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第41話 ミッドガル攻防戦6


 ベヒモスの前足による蹴りで、吹き飛ばされるゴドフ。

 当たる直前に盾で受けながら、後方に自分で吹っ飛んで行った。


 そこに走って向ってきた影が、


「ゴドフさん!すぐに神の加護をかけます!」


「ん?おう嬢ちゃん達じゃねーか!……すまんな、わし一人じゃこのデカブツを倒すのに、時間と甚大な被害を出すところじゃったわい!」


 ガハハハハと笑い飛ばすゴドフに、すぐさま神の加護をかけるサーシャ。


「これで私の魔力も、ほぼ底をつきました」


「任せとけ!ふむ!ほぼ倍のステータスになったからには、このデカブツはミンチにしてくれるわい!」


 落とし穴の中に入り、足を狙うゴドフ。


「ネオン!後矢は何本?」


「9本にゃ!」


「ならまず、ベヒモスの目を狙って!」


「了解にゃ!」


 ゴドフを踏みつぶそうと、暴れるベヒモス。

 そこへ、吸い込まれるかのように、ベヒモスの右目に矢が刺さる!


「ブッヒィ―――――――!!!!」


 激痛にのたうち回りながら、残った左目で周りを見渡し、誰が射ったのか理解したベヒモスが、落とし穴を登りネオンを踏みつぶそうと、登り始めたその時、


「ワシを無視するとは、良い度胸じゃーー!!」


 前足が落とし穴の淵にかかっていたため、ベヒモスの体重が乗っていた後ろ足……その右足の膝辺りに、フルスイングで鎚を叩きこむ!


「ブッヒィ?!」


 ボギィ!という鈍い音と共に、沈むベヒモス。

 その巨体に押しつぶされない様、退避するゴドフ。

 そして、その残った右目にも吸い込まれる矢。


「ブ、ブヒィ……!」


 と情けなく鳴き、後ろの右足を庇いながら何とか立つベヒモス。

 今まで生きてきた中で、これほどのダメージを追った事が無いからか、落とし穴の中で興奮し暴れる。


 ドスンドスンと穴の中で、右後ろ脚を庇いながらむやみやたらに、踏みつけまくるベヒモス。

 そこに、


「ワシはここじゃ―――!!」


 と、いつの間にか落とし穴から登ってきたゴドフが大きな声で叫ぶ。

 それに、反応するベヒモス。

 足を折られるは、鎧を砕かれるはで、並々ならぬ怒りをゴドフに対し募らせるベヒモス。


 そのまま、残った三本の足で突っ込んで来るが、落とし穴の壁にぶつかり動きが止まる。

 そこに落とし穴の淵から、ジャンピングスマッシュで大槌を振るうゴドフ!


「おりゃあ!!」


 ズガァッン!!

 という音とともに円錐状の大槌が、ベヒモスの頭部の鎧を砕き、頭蓋骨に穴を開け頭に突き刺さる!

