オズワルドとアイシアとメイデア
「どれ、行きますか、アイシアさん?」
「すみません局長。私の仕事が甘かったばかりに……」
「なぁに、そんなしおらしくならないでよ。アイシアさんはいつも通りで良いのさ」
オズワルドが戦闘用の手袋をはめ、やる気を見せた。ヴィダが中央より連れて来た部下達を引き連れ、先立ってダンジョンの調査へと向かったが、ココで大人しくしているオズワルドではなかった。
「今度こそ魔鉱石を取り返す」
「局長、それはちょっと言い方が……」
「……一探索者として魔鉱石を手に入れる!」
「オッケーです」
「きょ! きゃきゅきょくチョー!! わた、わたわたわたわた私も同行致しまっす!!」
局長室を出た矢先、噛み噛みの顔を真っ赤にしたメイデアが、オズワルドを呼び止めた。
「死ぬかもしれねぇけど、良いか?」
「局長と御死ねになられ遊ばせられるのであればホンモーです!!」
「訳分かんねぇけど、分かった。頼むぞ」
メイデアの肩をポンと叩くと、メイデアは鼻血を出して何度も強く頷いた。
ダンジョンに入った三人を歓迎する闇に蠢く影。オズワルドが気持ち悪がり思い切り殴り付けた。首がへし折れ、割れた影から更なる影が湧いて出た。
「んだよ、きったねぇなぁ……」
「わたすが止めます……」
鼻にティッシュを詰めたメイデアが、拘束の呪文を唱えた。影達は動きが鈍くなり、その間に三人は影の群れを抜けた。
三叉路に出たオズワルドは自らの靴を放り投げた。そしてつま先が向いた方、左を進む事にした。
「さーて、何が出るかなぁ?」
身を隠すにはお誂え向きの岩がゴツゴツと立ち並び、何時何処からでも奇襲に備えられる一角へと抜けた三人は、そこで岩を持ち上げ振り回す巨人と遭遇した!
「でっか!! そして気持ち悪るっ!!」
巨人の目は、頭部を一周するように沢山の目で覆われており、全部で十二の目が全方位を見つめていた。
「行くぞ!!」
「はい」
「ひゃい!」
巨人が雄叫びを上げ、岩を三人に向かって投げつけた!
オズワルドは素早く身を躱し、アイシアは曲刀で岩を真っ二つに切り落とした。オズワルドが素早く巨人の足下へと向かうと、巨人はオズワルドを掴もうと手を伸ばした。
「おっと!」
素早く股を抜けて手を躱すが、後頭部にある目はオズワルドをしっかりと認識しており、巨人は片脚を上げてオズワルドを踏み潰そうとした!
「助太刀致します!」
アイシアが前方から巨人に斬りかかった!
硬い皮膚、そして脂身が切れ味を悪くしたが、それでもアイシアは巨人の腹部を真一文字に切り裂いた!
「いいぞ!」
オズワルドがたじろいだ巨人の片脚のアキレス腱を殴り付けた!
まるで巨大な綱が契千切れるような音が響き、巨人は悲鳴の咆哮を上げて、後ろ向きに倒れた。
「一閃御覚悟……」
アイシアが美しい弧を描き、曲刀を薙いだ。巨人の首に鮮血の輪が出来上がり、そしてゴロリと転がるように、胴体から外れた。
「おーおー、相変わらず容赦ないねー」
「局長の御身に万が一があってはいけませんので……」
「はいはい、有能な秘書官を持つと、辛いですねー」
オズワルドは豪快に笑い飛ばし、奥を目指した。




