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学生編:貴族学院のダンスパーティーを今年も迎えられました

貴族学院3年生のダンスパーティーです。

「エイリーン、来週は貴族学院のダンスパーティーだね。去年は生徒会の仕事があって、あまり楽しめなかったけれど、今回は目いっぱい楽しもうね。もちろん、僕の側から離れたらダメだよ」



「ええ、今年は目いっぱい楽しみたいわ」


カルロ様ににっこり微笑む。このダンスパーティーが終わると、卒業式までイベントはない。そう考えると、学院生活最後の思い出を作る場所になるのだ。


「エイリーン様、カルロ殿下、ここに居たのね。ねえ、エイリーン様。今年のダンスパーティーの余興、去年没になった“大食い”と“一発芸”をやるのよね。せっかくだから、参加してみましょうよ?」


ニコニコ顔のリリーに誘われた。


「リリー、私そんなにたくさん食べられないし、一発芸も出来ないわ」


さすがに無理だわ。


「え~、せっかくだからいいじゃないですか~」


そう言って頬を膨らますリリー。いくら頼まれても、さすがに無理ね。


「おい、ニッチェル嬢!どう考えても、エイリーンには合わない余興ばかりだろう。そんなに出たいなら、君1人で出ればいいだろう!」


「何よ!私は学院での思い出を作りたいのよ!」


「だったらフェルナンドと出ればいいだろう。とにかく、エイリーンを変な事に巻き込まないでくれ」


カルロ様に怒られて、不貞腐れるリリー。


「仕方ないわ。フェルナンド様、私といっしょ…」


「俺もパス」


まだ言い終わらないうちに断るフェルナンド殿下。


「もう、どうしてよ!」


「そんな変な余興になんて、出られる訳ないだろう!よく考えろ!」


フェルナンド殿下にも怒られて、さらに落ち込むリリー。


「リリー、当日は見て楽しみましょう。見ているだけでもきっと楽しいわ。去年も何だかんだ言って、楽しかったのだから」


「わかりましたわ。せっかくエイリーン様と一緒に出たかったのに…」


ものすごーく不満そうなリリーに見つめられたが、スルーしておいた。



そして迎えたダンスパーティー当日。


「今日もカルロ殿下カラー満載のドレスとアクセサリーですね」


アンナがカルロ様から贈られたドレスとアクセサリーを見て、苦笑いをしている。今回もスカイブルーのドレスに、純金のネックレスとイヤリングだ。


早速アンナ達メイドに準備を整えてもらう。


「ねえアンナ。この格好、去年とあまり変わっていない気がするのだけれど…」


そう、去年も青いドレスに金のネックレスとイヤリングだった。


「そうですわね…でも、デザインが違いますよ。それに、去年の事なんて皆覚えていませんわ」


そうかしら?

意外と覚えていると思うけれど…

でも、せっかくカルロ様がプレゼントしてくれたんだし、文句を言ったら罰が当たるわね。


「さあお嬢様、準備が出来ましたよ。そろそろ殿下もお見えになる頃ですし、玄関まで参りましょう」


アンナにエスコートされ、玄関へと向かった。


「エイリーン、その格好よく似合っているよ。やっぱり君には青と金が似合うね」


ナイスタイミングで我が家にやって来たカルロ様が、私を見つけると飛んできた。


「今回もドレスとアクセサリーを準備してくれて、どうもありがとう」


「どういたしまして!さあエイリーン、早速学院に行こうか」


差し出されたカルロ様の手を取り、2人で馬車に乗り込む。


「エイリーン、学院主催のダンスパーティーは、色々な貴族と踊る事もコンセプトの1つだ。だからきっと、君を目掛けて沢山の害虫共が群がってくるだろう。でも、絶対に応じちゃダメだよ!去年は色々な奴と踊っていたけれど、今回は許さないからね!わかったかい?」


カルロ様、令息たちの事を害虫呼ばわりはいかがなものかと…

でも確かに去年、色々な令息と踊って疲れた記憶があるわ。


「わかりましたわ。でも、エイドリアンやフェルナンド殿下とは踊ってもいいでしょう?」


この2人なら問題ないはずだ。そう思ったのだが…


「ダメだよ!そもそもこの2人と踊ったせいで、害虫共が群がって来たんだ!とにかく今年は、僕以外の男とのダンスは禁止だからね。そうだな、もし破ったら僕の言う事を何でも聞くって言うのはどうだい?」