 ブヒと一鳴きし、そのまま地に伏せるベヒモス。


「ふー……。やっと倒したわい!」


「うおおおおお!!」

「ゴドフ!ゴドフ!」

「よっしゃーーー!」


 そこかしこで湧き上がる歓声、しかしゴドフは、


「まだじゃ!邪族とコボルトを殲滅せんと、結局ミッドガルは滅びるぞい!」


 そしてベヒモスを倒した落とし穴から出てくるゴドフ。

 そこから見る光景は、まだ予断を許さない状況であった。


 とそこへ、すぐ近くを何かが飛んで来て、近くの酒場の壁をぶち破り突っ込んで行った。


「一体なんじゃ?」


 すると、メタリックの人形っぽい何かが、こちらに向かって来た。

 すぐさま鑑定を行うゴドフ。

 そして、そのステータスに驚愕する。


 こちらに向かって近づく人形、ゴドフでさえ、その異常なステータスを前に死を意識する。

 しかし、それに向かって酒場から黒いモヤの人型の何かが突っ込んで行った。


 そのままギィン!ギィン!と甲高い音を立てながら、切り結ぶ二つの化け物。

 それを呆けながら見るゴドフ、そこでふとある事に気が付く。


 「あ、あれは……?!」


 近くのドワーフ兵がゴトフに話しかける。


「す、すごいですね、あの化け物同士討ち合ってくれると良いですけど」


「バカモンが!お前はあの装備に見覚えは無いのか!あれは、いやあのお方は……!」


 話しかけたドワーフ兵以外も、黒いモヤの装備を眺める。

 確かにどこかで見た気がする。

 とその場にいたドワーフ達が感じた。


 そしてポツリと、声を震るわせねながら一言漏らすドワーフ兵。


「あれ?あの錫杖、神の間に奉納された錫杖じゃ……?」


 それを聞いたドワーフ達が、どんどん騒ぎ始める、


「おい!あれ隠匿のローブじゃないのか?!」

「じゃ、じゃあ、あれは剣鬼か!」

「お、おい、じゃあアレは……。い、いやあのお方は!」

「え!?あれ神様用の武具……って事は!!」


 ドワーフ達に走る衝撃。

 そこから徐々に、歓声へと変わっていく。


「あ、ああ!」

「神が俺らの為に戦って下さっている」

「神だ……!」

「ああ神よ」

「ウオーーー!」

「神ーーー!」

「やるぞーー!!」


 どんどん声は大きくなり、いつの間にかミッドガル全体から、地を響くようなドオオオオオオオと言う歓声と神コールによって満たされていた。




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 神崎とエグゼバグは、ひたすら打ち合っていた。


 くっそ!硬すぎだろ!

 その装甲は何で出来てるんだよ!


 先程から、左手で持った剣鬼で切りつけても少し切り傷が出来るだけ、右手で持った錫杖で殴っても少し凹むだけ。


 いやまあ少しは効いているから、このまま行けばいつかは倒せるのだろうけれど、神の加護の残数が残り少ないので、持久戦になるとこちらの方が不利だな。


 戦闘自体は楽しくなってきた。


 俺らの戦いを、近くのドワーフやサーシャ、ネオンなどが見ていても、視認するのが難しい程のハイスピードバトルを展開していた。


 知力が10000を超え、器用も7000を超える現状、エグゼバグのただ速い攻撃は、良い練習になっていた。

 

 確かに、相手の方が筋力も体力も高いため、速さや一撃の重さには負けるのだが、相手がただの反応で殴ってきている中、こっちは、その攻撃に対してどうすれば良いのか?を常に考えながら戦っている。


 おかげで、どんどん動きが洗練されていくのが分かる。

 効率のいい体捌き、相手の動きを少ない情報から先読みし、その動きに対する対処等、打ち合えば打ち合うほど、技術的な能力が上がっていく。


 エグゼバグの左ストレートを、右によけながら錫杖で頭を狙う、それを頭を前に倒しながら避けるエグゼバグ。

 そこに左手に持った剣鬼を相手の左手を叩き切るように振るう!


 ギィィィィン!という高い音させながら、エグゼバグが体勢を崩す、そこにすかさず右手にある錫杖をフルスイングする。


 さっきからこんな感じで、エグゼバグの攻撃を避けたり、錫杖や剣で受けながら反撃を繰り返しているのだが、いかんせん硬い!


 いわゆる決め手に欠けるというのであろうか。

 いやまあ、魔法ぶっぱすれば倒せると思うのだが、今ちょっと楽しいし。

 何てことを考えていたら、エグゼバグの突進を真正面から受けてしまった!


「ゴフッ!ぐぅ……?!」


 吹っ飛ばされる俺、邪族やコボルトを巻き込みながら、ベヒモスが空けた穴に吸い込まれてミッドガル市街に入っていく。


 突進の衝撃が苦しくて気が付いた時には、建物のすぐそばまで吹っ飛ばされていた。


 くっ!テレぽ、間に合わない!


