8 いいのかわるいのか
そしてテスト当日。2人はいつになくやる気に満ち溢れていた。
もしかすると、自分たちの作った問題が大騒動を巻き起こすのかもしれない、そんなワクワクでいっぱいだった。
一時間目は数学のテストであった。
先生の「はじめ」の合図で生徒たちが裏返しになった問題用紙をめくり、一斉にペンを動かし始める。
「(案の定、ギルベルト先生はこの辺りの問題を出してきたわね。………あっ、こっちの問題に関してはヤマが外れたわ…。)」
体感としては7割五分程度の的中率であった。まっさらなところから問題を予想したことを考えると、
なかなか健闘したと言ってよいだろう。
他の教科も同じ程度の手ごたえを感じ、エマとノアは満足していた。
そしていよいよ、5限目が最後の理学のテストである。
エマは、テストが始まって問題を見た瞬間、驚きのあまり声が出そうになってしまった。
というのも、不自然なほどにエマたちの作った問題を避けるようにしてテストがつくられていたのだ。
「(おかしい、マーチス先生なら遺伝子の分野は絶対出すと思ったのに)」
テストは無事終わったが、最後の最後で完全に予想を外したことでエマとノアの気分は晴れなかった。
数日後。
今日はいよいよテストの結果が分かる日である。学年のうち上位20名は廊下の掲示板に張り出されることになっていた。
「ノア、見た?私二位だったわ!!」
「やるじゃないか、エマ!僕は7位だった。言語学がちょっと足を引っ張ったみたいだ」
それから二人はリリアーナの名前を探したがどこにもいなかった。
「おかしいな、あいつの名前がどこにもないぞ」
「生徒会に入るって言っていたから勉強していると思っていたのに……。
でもまあ、私たちの予想問題が功を奏したってことじゃない?」
リリアーナの様子を遠くから伺うと何かをブツブツ呟いていた。
「ありえない、ヒロインの私が、生徒会に入れないなんて。おかしい、なにかあるに決まってる。だって最後のテスト、チュートリアルと問題が違ってた!!」
「(問題が違っていた?リリアーナさんは予めどんな問題が出されるのか知っていたということ?)」
ただ、リリアーナが事前に問題を知っていたという証拠があるわけでもない。疑わしく思いつつも2人は特に何も言わなかった。
それから、後でわかったことだがマーチス先生は試験の一週間前に予想問題が学園に流通していることに気が付いていたという。テストを返却する最初の授業で、マーチス先生が声高に言った。
「いいですか、皆さん。予想問題や過去問に頼って勉強していてはいけません!!
勉強の苦しみを味わってこそ、その先に見える歓びがあるのですよ!!
…………………よって、皆さんが苦しめばいいと思って、先生テストを丸ごと作り直しました!いやーみんな見事に引っかかってくれちゃってさ!!本当、丸つけのとき笑いが止まらなかったもんね!!!」
「(何余計なことをしてくれたんだこの先生……。)」
教室内のほとんどの生徒はこう思っていた。
しかし、マーチス先生のこの加虐趣味がリリアーナの生徒会入り阻止に大きな役割を果たしていたことをエマとノアは全くもって知らないのである。
結局、生徒会のメンバーには一位の生徒と三位の生徒が入ることになった。