そう言うと、物凄―く悪い笑顔をするカルロ様。


「…わかりましたわ。殿方とは踊らないようにいたします」


「よしよし、エイリーンは良い子だね」


そう言って頬に口付けをするカルロ様。そうしている間に、学院へと着いた。


「エイリーン、行こうか。さっきの約束忘れないでね」


物凄くご機嫌なカルロ様にエスコートされ、会場へと向かった。



「カルロ・オブ・アレクサンドル殿下、エイリーン・フィーサー様。ご入場です」


このアナウンス、未だになれないのよね。それに、みんなが一斉にこちらを向くし…


ホールの奥まで来ると、リリーとフェルナンド殿下を見つけた。



「エイリーン様、この衣装、カルロ殿下が選んだのでしょう!毎回毎回青いドレスに金のアクセサリーって!カルロ殿下、少しはひねったらどうなのですか?」



呆れ顔のリリー。どうやら去年も青のドレスと金のアクセサリーだった事に気が付いたようだ。



「別にいいだろう!エイリーンは僕のものなんだ。僕のカラーを身につけさせるのが当然だろう。自分だって、赤いドレスを着ているじゃないか!」



「そりゃあもちろん、フェルナンド様の色ですからね」



相変わらず仲良し?なカルロ様とリリーが言い合いをしている間に、パーティーが始まった。


「エイリーン、早速踊ろう」



差し出された手を掴み、2人でホールの真ん中に進んだ。久しぶりに踊るカルロ様とは、相変わらず息がピッタリだ。1曲踊ったところで、今日のメインイベント、余興が始まったので見に行った。



なぜか大食い部門にエイドリアンが出ていた。確かにエイドリアンはよく食べるけれど…


残念ながら優勝は逃したものの、準優勝だったエイドリアン。


「エイドリアン、あなたいつの間にエントリーしたのよ」



準優勝商品を貰って戻って来たエイドリアンに声を掛けた。


「メルシアが出ろってうるさくてさ」



そう言って恥ずかしそうに笑ったエイドリアン。もう、メルシアお姉さまには弱いんだから!



次は一発芸だ。会場はかなり盛り上がっている。


「やっぱり私たちも出ればよかったのよ」


そう言って頬を膨らますリリー。大いに盛り上がった余興も終わり、再びダンスタイムだ。


カルロ様と3曲踊ったところで、なぜかリリーがやって来た。



「エイリーン様、一緒に踊りましょう」



そう言って手を差し出して来たリリー。チラッとカルロ様の方を見ると、鬼の形相でリリーを睨んでいる。


「カルロ殿下、殿方じゃなければいいのでしょう?」


にっこり笑ったリリーに手を引かれ、音楽に合わせて踊りだした。実は会場に着いた時、エイドリアンとフェルナンド殿下に


「エイリーンは今日は男とは踊らせないから!」


と、大きな声で宣言していたのだ。


「見てエイリーン様、カルロ殿下の悔しそうな顔!いつもエイリーン様を独り占めしているから、いい気味ね」


クスクス笑うリリー。この子は本当に!


踊り終わると、急いでこっちにやって来るカルロ様の姿が目に入った。


でも…


「エイリーン様、次は私と踊ってください。令嬢ならOKなのですよね」


「その次は私と」


なぜか令嬢たちに囲まれ、次々とダンスを踊って行く。向こうではリリーがお腹を抱えて笑っていた。


これはもしかして、リリーの作戦ね!もう何人の令嬢と踊っただろう。さすがに疲れた。


「君たち、いい加減にエイリーンを解放してくれ!そもそもエイリーンは僕のものだ!」


そう言うと、私を腕の中に閉じ込めたカルロ様。


「お言葉ですがカルロ殿下、今日は殿方とのダンスは禁止と聞いております。という事は、私達令嬢なら良いのでしょう?」


痛いところを付かれたカルロ様。


「さあエイリーン様、次は私と踊りましょう。その後は、令嬢だけでトークタイムと言うのはいかがでしょう」


「いいですわね。そうしましょう」


その後もダンスやトークタイムやらで、完全に令嬢たちに捕まってしまったエイリーン。カルロ様がブチギレてエイリーンを取り戻すまで、永遠と続いたのであった。


何だかんだでエイリーンが囲まれ、カルロ様がエイリーンを取り戻そうとするお話が一番好きです(^^♪

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