↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

72/104

7-9

「え?」


 いつものカフェテリアで、マニエルはいつも座る自らの席に、謎の白衣姿の人物を見付け困惑した。


「ほい」


 フランシスが何食わぬ顔で、隣のテーブルから椅子を取り、マニエルへ差し出す。リゼリアも涼しげに両肘をついてストローでジュースを飲んでおり、フユハだけがマニエルと同じく困惑していた。


「美味! 我蜜柑飲料大好!」


「そう、良かったわね」


 ジュースを飲むために指で上げていた額の札を下げると『絶対合格』と書かれており、マニエルとフユハは更に訳が分からなくなった。


 マニエルが「えー? えー……?」と、戸惑いながら席に座ると、フランシスが頬杖をついて話し掛けた。


「その格好……何? どしたの?」


 テニスウェア姿のマニエルは、何と説明すべきか迷った挙げ句、全てを白状した。


「……そう。良かったわね」


「…………?」


 てっきりまた摘ままれるかと思ったマニエルは、肩透かしを食らいフユハに無言のアイコンタクトを送るが、フユハは静かに首を傾げた。



「で、」


「で?」


「で、どうするの? コレ」


 コレと呼ばれた白衣──崙崙はオレンジジュースを飲み干し、フランシスの紅茶に手を伸ばし、バシッと手を叩かれた。


「リゼリア1人暮らしだから泊めれない?」


「嫌よ、臭いから」


「我無味無臭。整理整頓清掃清潔」


「さっきから脇腹からオレンジジュース漏れてるんだけど……」


「──!」


 リゼリアに指摘されて慌てて脇腹を押さえるが、崙崙の脇腹からは既に大量のオレンジジュースが漏れて地面へと流れていた。


「あのー……」


 耐えきれなくなったマニエルが口を開いた。


「この方は……?」


「何か知らないけど着いてきた──」

「──ゾンビ的な何か」


 フランシスとリゼリアが至極簡潔に説明した。そしてフランシスは「仕方ない……」とポケットからメモ用紙を取り出し、地図を書き始めた。


「今日からココがあなたの家よ。早速訪ねなさい。なるべく可愛らしく捨てられた子猫のように振る舞うといいわ」


「了解!」


 崙崙が大手を振って歩き始めた。四人の間に、いつもの空気が戻った。





 ──トントン


「んあ?」


 扉が開かれ、無精髭のエルフ、エルが顔を出した。


「え? 誰? どちら様?」


「我崙崙。此処家! 宿泊!」


「は?」


「我捨猫! 宿泊! 愛玩動物! 宿泊!」


「わわっ! なんだ!? おい! 勝手に上がるな!! 待て! おいってば!!」


 崙崙は勝手に家に上がり込むと、冷蔵庫を開けた。


「おい! 勝手に何やってる!? 呪文で頭を吹き飛ばすぞ!!」


「我発見! 葡萄飲料!!」


 ──グビグビ!


 崙崙は冷えた葡萄酒を勝手に飲み始め、慌ててエルが奪い取る。


「うおー!? 漏れてる!? お前の体から何か漏れてるんだけど!!」


「葡萄酒!」


 脇腹から溢れた葡萄酒を舐め始める崙崙。


「この野郎! 頭に来た! 転移呪文で地下に埋めてやる!!」


「鈹鎂鈣鍶鋇鐳」


 エルが詠唱を終える前に、崙崙の袖から転がった金属片から、種から芽を出すかのように、巨大な金属樹がエルに向かって急激な速度で襲い掛かった。


「うおっ!? なんだコレ!! しまった! コイツ錬金術師か!!」


 柔らかい金属樹に雁字搦めにされたエル。崙崙はエルの手から葡萄酒を奪い取り、再びグビグビと飲み始めた。


「我、家無。整理整頓清掃躾完璧、宿泊許可申請」


「分かった!! 分かったからこの変なやつをどうにかしてくれー!!」



 こうして、崙崙はエルの家に住むこととなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] むしろこれ、エルは役得なのでは?( ˘ω˘ )
[一言] また、強力なキャラが一人加わりましたね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。