーン大司教」


 扉の前まで足を進めていたクリーン大司教が振り返る。

 俺は司教聖枢機卿を見ながら、


「枢機卿の身柄は、俺持ちっていう事でいいですか?それと”神”が勇者を召喚するために、枢機卿にお告げを出していた、という事にしてもらいたいのですが……」


 クリーン大司教は少し考え、


「”神”がお告げを出していたならしょうがないですね」


 と笑いながら承諾してくれた。


 そして「では。」と言いながら4人は部屋を後にした。


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