 ズンッッンン!!


 という地響きと共に一つの建物に突っ込む。

 壁をぶち破り、椅子やカウンターを突き抜け、反対側の壁に叩き付けられる。

 ギリギリ神聖魔法バリアで体を覆い守ったが無傷ではすまなかった。


「いっつ~……。体は、っと。背中が打撲、腹は苦しかっただけか。ん?ここ酒場か……弁償はしなくても大丈夫だよね?」


 椅子やカウンターをぶち壊したせいで、修理するまで営業は出来そうになかった。


 今のは反省だな。

 命の取り合いの中で、気を緩め過ぎた。

 それに、神の加護も今かけなおしたが、これで後一回分しかない。

 ここで決めなきゃな……さて、行くか!!


 酒場から飛び出すと、出てくるのを待っていたエグゼバグがいた。

 すぐさま打ち合いになる。


 ギィン、ギィンという高い音が辺りに響く。


 とりあえず、魔法で倒すにしてもここじゃまずいから、ミッドガルの外に出さないとなと考えていると。


「神!神!神!」

「神様!」

「神が俺らの為に戦って下さっている」

「神だ……!」

「ああ神よ。」

「ウオーーー!」

「神ーーー!」

「神!!」


 と、ミッドガル全体からすごい大歓声を受けている。

 いやお前ら、邪族とコボルト侵入してきているぞ!


 突っ込みをしながら、エグゼバグを注意していると、こちらを見ながら一言。


「――神……把握。現状ヲ認識」

====================

名前  エグゼバグ

種族  ウイルス

役割  邪神の加護・尖兵

存在  侵すモノ

位階  97

筋力  9000

体力  9000

精神  9000

知力  1000

魔力  0

器用  3000

不運  12 


もともとは女神に生み出され、この世界の穢れた動物に注入されたウイルス。

本来の姿、ただただ与えられたミッションをこなす。

現在、神崎抹殺が全ての事柄より優先事項。

女神の存在を脅かす神を発見。

対象を抹殺する方法見つからず……。

対象抹殺の方法を、全エネルギーを使って自爆をすることに切り替える。

後10秒・・・

====================


 ふむ、やっと諦めたかっておい!


 くそ!もう手札とか言ってる場合じゃない!

 ていうかドワーフの所為で、エグゼバグに神モードの姿が神ってバレちゃったじゃん!

 いやまあ、神モードの姿だからバレていいのか……。


 座票の腕輪の効果で、自身から半径300メートル内に居るエグゼバグを、テレポートで空中に一緒に飛ぶ!


 ミッドガルから斜め45度位の角度で、パッパッパッパッパッパと何度もテレポートを行い、気が付けば雲が周りにある当たりまでテレポートで飛んでこれた。

 

 そしてエグゼバグを神の目で確認すると後3秒と出ている!


 すぐさま、アイテムボックス内全部の水魔法を使い、エグゼバグを中心に球体になるよう、圧縮して大量の水を出す。

 そしてそれを覆うように、アイテムボックス内に残っている神聖魔法バリアで覆う。 


 と同時に、1秒から0秒へ……。


 ズン……ドオオオオオンンンン!!


 と空らから激しい爆発音がミッドガルまで響いた。

 水の密度が高かったから、自爆と言ってもたいした事なかったな。


 と、ミッドガルの城壁上からその爆発を眺めていた。


 さて……と、もう一仕事しますかね!

 少しでも浄化できれば、残党処理も楽になるだろうと、浄化の錫杖の能力である、神級魔法浄化を使う。


「神級魔法、浄化発動!」


 体が初めて感じる感覚……。エネルギーを吸われるというか、消えていく感じというか。

 これが魔力消費かな?

 なんか頭がくらくらするし、気持ち悪い……。


 自分の事を神の目で確認すると、魔力が5000減っていた。


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